こんにちリン!トラりんだリン!
(トラりん)
ことしも「新収品展」のきせつだリン☆
えっとー、新収品展って何だっけ?
(山内研究員)
トラりん、こんにちは!
山内研究員!
トラりん、新収品展は京博が新たに収蔵した作品をおひろめする展覧会なんだけど、ご存知ないかな...?
うん、ボク初めてかもしれないリン...(真剣)
では、これでどうでしょう!
バッ
な、なに!?この記憶は...アタマに勝手に再生されていくリン...!
(過去の新収品展の虎ブログがズララララ)
・2018年①
・2018年②
・2019年
・2022年
・2023年
ふふ、思い出してくれてよかった♪
今年の新収品展は私が担当しているよ。今回の展示では2024年度までに京博が新たに収蔵した美術品・文化財の中から、さまざまな分野での名品、約60件を展示するよ。
今年はどんな作品が見られるのか、楽しみだリン!
それでは展示室へ...
行ってみよう!
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最初に紹介する作品は、重要美術品「山水図(さんすいず)」だよ。
あ!チラシで見た作品だリン!
トラりんにとっては親近感のわく作品かな?
うん、すいぼくがたいぷだリン!
この作品は周文という室町幕府に重用された15世紀前半の相国寺(しょうこくじ)の水墨画の画僧が描いた、と伝わっているよ。周文といえば、あの雪舟が絵を学んだ先生なんだ。
雪舟さんの先生!?すごい人だリン!!
この作品は「伝周文」とあるように、周文の真筆とは言い切れないんだけど、周文が生きていた時代に、彼の近くで描かれたと考えられる貴重な作品なんだ。その画風は周文様式と呼ばれて、以後の様々な漢画流派の基礎とされたよ。
「漢画」って?
「漢画」とは、時代により語義や用法が変化しているので少しややこしいのだけど、ここでは日本で描いた中国風の水墨画を意味するよ。室町禅林を中心として宋元画の様式による水墨画を描いた画僧や絵師を漢画派と称したよ。
中国風のすいぼくが!秋の特別展「宋元仏画―蒼海(うみ)を越えたほとけたち」にもつながっていそうだリン!
そうそう!宋元仏画展では、日本の絵師たちがお手本にした本場中国から渡ってきた水墨画がたっぷり見られるよ!
楽しみだリン♪
つづいて紹介するのは、「八尾狐図(やおのきつねず)」だよ。
キツネりんだリン🦊しっぽがいっぱい!
何本あるか分かるかな?
ひぃ、ふぅ、みぃ...8本!ふしぎなキツネりんだね!
たしかに、「九尾の狐」なんかは有名だけど、八尾は珍しいよね。これは三代将軍徳川家光が夢で見た不思議な狐を、江戸狩野派の狩野探幽に描かせた絵だそうだよ。
家光さんが夢に見たキツネりん!特別な意味がある夢だったのかな...?
この夢を見た後、家光は当時患っていた病が回復したんだって。
でも実はね、家光は尊崇する祖父・家康を夢に見ると病が快方に向かう、という経験をよくしていて、そのたびに家康の姿を探幽に描かせたそうだよ。そしてこの狐りんは家康の使者と考えられたんだよ。
へー!おじいちゃんのお使いのキツネりんなんだね!「れいげんあたらか」だリン!
「霊験あらたか」ね。トラりん、難しい言葉を知っているね!
えへへ☆それにしても、なんでしっぽが8本もあるのかな?ボクのしっぽは1本だけだリン...(しょんぼリン)
数字の「八」は、日本では「末広がり」のおめでたい漢字だからかな。
トラりんは1本だけど、幸運を呼ぶ「鍵尻尾」だね!
ボクのしっぽもおめでたいの?よかったリン♪
さわってもいいよ!
ありがたや、ありがたや...
さて、続いて紹介するのは、「五月人形飾(ごがつにんぎょうかざ)り」だよ。トラりんは男の子だから、五月人形は見たことあるかな?
うーん、ボク、お人形はひな人形の方がよく見ているかも!
そっか、展示ではひな人形の特集展示を毎年見ているもんね!雛まつりの桃の節句は女の子の行事だけど、五月人形は五月五日の「端午の節句」に、男の子の健やかな成長を祈って飾る人形だよ。もともとこの時期に葉を茂らす菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)を飾ったり、煎じて飲んだり、お湯に浮かべて邪気を祓っていたのが、後に「菖蒲」を「武を尚(たっと)ぶ」という意味の「尚武」になぞらえて、鎧兜(よろいかぶと)を飾る風習が始まったんだ。その頭上の細工人形が独立・発展して、武者人形、つまり五月人形になったといわれているよ。
そういえばボクも、子どもの日にはトラりんかぶとをかぶったことがあるリン!かぶとやよろいを飾ることから、お人形をかざることに発展していったなんて、面白いリン!
でも、このお人形はよろいかぶとをつけているようには見えないね?馬りんと魔法使いのおじいさんもいて、なんだかメルヘンだリン♪
この人形は、武神として崇められた応神天皇(おうじんてんのう)とその伝説上の家臣である武内宿祢(たけのうちのすくね)、そして神の乗り物である神馬がならんでるよ。二人とも古代の装束を身に着け、玉の飾りのついた剣を携えて立派だね。
古代の衣装なんだね!天皇さんがモデルになるのは、ひな人形にも似ているリン!
そして最後に紹介するのが、「赤木綿地菩薩文様更紗敷物(あかもめんじぼさつもんようさらさしきもの)」だよ。
わ!あざやかな色の布だリーン!
トラりん、「更紗(さらさ)」という布を知っているかな。実は今年のお正月の「巳づくし」でも、水谷研究員と更紗を見ているんだよ。
虎ブログ:新春特集展示「巳づくし―干支を愛でる―」を見に行くリン♪
うーん、なんとなく「さらさ」って言葉を聞いたことがあるような気がするリン...
水谷研究員から紹介があったように、「更紗」はインドにルーツを持つ布なんだ。語源については諸説あるけど、「最高級の木綿布」をサラーサと呼んだとも言われているよ。
最高級!サラーサってなんだかキレイな響きだリン✨
異国情緒を感じる響きだよね!木綿というと、今では身近な布だけど、紀元前から12世紀頃までは、主にインドだけで生産される珍しい布だったんだ。
え!そうなんだ!お洋服にも、たくさん使われているイメージだリン!昔話に出てくる「いったんもめん」も、もめんの布のおばけでしょ?
トラりん、妖怪にも詳しいね!夏だから怪談を聞いたのかな。
あ、あと、おとうふにも、もめん豆腐があるリン...(じゅるり)
食べもののお話となると、頭の回転が速くなるね。なぜ木綿が珍しい布だったかというと、原料となる綿花が気温の高い地域でしか育たない植物だったからだよ。
そっかぁ、「さらさ」はどんな特徴があるの?
更紗は色鮮やかな文様染が特徴だよ。木綿は絹と比べて染色が難しいのだけど、インドでは古くから「媒染(ばいせん)」や「防染(ぼうせん)」の高い技術により、洗濯しても色落ちしない文様染が発達していたよ。
洗濯しても色落ちしないなんて、インドの知恵はすごいリン!
更紗は大航海時代にヨーロッパや東アジア、そして日本にもたらされ、たちまちに世界中で人気となり、大ブームを巻き起こしたよ。これは暹羅(シャム)王国の王族がインドに発注した更紗なので、仏教国である暹羅の好みが表れているね。
シャム王国ってどのへん?
現代のタイを指すよ。菩薩様のお顔やお姿をじっくり見てみて!
あれ?よーく見ると、ぜんぶすこしずつ、ちがうおかおに見えるリン!
よく気づいたね!そう、これらは全部手描きなんだよ!
えー!こんなに大きな布なのに!?ものすごい量だリン!
3mを超える生地には1000近くの菩薩が表わされているので、大変な手間暇がかかっているよね。手描きの更紗は暹羅では王族のための高級品とされたんだ。
王様のとくべつな布だったんだね♪貴重な「さらさ」を見られて嬉しいリン!
博物館ディクショナリーでも詳しく紹介しているから、ぜひ展示室の入り口で手に取ってみてね。
うぇぶ版もあるリン♪
世界を魅了した更紗--「シャム渡り」更紗から--
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トラりん、今年の新収品展はいかがだったかな?
いろんな分野の作品が見られて、見ごたえたっぷリン🍮だったリン♪それに、収蔵品が増えると、ボクは「なかま」が増えるみたいな気持ちになるから、なんだか嬉しいリン!
うふふ、トラりんはそんな気持ちになるんだね。新しく収蔵された作品は、これから京博で大切に管理・保管していくよ。今回の新収品展の作品も、これまでの京博のコレクションも、長く人々に愛されるといいね。
たくさんの人に守られて、大切にしてもらって...作品って、なんだか赤ちゃんみたいだね!
トラりんも1歳の赤ちゃんだもんね。
京博の赤ちゃんだリン!
赤ちゃんパワーで、みんなを笑顔にしてくれてありがとう!京博のみんなもおともだちも、成長を見守っているよ!
展示室で待っているリン!
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■会期:
2025年7月8日(火)~8月24日(日)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館1F-2~6
■休館日:
月曜日、7月22日(火)、8月12日(火)
※2025年7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)は開館
■開館時間:
9:30~17:00(入館は16:30まで)
金曜日は20:00まで開館(入館は19:30まで)
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\はいたっち!/