こんにちリン!
トラりんだリン!
暑いリン!京都の夏だリン!
え?暑いのに、なんでそんな恰好をしているのかって?それは...
(末兼研究員)
スキあり!
(トラりん)
末兼研究員!
気配に気付くとは、おぬし...なかなかの腕前よのう。
ちょっぷ!
ぐ、や、やられたぁー!無念...
おともだちのみんなに紹介するよ!金工担当の末兼研究員だリン!よくボクの死角を狙ってくるから、こうして兜で身を守っているリン♪
ピクピク...
復活するリン!!
トラりんの優しさで復活したよ。きょうはトラりんに修理完成記念 特別公開の胴丸を見せてあげよう。
「どうまる」ってなぁに?おなべ?
それは「ずんどう」ね!
「胴丸」というのは、中世の「甲冑(かっちゅう)」の種類だよ。体をぐるりと包むように着るタイプの甲冑なんだ。
甲冑って「よろい」のこと?武士にとって大切なものだリン!
それじゃあさっそく、展示室に見に行こう!
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どどん!「縹糸威胴丸(はなだいとおどしどうまる)」だよ!
立派なかっちゅうだリン!これはどういう胴丸なの?
まず、「縹糸(はなだいと)」は胴丸を覆う糸の色のこと。トラりんは、この糸何色に見える?
うーん、薄い、緑っぽい青かな?「そふとたーこいず」って感じ♪
そうそう!夏にピッタリ、大人気発売中のトラりんボトルの色だねっ!(宣伝)
今は退色して緑っぽさが強いけど、本来は鮮やかな青色だったんだ。
どんな色?
展示室入口に置いてある鑑賞ガイドの、表紙の左上のような色だと考えられているよ!
すごく鮮やかだリン!こんな色のかっちゅう、見たことないリン!
では甲冑のボディの構造について、まずは説明しよう。鑑賞ガイドにも書いてあるけど、甲冑は「札(さね)」「威(おどし)」「金具(かなぐ)」の3つの要素からできているよ。
鑑賞ガイド(PDF)
金具はなんとなく分かるけど、「さね」と「おどし」は初めて聞く言葉だリン!
まず、「札(さね)」は鉄や牛革からできた小さな板で、ひもを通すための穴が開いているよ。これを並べて組み合わせることによって、甲冑の防御力のかなめである札板(さねいた)ができているんだ。そして、この板をつなぎ合わせるために必要なのがこの縹色の糸を束ねたひも。ひもは「緒(お)」と呼ばれるから、「札」に「緒」を通す、ということで、「緒通し」、つまり「威(おどし)」になるんだよ。
縹糸威胴丸の「威(おどし)」は「緒通し」だったんだね!
そういうこと!頑丈に仕上げたり簡単に仕上げたりと、色んな「おどし方」があるんだよ!
おどし方...!
(オラオラした呼び方だリン...)
この緒のことを「威毛(おどしげ)」と呼ぶんだけど、こんなふうに甲冑全体を縹色で威すのは珍しいんだ。そういう意味でも貴重な作品だね。
よろいって黒っぽいイメージがあったけど、この胴丸はきっと、いくさの時もパッと目に入るリン!敵も味方もびっくりするだろうね☆
戦は武士にとって重要な仕事の一つだから、目立つ甲冑は、戦場で武士の存在を知らしめる意味があったと思うよ。それでは、今回の修理部分を紹介するね。まず、この左肩の部分。くるりと丸みを持った金具が見える?
見えた!茶色っぽいツヤッとしたところだね!
そうそう、「障子板(しょうじいた)」というんだけど、腐食が激しくて合成接着剤で仮止めされた状態だったから、解体して新しく製作したよ。もともとの部品と1mmもズレていない、完全に同じ形をしているんだ。
すごい精度だリン!
それにこの胸の真ん中あたりから右脇にかけての部分と、ベルトみたいに腰に巻いてある部分に、カラフルなひもが使われているのがわかる?
「縹色」とはちがう色のひもだリン!
よく見えるね。腰の部分のひもは無くなっていたから、「クテ打ち」という技法を使った特殊な組紐(くみひも)を追加したよ。これももともとのひもの染料を化学分析しつつ、退色した現在の色を再現して染めたものだよ。
「縹糸」もキレイだけど、このひもでおしゃれ度がぱぅわーあっぷするリン!それにしてもかっちゅうって、金具やひもや、たくさんの部品で出来ているんだね☆
甲冑はさっき説明したように、鉄や革、糸や布、漆など、様々な素材を組み合わせて作るものだから、僕が担当する金工のほか、染織や漆工などあらゆるジャンルの専門家が関わることになる。だから、甲冑ひとつ作るのにたくさんの分野の工人(技術者)の力を合わせる必要があるんだよ。
とっても大変だリン!昔のひとはどうしていたのかな?
むかしは「鎧細工」とか「甲冑師」と呼ばれるプロフェッショナルがいたんだよ。そういう人が、それぞれの素材を作る職人のとりまとめもしていたんだ。
かっこいいリン...!
でも、甲冑は現代では使われないでしょ?需要がないから、甲冑を作る技術は歴史と共にどんどん失われていって、さらに甲冑を作る技術を未来に受け継ごう!という意識もなかったんだね。その結果、国宝や重要文化財の甲冑を修理できる甲冑師は、今の日本には実は1人しかいなかったんだ...
1人!!!
一方で、甲冑は国宝と重要文化財だけでも、日本に170件もあるんだよ。たった1人でそれらを修理することができると思う?
む、無理だリン...!
絶望だよね。でも文化財の関係者たちは、修理事業をあきらめなかったんだ。今回はバンクオブアメリカという金融機関の文化財保護プロジェクトからの助成を受けて、それぞれの専門分野を担当できる専門家の力を集結させることによって、修理が実現したんだよ。この縹糸威胴丸をきっかけに、文化財の修理には多くの人の想いがこもっていることも知ってもらえると嬉しいね!
これからもみんなで協力して、修理した作品を未来に受け継いでいけたらいいね!末兼研究員、ありがとリーン!
みんなの想いがつまった鑑賞ガイドもよろしくね!
あ!ボクの兜!
ドヤ。
展示室で待っているリン!
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\展覧会概要/
修理完成記念 特別公開 重要文化財 縹糸威胴丸
■会期:
2024年6月18日(火)~ 8月4日(日)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館1F-5
■休館日:
月曜日
※ただし7月15日(月・祝)は開館、翌16日(火)休館
■開館時間:
9:30~17:00(入館は16:30まで)
金曜日は20:00まで開館(入館は19:30まで))
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展示室に入る前と後には、水分補給も忘れずにね!
鑑賞ガイドの威とトラりんボトルの色がリンクしているミラクル...
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