メニュー

展示

2025年7月15日

修理完了記念 特集展示「重要文化財 釈迦堂縁起」を見に行くリン♪

こんにちリン!
トラりんだリン!

トラりん、明治古都館の前に登場

トラりん(トラりん)
京都の夏が始まったリン!じりじり熱いリン...!
噴水にとびこみたいきぶんだリン!

井並研究員(井並研究員)
「京の夏 虎も飛び込む 水の音」ってね。

トラりん
井並研究員!
井並研究員とトラりん、明治古都館の前でランデブー

トラりん
優雅に一句詠んでいる場合じゃないリン!こんなに暑いのになんでわざわざお外で待ち合わせにしたの?

井並研究員
見て、トラりん。ここからだと明治古都館が良く見えるでしょ。

トラりん
うん。

井並研究員
いい眺めだよね(しみじみ)。

トラりん
それだけ!?
明治古都館を指さす井並研究員とトラりん

井並研究員
まぁ、研究員には、こうしてトラりんと明治古都館を眺めたくなるときもあるものさ。

トラりん
真夏に狂気の沙汰だリン!溶けてバターになってしまうリン!

井並研究員
それじゃあ、トラりんがバターになる前に...

torarin井並研究員
(涼しい)展示室にれっつごー!
困惑するトラりんとレッツゴーポーズの井並研究員


トラりん
ひんやり展示室だリン♪

井並研究員
落ち着いてよかった。
さて、今回いっしょに見に行くのは修理完了記念 特集展示「重要文化財 釈迦堂縁起」だよ。突然だけど、トラりんは狂言って知っているかな?

トラりん
うーん?

井並研究員
じゃあ、歌舞伎は?

トラりん
かぶきあげ、おいしいリン(じゅるり...)

井並研究員
おやつの話となると途端に生き生きするよね。狂言は、歌舞伎や能と同じような、日本の伝統芸能だよ。その狂言を上演する「大念仏狂言」という催しをするお寺が、京都に3つあるんだ。壬生寺、引接寺(千本ゑんま堂)、そして清凉寺(嵯峨釈迦堂)だよ。

トラりん
ん?「釈迦堂」って、さっき展覧会のタイトルで出てきたリン!

井並研究員
そう!今回の展示は「嵯峨大念仏狂言」でも知られる清凉寺の本尊についての絵巻なんだ。
清凉寺の本尊は、釈迦如来像。伝説でインド・中国・日本を渡ってきた「三国伝来」の像として語られる、仏教美術史上の名品だよ。奈良国立博物館の「超国宝展」でも展示されたので、ご覧になった方も多いのでは。このお像は昔からとても名高く、そのためお寺も「嵯峨釈迦堂」と呼ばれているんだ。

トラりん
清凉寺=釈迦堂ってこと?

井並研究員
そういうこと!ちなみに狂言でも、清凉寺だけ「釈迦如来」という演目が演じられるんだ。

トラりん
へー!みんなが慕っているお釈迦さまなんだね!じゃあ釈迦堂縁起の「縁起」ってなぁに?

井並研究員
縁起とは、社寺(神社やお寺)の歴史や、本尊・祭神の由来を語るものだよ。

トラりん
じゃあ今回は、清凉寺のご本尊の釈迦如来像の「ゆらい」を描いた絵巻ってこと?

井並研究員
その通り!じゃあさっそく、絵巻のはじめ、巻第一から見ていこう。最初は、お釈迦さまの一生を表すところから始まるんだ。これは、有名なお釈迦さまの誕生シーンだよ。

重要文化財 釈迦堂縁起 伝狩野元信筆 巻第一 京都・清凉寺所蔵 <2F-2(巻替あり)>
重要文化財 釈迦堂縁起 伝狩野元信筆 巻第一 京都・清凉寺所蔵 <2F-2(巻替あり)>

トラりん
女の人の脇の下から、小さな人が出てきているリン!

井並研究員
お釈迦さまが、摩耶夫人というお母さんの右脇から生まれた場面なんだよ。このすぐあとに七歩進んで、右手で天を、左手で地を指して「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と唱えたんだ。

トラりん
生まれてすぐに!?さすがお釈迦さまだリン...1歳のボクでもそんな難しい言葉知らないリン...!

井並研究員
お釈迦さまは、もともとインドの王族の子だったんだ。物質的には豊かな暮らしをするわけだけど、心は満たされないままだった。そこで19歳(出家時の年齢は絵巻の詞書による)で出家し、苦しい修行に身を投じるんだ。

トラりん
どんな修行?

井並研究員
たとえば断食をして、米を1日1粒しか食べなかったり...

トラりん
えぇ!?おなかぺこぺこリンになってしまうリン(泣)

井並研究員
肉体を苦しめることで精神を高めようとする修行だからね。だけど、どんなに厳しい苦行をしても、なかなか求めている境地に至れなかったんだ。そこで、沐浴をして身を清めて、スジャータという女性から1杯の乳粥を献じられるんだよ。

展示ケースの前で説明する井並研究員と乳粥をもつポーズのトラりん

トラりん
このおわんにはいったものは、おかゆなんだね。胃にやさしいリン...

井並研究員
そこで気力が回復して、悟りへの準備に入るんだ。菩提樹の下で瞑想をして、ブッダ(悟った人)となるんだよ。

トラりん
あ、草を刈っている人たちがいるリン!

井並研究員
座るところに草を敷いてもらおうと、帝釈天が変身してるんだ。こうしてお釈迦さまが悟りに到達するお手伝いをしているよ。

トラりん
ふかふかでやわらかそうな草だリン!色も鮮やかだね!

井並研究員
修理したことで折れが進んでいた画面が平滑になったから、この絵の鮮やかな色が一層際立つようになったね。さて、お話は飛んで、次に紹介するのは巻第三だよ。悟りに至ったお釈迦さまは、その教えをお母さんの摩耶夫人に伝えたいと思うんだ。だけど摩耶夫人は忉利天(とうりてん)という別の世界にいたので、お釈迦さまはその世界に行ってしまう。そこでお釈迦さまがいなくなってさびしいよ~って思った優填大王(うでんだいおう)という王様は、あることをするんだ。まずは右側のシーン、何をしているか、分かるかな?

重要文化財 釈迦堂縁起 伝狩野元信筆 巻第三 清凉寺所蔵 <2F-2(巻替あり)>
重要文化財 釈迦堂縁起 伝狩野元信筆 巻第三 清凉寺所蔵 <2F-2(巻替あり)>

トラりん
王様が丸太を背負っているリン!!!
展示ケースの前で説明する井並研究員と背負うポーズのトラりん

井並研究員
そうなんだよ。優填大王は、釈迦の姿を木で彫って表したいと考えるんだ。そのための材料となる栴檀(せんだん)という香木を、自分で運んでいるんだよ。

トラりん
お釈迦さまの姿を木に彫る...?ということは...

井並研究員
仏が彫られたお像になる...つまり?

トラりん
仏像だリン!?

井並研究員
まさに!伝説では、初めてつくられた仏像ともいわれているよ。左側のシーンでは、「毘首羯磨(びしゅかつま)」という技芸の神さまが工匠に化けて、釈迦像を彫るようすが描かれているね。

トラりん
ほんとだ!ボク、仏像が彫られるようすを見るのは初めてだリン!
ところで、びしゅかつま...?どこかで聞いた名前だリン...

井並研究員
ビビビ...(トラりん、思い出して...明治古都館のさんかくの部分にどんな彫刻があったか...)
※井並研究員はテレパシーを送っています byトラりんスタッフ

頭上に手の三角を作る井並研究員

トラりん
さ、さ、さんかく?さんかく、さんかくの...

井並研究員
ビビビ...(いいぞトラりん...その調子...)

トラりん
なまやつはし?

井並研究員
(だめだこりゃ。展示室を見終わったら、もう一度明治古都館を見に行かないと)
で、お話を戻すと、こうして優れた工匠の手で彫られた、とってもスペシャルな仏像は、インドや中国のいろんな王朝を転々とすることになるんだ。
とくに、鳩摩羅琰(くまらえん)というお坊さんが亀茲(きじ、中国の西域)の国に運ぶ場面が有名だよ。トラりん、チラシを持っているかな?

トラりん
あれ?よく見ると、お坊さんが仏像におんぶされている...?

チラシを持つ二人

井並研究員
昼は鳩摩羅琰が像を背負って険しい道を進むんだけど、夜は像が背負って進んでくれたという奇跡を描いているよ。
生きた釈迦の姿を写した像もまた、自分の意思を持って生きていると信じられたんだ。
8月5日(火)からの展覧会後期で展示する予定だから、楽しみにしていてね。

トラりん
チラシの場面は後期に見られるんだね!楽しみだリン!
博物館ディクショナリーでも紹介しているよ♪

博物館ディクショナリー242号「仏像のはじまりの伝説」(PDF)

井並研究員
さて、最後に紹介するのは巻第五。
10世紀、釈迦像は中国歴代王朝をめぐりめぐって、宋という国の皇帝のもとで安置されていた。そこに、奝然(ちょうねん)という日本のお坊さんが訪ねてくる。この奝然さんが、巻第五の主人公なんだよ。

トラりん
奝然さん、どんなことをするのかな?

井並研究員
話に聞く伝説の釈迦像との対面を果たした奝然さんは、仏教の教えを日本で広めるために、このすばらしいお像の模像を作って、日本に持ち帰りたいと皇帝に願い出るよ。

重要文化財 釈迦堂縁起 伝狩野元信筆 巻第五 清凉寺所蔵 <2F-2(巻替あり)>
重要文化財 釈迦堂縁起 伝狩野元信筆 巻第五 清凉寺所蔵 <2F-2(巻替あり)>

トラりん
皇帝に!なかなか思い切ったリン!

井並研究員
太宗皇帝はこれを許して、名匠にお像を彫らせたんだ。

トラりん
えー!よく許してもらえたリン...

井並研究員
奝然さんの真摯な想いが伝わったのかもしれないね。こうしてつくられた模像は...

トラりん
どうなるの!?

井並研究員
後期展示に続く。
平成知新館グランドロビーで空(くう)を見つめる井並研究員

トラりん
えー!
そんなぁ!気になるリン!!!

井並研究員
絵巻は長さが決まっているからね。展示スペースの関係で、出したくても全部出せないんだよ~。だから前期と後期、どちらも見に来てもらいたいけど、まとめて見たいおともだちのために、スペシャル図録 をつくったよ! 図録・目録・関連書籍等

出来立ての図録を開きニコニコの井並研究員と寄り添うトラりん

トラりん
前期展示で見られない場面も、ぜんぶ載っている?

井並研究員
全場面が載っているよ!この作品のカラー図版が全場面掲載となるのは、なんとこれが初めてなんだ。修理の細かい報告も収録したよ!

トラりん
それは、「がくじゅつてきかちがたかい」ってやつだね!

井並研究員
お、トラりんが賢そうな言葉を使っている。まさに、トラりんの言う通りで、修理後初公開の貴重な機会。図録で予習復習しつつ、展示室でぜひ一新した鮮やかな絵をナマで観てほしいな。

トラりん
あ!「ナマ」で思い出した!なまやつはしが冷蔵庫で冷えているリン!おやつに食べるリン!

井並研究員
あ!こっちもなまやつはしで思い出した!トラりん、明治古都館をもう一度見に行くよ!

トラりん
えー、なんで!?ゼッタイそれ今じゃないリン!お外暑いリン!

井並研究員
しょうがないなぁ...明治古都館正面のさんかくの部分、破風(はふ)の彫刻を、あとでちゃんと見るんだよ。

トラりん
明治古都館の、さんかく?

井並研究員
今回は特別にトラPadで見せてあげよう。

グランドロビーでタブレットを見る二人。戸外には明治古都館

トラりん
あ!さっきみた、えーっと、えーっと...

井並研究員
「びしゅかつま」ね。京博の館蔵品データベースには、この破風装飾の元となった木彫原型が紹介されているよ。
京都国立博物館 館蔵品データベース

トラりん
ほんとだ!「美術工芸の神とされる毘首羯磨」だって!

井並研究員
釈迦像を彫った工匠に宿った美術工芸の神こそ、この毘首羯磨。さっき展示室で見た時と同じように、手に槌(つち)を持っているね。京博の守り神が、こうして作品に登場するお姿を見ると、なんだか感動するよね。

トラりん
あとでちゃんとごあいさつしておくリン!

トラりん井並研究員
(涼しい)展示室で待っているリン!




修理完了記念 特集展示 重要文化財 釈迦堂縁起
■会期:
2025年7月8日(火)~8月24日(日)
[会期中、巻替あり]
前期展示:2025年7月8日(火)~8月3日(日)
後期展示:2025年8月5日(火)~8月24日(日)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館2F-2・3
■休館日:
月曜日、7月22日(火)、8月12日(火)
※2025年7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)は開館
■開館時間:
9:30~17:00(入館は16:30まで)
金曜日は20:00まで開館(入館は19:30まで)



\毘首羯磨と伎芸天!(石畳熱い...by井並)/

明治古都館前で寝転ぶ二人

TOP
TOP

タイトルとURLをコピーしました

SNSでシェアする
X
facebook
LINE
copy