こんにちリン!
トラりんだリン!
今日は、平成知新館1F-3の展示室で開催されている特集展示「古書画へのまなざし―伴實(ばん みのる)コレクション―」を見に行くよ☆
うーん・・・「古書画(こしょが)」って、どんなもののことを言うんだろう?
知らないことがいっぱいだから、とっても楽しみだリン♪
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羽田研究員:おーい!トラりん。
こっち、こっちー!
トラりん:羽田研究員♪
ねー!ねー!ねー!ねー!ねー!
古書画がどういうものか・・・伴實さんはどんな人なのか・・・
ボク、今日はたくさん教えてもらいたいことがあるリン!
羽田研究員:(ねー!ねー!の圧が、すごいよ・・・)
じゃあ、展示室に向かいながら、まずは伴實さんについてお話をしようか。
伴さんは商売を営むかたわら、美術愛好家として自らマーケットに足を運び、実際に作品を自分の目で見て選んでいたんだ。
流行や他人の評価にとらわれず、自分の信念のもと好きなものを選んで集めていた人なんだよ。
昨年度、そのコレクションを京都国立博物館に寄贈していただいたんだ。
トラりん:人に左右されず、自分の信念で・・・!
かっこいい人だリン・・・ボクも「これだ!」って思う虎グッズだけを集めているから、より伴さんのことを知りたくなったリン!
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羽田研究員:さぁ、展示室に到着だよ。
トラりん:うわー☆
きれい♪
羽田研究員:ここに展示されているのは、すべて伴さんが集めた古書画だよ。
トラりんが知りたいと言っていた「古書画とは」だけど、書は、文字が書かれたもの。
画は、絵画が描かれたもののことを言うよ。
ちなみに「古」というのは、江戸時代以前を言うことが多いんだ。
トラりん:ということは、古い時代の文字や絵画のこと・・・っていう意味だね!
どの作品も気になるんだけど、ボクには何て書いてあるのか読めないリン・・・
でも、これは、なんだかやわらかい雰囲気がする字だリン☆
羽田研究員:これは明正天皇宸翰消息(めいしょうてんのうしんかんしょうそく)(京都国立博物館蔵)。
明正天皇が江玉真慶(こうぎょくしんきょう)というお坊さんに書いたお手紙だよ。
明正天皇は、奈良時代の称徳天皇以来、およそ850年ぶりの女帝だったんだ。
トラりん:おんなのひとだったんだね!
どうりで、やわらかくて優しい雰囲気の文字だと思ったリン☆
そう言われてみると、品もあるような気がしてきたよ・・・
羽田研究員:天皇からこのように直接お手紙をもらうというのは、大変珍く、名誉なことなんだ。
でも、いま残っている明正天皇が書いた手紙は、ほとんどが江玉真慶に宛てたものなんだよ。
明正天皇がどれだけこのお坊さんを信頼していたかが感じ取れるよね。
羽田研究員:次はこの作品を見てみて。
これは、聖教紙背文書(しょうぎょうしはいもんじょ)(京都国立博物館蔵)だよ。
トラりんは、この文書からどんな印象を受けるかな?
トラりん:むむ・・・
これはさっきのものと比べると、力強く見えるリン!
あとは・・・最初のほうは文字が大きいけど、だんだんと小さくなっているね。
お手紙を書いていると、ボクもそういうことよくある!
書いているうちに「まだまだ書きたいことがあった!」って気付くんだよね☆
そのときだからこそ、仕上がる味だリン☆
羽田研究員:なるほど。
これはね、鎌倉時代末に貞行(さだゆき)という人がお茶をもらったお礼に書いたお手紙なんだ。
トラりん:よっぽどおいしいお茶だったんだね!
興味深いリン・・・
そういえば、この部分だけ他とは書きかたが違うけど、どんな意味があるの?
羽田研究員:これは今で言う、「追伸」の部分だよ。
トラりん:え?!
最初に追伸?
お手紙の最後に、付け足すイメージがあるけど・・・
羽田研究員:むかしは、手紙の書き始めにスペースを空けて書いていたんだ。
本文を書き終わって、なお追加することがあった場合、「追伸」として空けておいたスペースに書いていたんだよ。
トラりん:面白い順番の書き方だリン!
羽田研究員:実は1通目の明正天皇のお手紙の1番右にある文字も、同じく「追伸」なんだ。
トラりん:えー!!
気付かなかったリン!
羽田研究員:それに、聖教紙背文書をよーく見てみて。
手紙と違う字が透けて見えるよ。
トラりん:え!どういうこと?
秘密のお手紙みたいに暗号が隠されているの?
羽田研究員:この手紙の裏には訓舜(くんしゅん)という興福寺のお坊さんが仏教の問答を写しているんだ。
トラりん:ん?なんでそんなことをしたの?
羽田研究員:トラりんも、お絵描きをするときや、メモを取るときには裏紙を使っているよね。
トラりん: うん☆もったいないもんね!
エコだリン♪
羽田研究員:そういうことなんだ。
紙はとても貴重なものだから、むかしの人ももらった手紙をとっておいて、裏も使ったんだよ。
トラりん:時代は変わっても、いまもむかしも同じことをしているんだね!
歴史って、知る前はちょっとむずかしいことのような気がするけど、調べてみると案外、いまもむかしも通じることが多いね☆
むかしのひとの考えが、いまのボクたちと変わらないことがわかって、なんだか嬉しいリン♪
でもお手紙の裏を使ったら、内容がみんなにもバレちゃうよ///
羽田研究員:当時は、こうやって皆に読まれるとは考えないもんね。
トラりんが裏紙に書いた落書きも、いつか誰かに見られちゃうかも☆
でも、このように裏と表、2つの顔を持った作品が残されていることは大変貴重なんだよ。
トラりん:予想外だリン☆
あっ!
こっちの作品は文字じゃなくて絵画が描かれているね♪
羽田研究員:トラりん、この絵を見て何か気付くことはある?
トラりん:なんだか地図みたいで面白いね!
左下には鳥居が書いてあるから、どこかの神社かなぁ?
それと右上は・・・ん?どこかで見たことがあるような・・・
羽田研究員:これは「東山名所図屏風」(幸野楳嶺(こうのばいれい)筆・京都国立博物館蔵)だよ。
トラりん:東山名所?!
東山って、京博がある地域だリン!
じゃあ、さっき見たことあると感じたのは清水寺だね☆
そうやって見てみると、知っている景色だリン♪
羽田研究員:そうだよ。
右から、清水寺、八坂の塔、祇園社、知恩院。
ここに描いてある名所は、全てトラりんのご近所さんだね。
トラりん: 改めて、京博のまわりには古くからの名所がたくさんあるんだねー!
自分の住んでいる場所が、もっと好きになったリン♪
・・・ところで、羽田研究員。
さっきから、写真に見切れちゃっている人がいるんだけど・・・
羽田研究員:あれ?
トラりん:ちょっと、いま撮影中だから入ってきちゃだめだよ☆
トラりん:よ☆
トラりん:よ!
羽田研究員:彼は不審者じゃないよ!
同じく書跡担当の上杉研究員だよ。
トラりん:あ、そうだったの?
専門の研究員が2人も揃うなんて豪華だリン!
せっかくの機会だから、1つとっても気になったことを質問してもいい?
羽田研究員・上杉研究員:どうぞ☆
トラりん:古書画の中でも「東山名所図屏風」のように、絵だとボクにも一目でわかるものもあるんだけど・・・
むかしのひとが書いた文字は全然読めないんだけど、2人にはわかるの?
上杉研究員:うん、読めるよ。
安心して。トラりんもお勉強をしたら読めるようになるよ。
トラりん:そうなんだぁ♪
あれ...でもさ、よく考えたら羽田研究員の説明の中には、実際書かれていないことも含まれていたよね?
特に手紙って、出す人と受け取る人がお互いわかった上で書くから、だいたいが他の人が見てもわからない内容だったりするもんね。
どうして2人には書いていないことまでわかるの?
エスパーなの?
羽田研究員:そうだね。
文字として書かれている内容を読むだけじゃなくて、その文字に込められた事柄や想いなどを調べて読み取るというのが、僕たちのおしごとなんだ。
トラりん:そうか!
いつもこうしてたくさんのことを教えてもらっているけど、研究員のみんなのおしごともとっても素敵だね☆
ありがとリン♪
それを踏まえて、もう一度作品を見返したくなったリン!
羽田研究員:今回の特集展示では、伴さんが選んできた作品を通して、その人柄を感じることができるんだ。
最初に話したけど、伴さんは趣味で作品を集めていたんだ。
純粋に古書画が好きだったんだね。
収納する箱を作ったり、自分好みの表装(ひょうそう)をほどこしたり・・・伴さんのコレクションは、作品への温もりに溢れているんだよ。
トラりん:今回の特集展示のタイトル「古書画へのまなざし」...伴さんの作品に対するあたたかい想いが詰まっているね。
たくさんのおともだちにも、伴さんの愛したコレクションを見てもらえたら嬉しいリン♪
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おまけ☆
トラりん:ボクの愛も伝わったー?
\むぎゅぅうううううう/
特集展示「古書画へのまなざし ─伴實コレクション─」
会期:2017(平成29)年6月13日(火) ~ 7月23日(日)
会場:京都国立博物館 平成知新館1F-3
交通:JR、近鉄、京阪電車、阪急電車、市バス 交通アクセス
休館日:月曜日
*ただし、月曜日が祝日・休日となる場合は開館し、翌火曜日を休館とします。
開館時間:火~木・日曜日:午前9時30分から午後5時まで
金・土曜日:午前9時30分~午後9時
(入館はいずれも閉館の30分前まで)
観覧料:一般 520円(410円) 大学生 260円(210円)
高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は無料です(年齢のわかるものをご提示ください)。
*( )内は団体20名以上
*障がい者の方と介助者(1名)は、障がい者手帳などのご提示で無料となります。
*キャンパスメンバーズは、学生証をご提示いただくと無料となります。
7月17日(月・祝)までは、特集展示「名刀聚英─永藤一の愛刀─」も開催しているリン♪