紙本着色
10面
平安時代後期(12世紀)
国宝
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様々な奇病を集めて絵巻物にしたてたもので、寛政期の模本によれば、 名古屋の歌人大館高門のもとに15図1巻の形で所蔵されていたが、現在このうちの9図が国有となり 、それ以前に断簡となって逸出した図が諸家に分蔵されている 。また寛政模本には含まれていないが、画風からもともとこれと一連のもので、模本が作られる前に逸出したと見られる4図がある。
画風は暢達した線描を主体にし、淡い彩色を加えたもので、病気にかかった人物を中心に描くものと環境描写を加え、風俗画的な趣を持つものとがある。人物表現には京都国 立博物館本餓鬼草紙や沙門地獄草紙などに通じるものがあり、これらと近い環境で描かれたものと考えられる。こうしたことから、病草紙を、人道苦相の表現として、六道絵の一部と考える見方があるが、地獄草紙などにみる厭離穢土の思想 が強調されることはなく、むしろ病にまつわる説話的興味から制作されたものと考えたい。
10面のうち霍乱は下痢と嘔吐を繰り返す病気で、苦しむ女と、部屋の中でさりげなく擂鉢を擂る女との対比がおかしく、また里の生活を窺わせる資料としても貴重である。二形は男女両性を具有する一種の奇形で、ここでは占師という設定で、その住居の様子が知られる。歯の揺らぐ男は、歯槽膿漏かと考えられているもので、食 事の途中で歯を気にする様子が描かれる。眼病は、眼が見えなくなっている男のところに、医者を自称する男がやってきて、眼球を鍼で治療したために失明してしまったという話を描いている。
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