絶対王政の宮殿を
飾った蒔絵
―紅毛漆器―

 17世紀、江戸幕府の政策により貿易国がオランダと中国に限られると、輸出漆器の様式にも変化が現れます。一枚扉の書箪笥は観音開きに、洋櫃の蓋はかまぼこ形から平形に変わります。描かれる文様も余白を大きく残した絵画的表現が主流となりました。この新しい様式を「紅毛漆器(こうもうしっき)」と呼びます。黒漆の光沢と異国情緒を掻きたてる金色にかがやく文様に彩られた貴重で高価な品々は、室内を飾るだけではなく、富と権力の象徴でもありました。
楼閣山水蒔絵コモド ヴィクトリア&アルバート美術館蔵
©V&A Images/Victoria and Albert Museum, London