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展示

2018年3月 2日

特集展示「雛まつりと人形」を見に行くリン♪


こんにちリン!


トラりんだリン!


今日は、この時期恒例の特集展示「雛まつりと人形」を見に行くよ♪

ボクも楽しみにしている展示の1つだリン☆


もちろん、案内してくれるのは...

山川研究員♪



山川研究員:トラりん、今日もどうぞよろしくね。



トラりん:今年も、雛人形の季節がやって来たリン!

この展示を楽しみにしてくれているおともだち、たくさんいるもんね♪

そういえば、雛人形の展示って、京博ではどのくらい前からやっているの?



山川研究員:お休みした年もあったけど、1回目の開催は大正15年、1926年からだよ。



トラりん:大正15年から?!


えっと...えっと...92年前!


思ったより、ずっとずっと歴史が深かったリン!



山川研究員:それじゃあ、歴史ある「雛まつりと人形」を今年も見てみよう。


トラりん:今年はどんなお人形が見られるのか、わくわくするリン♪


山川研究員、今回はどのお人形に注目する?!


山川研究員:そうだなぁ、本当は全部紹介したいところだけど...今年は、「御所(ごしょ)人形」、「嵯峨(さが)人形」、「賀茂(かも)人形」を見てみようか。


トラりん:どれも京都の地名が入っているリン!

御所は、京博より北のほうだしー、嵯峨は嵐山の辺りでしょー...


賀茂は、上賀茂神社や下鴨神社の辺りのことだよね!


山川研究員:う、うん...位置関係は、ざっくり言うとそうだね。


江戸時代には、雛人形のほかにも、さまざまな人形がここ京都で誕生したんだよ。


それぞれ見てみようね。



トラりん:これが「御所人形」だね!

わー☆かわいいリン♪


山川研究員:小さなこどものかわいらしい仕草がうまく表現されていて、あったかい気持ちになるよね。


御所人形は、宮廷を中心に、公家や高位の武家が贈りものにしていたんだよ。


現代でも、出産のお祝いや、初めての雛まつりのお祝いに、人形やぬいぐるみを贈るよね。


御所人形は、子どもだけじゃなくて、おとなにも贈っていたみたい。


現代もフィギュアのように「ひとのかたち」をしたものが日本にはたくさんあるでしょ?


日本には「人形を愛でる文化」が、どこの国よりもあると思うの。


その源は、京都の宮廷を中心とする公家が生み出したものなんじゃないかな。


トラりん:ボクも、お人形の展示を楽しみにしているリン♪


あれ...こっちの子は、何を持っているんだろう?


柿の種?



山川研究員:桃だよ。

桃には「長寿」の意味があるんだ。


桃のほかにも、亀や犬など組み合わせはいろいろだけど、亀にも長寿の意味があるし、犬には安産の意味があるよ。


こうした想いをプラスしてプレゼントしていたんだね。


トラりん:なるほどー☆

着物の文様とかもそうだけど、むかしのひとは"縁起のいいもの"に込められたメッセージを大切にして、生活の中に取り入れたり、幸せを願っていたんだね。

それって、時が経っても変わらない考え方だから、むかしのひととのつながりを感じるリン♪


山川研究員:そうだよね。ラッキーアイテムって身につけていたいものね。

ちなみに御所人形は、お土産人形、白肉(しらじし)人形、伊豆蔵(いずくら)人形とも言われていたんだよ。

トラりん:プレゼントされていたから、お土産人形と呼ばれていたのはわかるけど...ほかの由来はなんだろう?


山川研究員:ヒント!

表面の白い肌の部分は、胡粉(ごふん)と言って、貝がらを乾燥させて粉にしたものを何度も重ねて塗って、みがき上げているから...。



トラりん:あ!だから、白肉人形☆


山川研究員:正解!


伊豆蔵人形は、この人形を扱っていた人形問屋の名前から付けられたと言われているんだ。


トラりん:名前がたくさんあるのは、広く親しまれていた証拠なのかな☆


山川研究員:続いて、江戸時代からの1番古い歴史がある「嵯峨人形」を見てみよう。


トラりん:そんなにむかしから?!

うーむ...こうなると、「嵯峨人形」という名前の由来も気になるリン!


山川研究員:でも...嵯峨人形の名前の由来は不明なんだ。

「嵯峨」という言葉には、本阿弥光悦が製作に関わった美しい本の「嵯峨本」を筆頭に、「美しいもの」という意味があるからかもね。


トラりん:「嵯峨」にそんな意味があったなんて知らなかったリン☆

余計に由来が気になってしまうけど、それだけ歴史が深いということなんだね!

人形も美しいリン♪


山川研究員:御所人形が着ていた服は実際に生地で作られていて、脱げたり脱げなかったりしたけど、こちらは木彫りの体に色を塗って描かれているよ。



トラりん:え!エ!絵?!

わー!よく見たら、本当だ☆


山川研究員:これは初期の嵯峨人形ではないんだけど、初期のものにはからくりが仕込まれたものが多いんだ。


ところでトラりん、今回の展示には、ひそかに隠しテーマがあるんだけど、気づいた?


トラりん:え?!

隠しテーマ?!!


山川研究員:実はね―、「芸能」に関係する人形を集めてみたの。

いま一緒に見た嵯峨人形はふたり組で、ひとりが竹箒(たけぼうき)、もうひとりが熊手(くまで)を持っていたよね。


この御所人形も同じものを持っていない?


トラりん:本当だ!

山川研究員:これはね、子どもの姿を借りて「高砂(たかさご)」っていう能を表現しているの。


こういう風に、元になる物語を少しひねって取り入れて別の方法で表現することを「見立て」と言って、江戸時代の美術には絵画を含め、よくある手法なんだ!


「高砂」は、夫婦和合(ふうふわごう)の物語。


つまりこの人形には、素敵な伴侶(はんりょ)にめぐりあってほしい、っていうメッセージも込められているんだよ。


トラりん:なるほど!!


ボクは、まだ能を見たことがないから、そのメッセージに気づけなかったリン!



山川研究員:こっちは、「石橋(しゃっきょう)」という能の見立て人形。

牡丹(ぼたん)にたわむれる獅子が登場する「お祝い」の曲なんだ。

当時の人は、この姿を見たらすぐに人形に込められた「お祝い」の意味に気付いたんだろうね。



トラりん:ボクも、意味がわかる男になりたいリン!



山川研究員:それじゃあ、最後に「賀茂人形」を見てみよう。


トラりん:笑顔で可愛い表情だリン♪


山川研究員:賀茂人形は、木彫りの人形に絹地を貼り付けたもので、木目込み(きめこみ)人形とも言われているよ。

賀茂人形に込められたテーマもさまざまだけど、明るい表情をしているよね。


トラりん:本当だ!

なんだか楽しそうだリン♪

でも、賀茂人形って、なんで「賀茂人形」なの?


山川研究員:去年の「虎ブログ」で、3月3日に人形を飾る雛まつりの始まりのひとつは、人間のけがれを木や紙でできた人形(ひとがた)に移し、川や海へ流すことだったと話したのを覚えているかな?


トラりん:覚えているリン♪


これでしょ?

↓人形(去年の写真☆)

山川研究員:そう、そう。

人形を流す行事はいまでもいろいろな地域で行われていて、その中に下鴨神社があったね。

人形は神事と結びついているんだったよね。

神事には、人形だけじゃなくて、さまざまな白木(しらき)の調度を使うんだけど、京都の上賀茂神社に仕える人が、調度に使った余りの材で作り始めたから「賀茂人形」と呼ばれるようになったそうだよ。


トラりん:とってもありがたいものに感じるリン!

京都では、いろいろな種類の人形が作られていたことを知ったけど、人形にはたくさんの想いが込められていて、贈る相手の幸せを願うものなんだね。


山川研究員:そうだね。

人形は人のかたちをしているからか、人間と重ねて、過剰に想い入れてしまうよね。

見る人によって「可愛い」と感じたり、「怖い」と感じたり、両極端な感想を持つと思うんだ。

でも、それこそが人形の魅力じゃないかなぁ。

長い年月を生きている人形には、汚れや痛みもあるけれど、それも人形それぞれが重ねてきた歴史だと思うと、大切に展示したい!って毎年思うんだ。


トラりん:今回の「虎ブログ」では、京都の人形を通して、見る人、贈る人...人形から、人々の「想い」を感じたリン☆


この人形は、どんなメッセージを込めて贈られたんだろう...なんて考えるのも楽しいね♪

京博の展示の中でも、歴史ある「雛まつりと人形」!


今年もたくさんのおともだちに楽しんでもらえたら、うれしいリン♪

展覧会名:特集展示「雛まつりと人形」

会期:2018(平成30)年2月20日 ~ 3月18日

会場:京都国立博物館 平成知新館2F-5

休館日:月曜日

開館時間:火~木・日曜日:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)

     金・土曜日:午前9時30分~午後8時まで(入館は午後7時30分まで)

観覧料:一般 520円(410円) 大学生 260円(210円)

高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は無料です(年齢のわかるものをご提示ください)。

*( )内は団体20名以上

*大学生の方は学生証をご提示ください。

*障害者手帳等(*)をご提示の方とその介護者1名は、観覧料が無料になります。

 (*) 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳

*キャンパスメンバーズは、学生証をご提示いただくと無料となります。

関連講座:3月3日(土)午後1時30分~午後3時

「御所人形の展開」 山川 曉(京都国立博物館 工芸室長)

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