こんにちリン!
トラりんだリン!
(トラりん)
きょうは羽田研究員と待ち合わせをしているよ!「さつま」なんとかって言っていたから、きっと焼きいもパーティだリン!
(羽田研究員)
いしや~きいも~。

焼きいも屋さん!じゃなかった。
羽田研究員!

トラりん、せっかくだけど、きょうは焼きいもする日じゃありません。

え?

今から、特集展示「薩摩島津氏と東福寺即宗院」を見に行くんだよ。

あ、「さつま」だけ聞こえていたリン。

今回紹介するのは、東福寺の「即宗院(そくしゅういん)」という寺院に関する展示だよ。「即宗院」は、九州南部、今の鹿児島県あたりをおさめていた島津氏久(しまづうじひさ)という武将の菩提を弔うために、嘉慶元年(1387)に建てられたと伝わるお寺なんだ。永禄12年(1569)に火災で焼失してしまったんだけど、子孫の島津家久(いえひさ)ががんばって、慶長18年(1613)に再建したんだよ。
その歴史を伝える古文書は、長い間行方不明だったのだけど、それがこのたび京博に、なんと88通も寄贈されたんだ。ほとんどは書状、つまりお手紙で、今展示しているものは即宗院の再建プロジェクトにかかわる貴重な作品なんだよ。

そんなすごい作品が見つかったんだ!
でも、九州と京都だと、お手紙が届くのはずいぶん遅くなるんじゃない?

今みたいに便利な世の中じゃないから、お手紙ひとつ届けるのも、大変だっただろうね。ちなみにこの時期の島津氏は、京都の伏見に屋敷を持っていて、再建プロジェクトを動かしていた島津氏の家臣は伏見に住んで事業に携わっていたと思われるよ。

伏見と東福寺ならご近所だリン!だったら、再建するのもあっという間だったのかな?

いやそれが、この事業には、30年以上もかかっているんだよ。

なんでそんなに長い時間がかかったの?

島津氏はもともと鎌倉時代、南九州に興った武家の名門で、この即宗院を再建しようとしたときは、九州制覇に乗り出した頃、つまり、とても勢いがあったんだ。

イケイケだリン!

でも、即宗院再建プロジェクトの途中で、あの豊臣秀吉の九州攻めがあったり、関ヶ原の戦いがあったり、御家の一大事でバタバタして、お寺の再建どころじゃなくなってしまったんだ。

それで30年以上もかかったんだね!

それでは、さっそく展示室に...


行ってみよう!
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最初に紹介するのは「沼津承正書状(ぬまづじょうしょうしょじょう)」だよ。

長岡成光氏寄贈・京都国立博物館所蔵

じゅるり...さつまいもカラーだリン...🍠

そんなところに気づかないの!

えぇっと最初の作品は...あれ?沼津?さっきからお話に出ていたのは島津じゃないの?

この手紙を書いた人は、沼津承正という画家なんだ。

画家!?

文中に「御座敷絵の儀」と書いてあるのが見えるかな。この画家は、島津氏から依頼を受けて即宗院の障壁画(しょうへきが)を製作したらしい。東福寺のお坊さんに、できた絵の取り付けのスケジュールを尋ねている手紙だよ。

へー!有名な画家だったの?どんな絵を描いたのかな?

残念ながら障壁画は失われてしまっていて、承正の作品で残っているのはお医者さんの肖像画1点なので、どんな人だったのか謎に包まれているんだよ。この手紙が、彼の足跡を知るヒントになるかも。

古文書から解き明かされるみすてりー!すごいリン✨
ところで、どうして下半分の文字はさかさまになっているの?

よく見ているね、トラりん!
当時は「折紙(おりがみ)」といって、紙を半分に折って文章を書くことがあったんだ。このお手紙を見てね。

あ、羽田研究員がボクに書いてくれたお手紙?

まず、こうやって紙を上下に半分に折って、折り目を下にした状態で、右から左に向かって書いていくよ。

フムフム...

そして、文章が長くなると、折り目を下にしたままひっくり返し、続きを書いて...

折り目はいつも下にするんだね☆

紙を開いたら、こうなるよ。じゃーん。

ぱか!文字がさかさまになっているリン!

文字が上下向かい合うお手紙は、こういう書き方をされていたんだよ。

なっとくだリン!

それでは次に紹介するのは「北郷時久書状(ほんごうときひさしょじょう)」だよ。

長岡成光氏寄贈・京都国立博物館所蔵

どんなお手紙?

この手紙が書かれたのは、天正8年(1580)閏(うるう)3月11日。冒頭に「即宗庵御再興に就き」と書いてあって、この再建プロジェクトの初期段階のものだよ。島津氏はライバルの豊後国(大分県)の大友氏に圧勝した後で、九州制覇に向けて勢いに乗っている時期だったんだ。

イケイケどんどんだリン!

ただ、さっきも言った通り、時代の変化にともなう御家の危機で、再建プロジェクトは順調には進まず、結局30年以上かかったんだよ。

戦国の世は大変だリン!

この手紙が展示の最初にあることからも分かってもらえると思うけど、作品は時代順に並んでいるよ。順番に見ていくと、再建の流れが追えるようになっているんだけど、こんなふうに手紙の内容などから、書かれた年代を特定したり、しぼりこむのはとっても大変で...

研究員も大変だリン!!

手紙の見た目にも注目してみよう。何か気づいた点はないかな?

うーん、このぴらってなっているところ!

そう、気になるよね。これ、なんだと思う?

なんだかひっぱりやすそうな形をしているリン!

なかなかいい線いっているね。当時、こうした手紙は左端からたたんだ状態で届けられたよ。だから、たたんだ後にこのひもに見える部分で結んでいたんだ。

中身を見られないようにしたのかな?

鋭い!さすが博物館の虎!そんなわけで、読み解きは難しいけど、とても貴重な作品であることは、トラりんも分かってくれたんじゃないかな。

うん、おもしろかったリン!

鑑賞ガイドに、現代の活字になおした手紙の全文を載せているよ!ぜひ見ながら展示を楽しんでね!
鑑賞ガイド(PDF)

羽田研究員、ありがとリン!おなかがすいてきたらから、おいもを食べに行こ!

...トラりん、もしかしてずっとおいものこと考えてた?


展示室で待っているリン!
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■会期:
2025年12月16日(火)~2026年1月25日(日)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館1F-2
■休館日:
月曜日、2025年12月29日(月)~2026年1月1日(木・祝)、2026年1月13日(火)
※ただし2026年1月12日(月・祝)は開館
■開館時間:
9:30~17:00(入館は16:30まで)
金曜日は20:00まで開館(入館は19:30まで)
■関連土曜講座:
2026年1月24日(土) 13:30~15:00
「東福寺即宗院とその文書」
講師:羽田 聡(京都国立博物館 企画室長兼美術室長)
当日、9:30より平成知新館1階インフォメーションにて整理券を配布します。定員になり次第、整理券配布を終了いたします。