名品紹介

神鹿(しんろく)

神鹿

牡鹿は四肢を屈してうずくまり、首をぴんと伸ばし、耳をそばだてる。牝鹿は前肢を伸ばして臥し、遠鳴きするさまをあらわす。
 細身の俊敏な体つきで、遠くを見すえる牡鹿は颯爽とした風格が感じられ、一方の牝は腹部がやや太り、体の線は愛らしい。作者の鋭い自然観察の眼をうかがうことができる。この像は、明恵上人が春日大社に詣でた時、東大寺の中門のあたりで鹿が30頭ばかり膝を屈して臥したという故事に基づくものと推定される。仁和寺本『栂尾大明神御開帳記』に収められる指図によると、高山寺石水院の春日・住吉両明神を祀る祠の前方に安置された神鹿にあたるらしい。現在の石水院でいえば、拝殿より1つ奥の小さな間に、祠とともに安置されていたことになる。本来狛犬(こまいぬ)を置くはずの神前に明恵上人の個人的体験に基づく動物を配することに思い至る人物としては、明恵上人自身(貞永元年〈1232〉没)が最もふさわしく、本像の製作も上人在世中と考えることができよう。作者として仏師湛慶をあてる説が出ている。

木造彩色
像高51.3cm(牡)・46.4cm(牝)
鎌倉時代(13世紀)
京都 高山寺
重要文化財

拡大図


京都国立博物館 Twitter

ご来館くださる皆様へ
京都国立博物館からのお願い

↑ ページのトップへ