開催概要
本展は、新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のため、事前予約優先制を導入します。
皆様のご理解、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
また、会期等は今後の諸事情により変更する場合があります。随時、当ウェブサイトや当館公式Twitterにてお知らせいたしますので、ご来館の際は最新情報をご確認ください。
展覧会名 | 特別展 京(みやこ)の国宝―守り伝える日本のたから― |
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会期 | 2021年7月24日(土)~9月12日(日) 前期展示:2021年7月24日(土)~8月22日(日) 後期展示:2021年8月24日(火)~9月12日(日) ※一部の作品は上記以外にも展示替を行います。 |
会場 | 京都国立博物館 平成知新館 |
交通 | JR、近鉄、京阪電車、阪急電車、市バス 交通アクセス |
休館日 | 月曜日 ※ただし8月9日(月・休)は開館、10日(火)休館 |
開館時間 | 9:00~17:30(入館は17:00まで) ※夜間開館は実施しません。 |
観覧券 |
観覧料 一 般 1,600円 大学生 1,200円 高校生 700円
本展は、新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のため、事前予約優先制を導入します。ご来館前にローソンチケットにて人数分の「日時指定観覧券」をご購入、発券ください。無料対象の方(未就学児、無料観覧券持参者を除く)もローソンチケットにて人数分の「無料日時指定観覧券」のご予約、発券が必要です。いずれも数量限定で、なくなり次第終了します。 (チケット販売終了) |
関連土曜講座(プレ講座) |
本展覧会の開催前にプレ講座を行います。記念講演会と参加方法が異なるのでご注意ください。
○ 6月26日(土) |
記念講演会 |
① 7月24日(土) ② 7月31日(土) ③ 8月7日(土) ④ 8月21日(土) ⑤ 8月28日(土) ⑥ 9月4日(土) 【時 間】13:30~15:00 【会 場】平成知新館 講堂 【定 員】各100名 ※適切な間隔を保つため、定員100名(通常の半数)にて実施いたします。 ※抽選による座席指定制です。応募方法は下記のとおりです。 【料 金】聴講無料(ただし、講演会当日の本展覧会観覧券が必要) 【応募方法】
はがき・ファクスでのご応募 |
音声ガイド | 【貸出料金】1台600円(税込) 【言語・収録時間】日本語(約40分)・英語(約35分) 【貸出受付時間】9:00~16:45 |
展覧会図録 | 詳細は特別展図録 |
主催 | 文化庁、京都国立博物館、独立行政法人日本芸術文化振興会、読売新聞社 |
特別協賛 | キヤノン、JR東日本、日本たばこ産業、三井不動産、三菱地所、明治ホールディングス |
協賛 | 清水建設、髙島屋、竹中工務店、三井住友銀行、三菱商事 |
特別協力 | 宮内庁(宮内庁三の丸尚蔵館) |
関連サイト | 京都国立博物館の長い歴史とその役割を紹介します。 京博ものがたり |
展覧会公式サイト・SNS | ※公式サイト・ツイッターは終了しました。 |
展覧会の見どころ
今に残る古の品々は、大勢の人々の手を経て、過去から現代へと伝えられてきました。我が国はそうした貴重な品々のうち、特に歴史上、芸術上たぐいない価値を持つものを重要文化財や国宝に指定する制度を設けています。文化財を国民的財産として活用しつつ、将来まで確実に伝えるべく、指定を出発点として社会全体で管理や保護がはかられています。
とりわけ古都、京都の文化財は早くから重視され、文化財保護の進展に重要な役割を果たしてきました。この日本を代表する歴史都市は、同時に我が国の誇る学問や芸術の一大拠点でもあり、令和4年度には文化庁の京都移転も控えています。
本展は、そのような京都ゆかりの名高い国宝、皇室の至宝の数々を中心にご覧いただきながら、文化財のもつ不滅の魅力とその意義をご紹介しようとするものです。会場では、長きにわたる我が国の文化財保護のあゆみや、日々の調査研究、防災、修理といった、文化財を守り伝える上で欠かせない様々な取り組みも取り上げます。本展を通じ、日本の歴史と美術工芸の粋をご堪能いただくとともに、私たちの社会にとってかけがえのない文化財を後世に伝える営みに想いを馳せていただければ幸いです。
第1章 京都―文化財の都市
日本を代表する歴史都市、京都。現在、全国で1万件をはるかに超える国指定の美術工芸品のうち、およそ6分の1以上が京都府下に所蔵されています。平安時代以来、千年以上にわたり都であり続けたこの地には、日本の美術や歴史にとって極めて重要な品々が多数伝わっており、その保全は国を挙げた重大な課題であり続けてきました。古の品々をなぜ守るのか、いかに伝えるのか。本章では、早くからこの問いに向きあってきた京都と文化財の深い関わりを見つめながら、私たちの国宝が生まれ出るまでのあゆみを辿ります。
1.文化財指定のあゆみと京都
明治維新を迎えた近代の激動の中、日本の文化財は大きな危機を迎えました。しかし古都であり、古来の文化都市であった京都には古美術品や歴史資料の価値を知る人々が多くおり、国も地域も早くからその宝物の保全に目を向けはじめます。京都は奈良とともに文化財保護の先進地となり、当地の人々は貴重な品々を維持すべく、博物館の設置や法律の整備などに向けて動きました。文化財のための初の法律として明治30年(1897)、「古社寺保存法」が制定され、国宝の指定制度がここに始まります。これを礎として以後、昭和4年(1929)の「国宝保存法」、昭和25年(1950)の「文化財保護法」と発展しながら現代に至っています。
2.最初の国宝―昭和26年6月9日指定
明治時代以来、試行錯誤を続けながらも文化財を守る営みは絶え間なく行われましたが、太平洋戦争と終戦後の混乱は多くの困難をもたらしました。特に昭和24年(1949)の法隆寺金堂壁画焼損の悲劇を契機の一つとして、保護のあり方は抜本的に、総合的に改革されます。これにより生まれたのが現行の「文化財保護法」であり、この新法による新たな指定制度に基づく、私たち国民の宝としての重要文化財、そして国宝です。いまだ国力の限られる中、将来の日本社会のために永く責任をもって守り伝えるべき優品が議論され、昭和26年(1951)6月、戦後最初の国宝が誕生しました。
第2章 京の国宝
昭和25年(1950)の「文化財保護法」制定以来、今日までに国指定品となった美術工芸品は重要文化財10,808件、うち国宝898件の多きに上ります(令和3年7月段階)。戦前における指定の枠組みは絵画、彫刻、工芸、刀剣、文書・典籍・書蹟の5部門でしたが、戦後は絵画、彫刻、工芸品、書跡に組み変わった上、新たに考古資料が加わりました。後に書跡から古文書が独立、昭和50年(1975)には歴史資料が加わり、現在は7部門で国内に所在する様々な性格の文化財をカバーしています。指定品には名宝として古くから知られるもののほか、調査研究の進展や学術の進歩を通じて新たに見出されたものが加わり、少しずつ拡充が進んでいます。本章では特にその精華ともいうべき、京都の土地や人ゆかりの国宝の数々をご覧いただきます。
1.絵画
2.書跡・典籍・古文書
3.考古資料・歴史資料
4.彫刻
5.工芸品
第3章 皇室の至宝
文化財を守り伝えるにあたって行政と共に大きな役割を果たしてきたのが、古来、京都にゆかり深い皇室です。明治維新に伴って古の宝物の多くが危機に晒される中、東海や近畿を中心にあった皇室ゆかりの施設やその収蔵品は、再び古の文化に人々の目を向かわせる重要な契機をつくりました。文化財をめぐる近代の様々な事業には宮内省が大きな役割を果たしたほか、皇室は古来の重要な伝世品を保管しつつ、多くの名宝の献納も新たに受け入れ、時に社寺に援助を与えるなどして、日本の歴史と文化の守護者として活動します。本章では、こうした皇室ゆかりの至宝を特に厳選してご紹介します。
第4章 今日の文化財保護
文化財保護には、多くの課題があります。まずどこに、何があるのか。それは学術的にいかなるもので、私たちの社会にとってどのような価値を持つのか。貴重な品々の所在や状態をいかに把握し、災厄から守ればよいのか。保存状態が悪化した場合、どのように修理を加えるかなど、多くの議論と事業が私たちの文化財を支えています。脆く失われやすいものの価値を守り、社会の中で生かしつつ、確実に将来に受け継ぐためには、永く地道な活動が不可欠です。本章では、京都を中心としつつさらに全国にも目を向け、文化財保護に欠かせない様々な取り組みについてご紹介します。
1.調査と研究
文化財をよく知り、その価値を守っていく上で、専門家による調査と研究は欠かせません。全国では日々、各方面の関係者の連携のもと、膨大な品々の所在や状態などが確認、把握されています。日本の文化財はその長い歴史の中で、素材や伝来の事情に応じて様々な伝わり方をしており、今なお知られぬものが各地に眠ってもいます。また科学技術と学術の進歩が、既知の文化財について新たな価値を明らかにすることもあります。調査と研究を通じて状況の把握に努めることは文化財保護の第一歩であり、毎年行われる新たな重要文化財、国宝の指定もまずは調査からはじまるのです。
2.防災と防犯
各種の災害や犯罪への対策は、文化財の保全にとって極めて大きな課題です。過去に発生した文化財をめぐる数々の痛ましい悲劇は、私たちの社会に、防災や防犯に対する重大な警鐘を鳴らしてきました。今なお文化財の損失が完全に無くなることはありませんが、事故を未然に防ぎ、万一の場合も被害を抑えられるよう、設備の導入や日々の点検、組織の整備などが図られています。文化財の詳細な調査記録や修理技術の研鑽もまた、こうした脅威への備えとして大切な役割を果たしています。特に昭和24年(1949)の法隆寺金堂壁画の焼損を教訓に、文化庁では事故のあった1月26日を文化財防火デーに定めています。
3.修理と模造
日本に残る文化財の多くは、非常に脆弱な素材で出来ています。劣化が避けられないゆえに定期的な修理が不可欠で、修理事業は近代以来、文化財保護の柱石として重視されてきました。ものの価値を損ねることなく、責任もって将来に伝えられるよう、修理にあたってはその時点で最も適切な技術と素材が注意深く選ばれています。またそうした技術や素材を活かし、精巧な模写や模造を制作することも出来ます。それらは、その品々が作られた技法について深く知る糸口を与えてくれるものであり、古来の優れた技やものの継承にひと役買うとともに、文化財の鑑賞にとっても重要な寄与をしています。