こんにちリン!トラりんだリン!
(トラりん)
奈良国立博物館にある、「なら仏像館」を案内してもらえることになったリーン!
虎ブログを見てくれているおともだちは分かると思うけど、なら仏像館はとってもきれいなクリーム色の建物なんだよ!でも、なんだかなつかしい感じがする...なんでかな?
過去の虎ブログ:「ざんまいず」に会いに行ったリン!
(岩井研究員)
こんにちは、トラりん!
誰?
私は、この仏像館の責任者、仏像ハカセ・イワイです。よろしくね!
仏像ハカセ!?
見るからに怪しいリン!ボク、おしゃべりして大丈夫かな?白衣にアフロで、実験に失敗したマッドサイエンティストみたいだし...改造されて、仏像になってしまったらどうしよう...(ドキドキ)
はっはっは、トラりん!映画の見過ぎだよ。いいことを教えてあげよう。なら仏像館がなつかしいのは、実はこの建物がトラりんもよく知っている建物と似ているからだよ。
ボクの知っている建物?
この仏像館の建物はね、京博の明治古都館も設計した明治時代を代表する建築家の片山東熊(かたやまとうくま)という人が設計したんだ。でも、完成したのは、明治27年(1894)。明治古都館が出来たのが明治30年(1897)だから、なら仏像館のほうが先にできたんだよ!(えっへん)
なら仏像館と明治古都館はきょうだいってこと?どうりでなつかしいわけだリン☆
この建物は、平成22年(2010)から「なら仏像館」という名前になったんだけど、ここは、仏像、つまり仏像の彫刻を展示する専門の展示施設になったんだよ。平成28年(2016)に、展示ケースや展示台、照明設備などの内装をリフォームして、仏像をより美しくご覧いただけるようにしたんだ。仏像館は1年中いつ来ても、100体前後の仏像が展示されているよ。その半分近くが、国宝や重要文化財に指定されている名品ばかり。日本一の仏像展示施設といってもいい、すごい博物館なんだよ!(えっへん)
仏像ハカセ、えっへん2回目だリン!悪い人じゃないのかな...?おうちが大好きな気持ちなら、ボクも分かるリン!日本一の仏像展示施設、見てみたい!
それじゃあさっそく、展示室へ行ってみよう!
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まず、トラりんに見てほしいのが、「金峯山寺仁王門 金剛力士立像(きんぷせんじにおうもん こんごうりきしりゅうぞう)」だよ!
大きいリン!
トラりんは「仁王さん」って聞いたことあるかな?お寺の門に立って、悪い人が入ってこないように見張っている、門番のほとけさまのことだよ。口を開けた「阿形(あぎょう)」と口を閉じた「吽形(うんぎょう)」でペアになるんだ。
ボクの何倍も大きいリン...!!!!
すごいでしょ!なんといっても、国宝・重要文化財に指定されている文化財の仁王像のなかで、日本で2番目に大きな仁王さんだからね。ちなみに、日本一大きな仁王さんは、近くにある東大寺南大門の仁王さんだよ。身構えた姿がかっこいいよね。
お顔もポーズもかっこいいリン!
トラりんのお顔は吽形だね!
うん!
この像は、たくさんの木を組み合わせて造られているんだよ。この像の内部には、造った人の名前が書いてあって、今の近鉄奈良駅の辺りで仏像を造っていた康成(こうじょう)という仏師さんが、南北朝時代の1338年と1339年に1体ずつ造ったということがわかるんだ。大きくて立派な像だというだけじゃなく、造った人と造った年もわかる重要な像だということで、国の重要文化財に指定されているんだよ。
大きいだけじゃなくて、すごい仏像なんだね!仁王さんはずっとなら仏像館にいるの?
この仁王像が見られるのは、予定では2028年まで。この像のお家にあたる吉野の金峯山寺の仁王門を修理しているから、仁王さんは、この仏像館に仮住まいしているよ。そして、修理が終わったら、お戻りになるんだよ。
なるほど!きょうのボクといっしょで、奈良博に出張しているんだね♪仁王さん、おうちに帰るまで、なら仏像館でのおしごと、がんばってリン!こんなにすごい仁王さんが見られること、ボクもおともだちに張り切って紹介するね!
ありがとう、トラりん!また金峯山寺の仁王門にお戻りになったお姿も、トラりんとおともだちに見てもらえると嬉しいな。さて、そんな仁王さんの向かい側にいるのが、元興寺(がんごうじ)の薬師如来立像(やくしにょらいりゅうぞう)だよ。
小さいお顔のほとけさまだね?
顔は小さいけれど、一方で体はどっしりしているよね。お腹やふとももがぱーんと張っていて、重そうだよね。この仏像は、平安時代の初め頃に造られたものなんだよ。それは、こうしたプロポーションや、遠くをじっと見るような表情、それからこのきれいな衣の襞(ひだ)などから、わかるんだ。
手に何か持っているリン!おやつかな?
おやつなんかじゃないよ、もっとありがたいものさ。「薬師」ってどういう意味かわかる?「お薬の先生」、つまりお医者さんのことなんだ。病気や、困ったこと、何でも助けてくれるありがたい仏さまなんだ。トラりん、お薬の先生が手に持っている壺だから、何が入っているか、想像つかないかい?
...おくすり?
正解!薬師如来の持っている薬壺(くすりつぼ)のことを「やっこ」とよぶんだ。
おててに薬壺を持っているのが、薬師如来さまなんだね。ほとけさまの見分け方、おともだちのみんなにも、もっと紹介したいリン!
仏像館では展示が始まる第1室に、パンフレット「かたちで見分ける!仏像」があるよ!トラりんのおもとだちにも教えてあげてね。
仏像ハカセ、ありがとリン!ふむふむ、「頭のてっぺんがぼこっと盛り上がっていて、たくさんのつぶつぶがある」のは「如来」だって。さっきの薬師如来さまの特徴だリン!イラストがかわいくて、とっても分かりやすいね!
仏像がもっと親しみやすくなるように、色々な工夫をしているよ。トラりんのおともだち、ざんまいずのみんなが紹介しているコーナーもあるから、探してみてね。
ありがとリン!仁王さんみたいに大きかったり、ボクのおててに乗るくらい小さかったり、強そうだったり、優しそうだったり...いろんなほとけさまがいたリン☆ほとけさまたちを見ていると、ココロがすーっとしずかになって、吸い込まれるような不思議な気持ちになったリン...
仏さまのすがたというのは、長い年月をかけて、仏教のおしえや、人々の信仰というものを目に見えるかたちにしたものなんだ。だから、仏像を見ておごそかな雰囲気が感じられるんだよ。なら仏像館は、そんな仏像の魅力を、できるだけ多くの人に感じてもらえるように、これからも研究を重ねていきたいと思っているんだ。
あれ?この部屋には、おててやあしがあるリン!
これはね、色々なお寺にあった仏像が壊れて、カケラになってしまったものなんだ。あるコレクターの人が集めたもので、奈良国立博物館の所蔵になったよ。一部分とはいえ、手の形、足の形、どれも古いものばかりで、立派なものなのだよ。
仏像ハカセ、ありがとリン!なら仏像館、楽しかったー!さいごに、おともだちに伝えたいことはある?
なら仏像館では、いつ来てもたくさんの仏像がお迎えしてくれます。一年の間に春夏秋冬の4回程度、部分的に展示替えもしています。正倉院展など特別展をやっている時にも見られますので、仏さまに囲まれたゴージャスな空間で、癒やされてみませんか。
図録もあるリン!仁王さんもいるよ!
こちらの『なら仏像館 名品図録』には、奈良国立博物館の館蔵品やお寺などから預かっている寄託品(きたくひん)の仏像の写真がたくさん、解説付きで載っています。これだけたくさんの仏像が載っていて、お値段1,500円。お値打ちな図録、おみやげにもぴったり。ぜひ、買ってくださいね。
なら仏像館で待っているリン!!!
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なら仏像館 名品展 開催情報
https://www.narahaku.go.jp/exhibition_cat/usual/
■名品展「特別公開 金峯山寺仁王門 金剛力士立像 ―奈良・金峯山寺所蔵―」
会期:2021年2月23日(火・祝)~仁王門修理完了まで(2028年度予定)
会場:なら仏像館
■名品展「珠玉の仏たち」
会期:2023年5月16日(火)~
会場:なら仏像館
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