こんにちリン!
トラりんだリン!
特別展もあっという間に後期だリン!きょうもこの2人と待ち合わせしているよ!
やっほートラりん!
永島研究員!石田研究員!
(永島研究員)
きょうもトラりんとおともだちに楽しい作品をたくさん紹介したくって、今からウズウズしているよ!
(石田研究員)
有名な作品からへんてこりんな作品まで、古今東西の名品珍品勢ぞろい!どの作品にもストーリーがあって、いくら紹介してもし足りないくらい!
それじゃあさっそく、息を合わせて...せーのっ
美のるつぼ!
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さっそく紹介するのは、トラりんも良く知っている「家具」だよ。
ん?ボクも良く知っている家具?うーん...あ!(ピコーン)
冷蔵庫?
くいしんぼうめ...(笑)しかも冷蔵庫は家電だし。正解は、椅子でした!
いす?いすなんてどこにでもあるリン!珍しくないリン!
ふっふっふ、展示室の作品を見ても同じことが言えるかな?
まずはこちら、「黒檀椅子(こくたんいす)」!
豪華ないすだリン!!
こちらはインドで作られた、西洋人向け高級家具だよ。肘掛けの海獣はヒンドゥー教に由来するモチーフ。徳川家康の外交を担った南禅寺中興の祖、以心崇伝(1569~1633)がオランダ国使から贈られたと伝えられている品だよ。
インドでつくられて、オランダの人から、日本のお寺のお坊さんに送られたの?海外交流まっさかリンだね!
2Fのミュージアムラボラトリーの展示映像(約12分)で、この椅子の修理の様子が紹介されているよ。展示とあわせて見てもらえると嬉しいな!
(「いす」だけに、休憩しながら見るのにピッタリンだリン...)
次はこちら、「木彫交椅(もくちょうこうい)」。
さっきのいすより小さいけど、これも豪華だリン!
先に見た「黒檀椅子」が高額過ぎたので手に入れられなかった人たちが、インドや東南アジア製の家具をまねて、オーク材や栗材などでオランダで作ったもの。教会にまだ常設のベンチがなかった頃、裕福な人々はこうした椅子を使用人に持たせて通ったんだ。
どうりでさっきのいすに似ているんだね!小さいのは持ち運び用だからかな?きょうのボク、冴えているリン(キラーン)
椅子の背の上部に、天使や頭蓋骨があらわされているのがわかるかな?
あ!ほんとだ!ドクロりんだリン☠
頭蓋骨は「死を忘るなかれ」というキリスト教の教えを示していて、天使とあわせてキリスト教由来の文様なんだ。
へー!さすが、キリスト教の教会で使われるいすだリン!
そして最後は日本製の椅子、「花唐草蒔絵螺鈿交椅(はなからくさまきえらでんこうい)」。
ついに日本製だリン!
こちらはオランダ製の「木彫交椅」と同じ形の折りたたみ式椅子を、日本の蒔絵と螺鈿で飾った超高級バージョン。今のところ類例が発見されていない、唯一無二の作品なんだ。
彫刻だけじゃなくて、蒔絵と螺鈿と...文様がとっても細かいリン!
特注の超高級品だけあって、精緻な蒔絵で飾られているよ。石畳文、七宝花菱、花唐草のほか、脚の側面にも華やかな鳳凰が描かれていて、本当に素敵だよね。上端左右には楯を持つ獅子があらわされているよ。
このちょこんとかわいい生きものは、獅子りんだったんだね!
トラりん、3つの椅子を見てきたね!どうだった?
座ってみたいリン!
トラりんが座ったらどれもつぶれちゃうかも(笑)
それじゃあここで石田研究員にバトンタッチ!
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トラりん、私が紹介するのはこの作品!覚えているかな?
あ!予習編に出てきた鏡だリン!
【予習編】特別展 日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―【後編】
重要文化財 神人車馬画像鏡(しんじんしゃばがぞうきょう) 奈良県北葛城郡河合町佐味田宝塚古墳出土 東京国立博物館所蔵
変形神人車馬画像鏡(へんけいしんじんしゃばがぞうきょう) 出土地不明 京都国立博物館所蔵
<2F-5 通期展示>
「神人車馬画像鏡」は2~3世紀に中国で作られた鏡だよ。これをお手本に日本で4世紀に作られたのが「変形神人車馬画像鏡」。ふたつの鏡を見比べてみると、構図がとてもよく似ているのがわかるかな。でも違うところもあるよね。トラりんはわかる?
えーとね、中国の鏡と日本の鏡で、描かれているものの位置はおんなじだけど、文様がぜんぜんちがうリン!中国の鏡は、文様がいかめしくて強そうだリン!日本の鏡は、なんだか楽しくてポップな感じがするよ!
そうそう、現代の私たちの目からみると、そんな印象をもつよね。まずは中国製の「神人車馬画像鏡」。神様と従者、龍と虎、馬が引く馬車が描かれているよ。これは神仙世界、つまり神様や仙人が住む理想郷を表しているんだ。
なんだかありがたいリン!文様にはちゃんと意味があるんだね!
その通り。でも、当時の日本人はその世界観がよくわからなかったんだね。日本製の「変形神人車馬画像鏡」は見てみると、龍や虎は鹿みたいになっているし、当時の日本には馬がいなかったから馬車が何かがわからず、車輪がカタツムリみたいになっている。
車輪がかたつむりん!すごい誤解だリン!
馬車の後ろにいた従者にいたっては小鳥になっちゃった。
あ、ほんとだ!かたつむりんにくっついて、かわいいリン!それにこの、馬車を引くウマりんのかわりに描かれたシカりんみたいな生きものも...
馬車に激突してるよね。
意味不明の絵になったリン!もとの中国の鏡を作った人が見たらびっくりしそうだリン!
でしょ?とはいえ、変形神人画像鏡をもういちどよく見てみて。文様もはっきりしているし、鋳(い)上がりもいいし、鏡の出来自体はとってもいいんだ。だから鏡作りの技術が劣っていたわけではないんだよ。当時の日本人は、中国の世界観はよくわからなかったかもしれないけど、それを気にしないで、自分たちの美意識と技術力で新しい鏡を作りだしたんだ。結果的に躍動感が感じられる素敵な文様になったよ。
へんてこりんな文様なのにりっぱな作品に見えるのは、技術がしっかりしていたからなんだね!これを作った日本の人たちも、楽しんで作った気がするリン♪石田研究員、ありがとリン!
今回は展示も盛りだくさん!そして作品の写真が撮れる貴重なスポットもあるよ!立ち寄ってみてね!
おっけー!
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1階のフォトスポットにきてみたリン!このお像はどんな作品なのかな?おなかから顔が見えていて、ちょっとこわいリン...
(竹下研究員)
トラりん、こんにちは!
竹下研究員!
羅怙羅(らごら)さんがどんな人か知りたいって?
バッ!
あ!竹下研究員のおなかにもおなじお姿が!!!
怖がらなくても大丈夫!このお像は羅怙羅尊者といって、お釈迦さまの弟子の一人。しかも釈迦がまだ王子だったときに生まれた実の子ども。羅怙羅はもともとインドの言葉でラーフラといって、「妨げ」とか「束縛」を意味するんだよ。釈迦は羅怙羅が生まれてすぐに出家したの。
修行のさまたげになるという意味のお名前なの?そうぜつだリン...!
そう、そんな境遇であるにも関わらず、父のあとを追って、幼いときから仏教修行の道に入った羅怙羅が、自分の胸中には仏(=釈迦)がいる、と胸を開いてみせているシーンだと思うと、私は涙がこぼれる思いがします...
らごらさん、けなげで信心深い人だったんだね!それにしても、すごいお像だリン!
この迫力ある羅怙羅尊者像を造ったのは、中国人仏師の范道生(はんどうせい)。黄檗宗(おうばくしゅう)の開祖・隠元(いんげん)禅師に招かれて、萬福寺でたくさんの仏像を造っているんだ。
いんげんさんって、「いんげんまめ」のいんげん?
そうそう。隠元禅師は江戸時代に、インゲンマメを伝えたと言われているよ。
じゅるりん...いんげんさんに感謝だリン✨
羅怙羅像に話を戻すと、この力強く、異国風の仏像をみて、当時の人もとても驚いたんじゃないかな。范道生の仏像は京都の仏師にもインパクトを与えたようで、「黄檗様(おうばくよう)」とよばれる新しい様式につながっていくよ。萬福寺にもぜひ行ってみてね!
行ってみたいリーン!竹下研究員、ありがとリン!
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トラりん、「美のるつぼ」から出てきたね!
展示室で思う存分、異文化交流できたかな?
あ、永島研究員と石田研究員!なんかおしゃれしているリン!
新緑の季節のお出かけには、変形神人画像鏡をモチーフにした鏡バッグをコーディネートに取り入れるのがおすすめ★ 青銅色の鏡ポーチもあるよ。
わわ!バッグの中からバッグが!ついさっきお会いした、らごらさんを思い出すリン!
最後に、研究員の2人におともだちへのメッセージをお願いするリン!
展示室に一歩足を踏み込めば、ワクワクのビッグウェーブが押し寄せてくること間違いなしの楽しい展覧会です。古今東西の芸術文化の交流から生まれた日本美術の至宝を、心ゆくまで味わってくださいね。
後期もまだまだ交流にまつわるさまざまな作品が目白押しです。是非、足をお運びください。
たくさんのおともだちが「美のるつぼ」に飛び込んでくれたら嬉しいリン!
異文化を越えるのは、あなたかも!?
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■会期:
2025年4月19日(土)~6月15日(日)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館
■休館日:
月曜日
■開館時間:
9:00~17:30(入館は17:00まで)
金曜日は20:00まで開館(入館は19:30まで)