第3章
浄土への憧憬
 世の人々の、阿弥陀如来のいる西方浄土への往生の願いは強く、平安後期から鎌倉時代にかけては、阿弥陀如来が臨終する人の前に来迎する図が盛んに描かれました。
  平安時代半ばに源信(恵心僧都)が著した『往生要集』では、往生の詳しい理論と実践方法が論じられています。そこで述べられる地獄から天までの六道思想を実際に絵画化した「六道絵」は、誰しもいずれかの世界に転生することを示し精進の大切さを説いていますが、地獄図の描き込みは情緒的な鑑賞を許さず、鬼気迫るものさえあります。
 
国宝 六道絵 滋賀・聖衆来迎寺蔵