こんにちリン!
トラりんだリン!
みんな、新春特集展示「子づくし─干支を愛でる─」は楽しんでくれているかな?
今年の干支のネズミにまつわるかわいい作品を、たくさん見てもらえるリン♪
→虎ブログ「新春特集展示「子づくし─干支を愛でる─」を見に行くリン♪」
「子づくし」とあわせて、京博ではいま3つの特集展示を行っているよ☆
今日は、そのうちのひとつ、特集展示「京都御所障壁画 紫宸殿(ししんでん)」(平成知新館2F-4)を見に行く約束をしているんだけど...
お正月にごはんを食べ過ぎたせいか、胃が大きくなって、いつもよりすぐにお腹が空いてしまうリン!
あー、お餅食べたい。
福士研究員:トラりんはお正月を楽しく過ごしたかな?
今回もよろしくね。
トラりん:福士研究員☆
ねーねー、お正月にお餅たくさん食べた?
ボクなんて、朝・昼・晩で...
福士研究員:そっかぁ、トラりんはそんなに展示を楽しみにしてくれてたんだね!
トラりん:え?
福士研究員:うんうん、トラりんはきっとこの展示を好きになってくれると思ってたんだよ!
トラりん:お餅...
福士研究員:それじゃあ、素晴らしい作品を見に行こう。
展示室に出発―!
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トラりん:福士研究員とお餅の話したかったのにっ=3
それで、今回のタイトルにもある「紫宸殿」ってなぁに?
福士研究員:特集展示「初公開!天皇の即位図」の虎ブログでもちらっと紹介したけど、紫宸殿は、内裏(現在の京都御所)に建つさまざまな殿舎のなかでも最も格式が高く、その中心となる御殿なんだよ。
トラりん:紫宸殿の中にある高御座(たかみくら)に座る、霊元天皇の姿を見たよね☆
天皇の姿がはっきりと描かれた即位図は珍しいと教えてもらったリン!
福士研究員:その最も格式が高い紫宸殿の母屋と北庇(きたびさし)を仕切る障壁画が「賢聖障子(けんじょうのしょうじ)」だよ。
内裏は、歴史上たび重なる火災に見舞われながらもその都度再建されてきたんだ。
現在の京都御所は安政2年(1855)に造営されたものなんだよ。
内部を飾る障壁画の多くはその時新調されているんだけど、じつは焼失をまぬがれた紫宸殿の賢聖障子は、寛政4年(1792)に制作されたものが残っているんだ。
トラりん:そうなんだ!
火災にあいながらも、今に伝えられたなんて、とってもドラマチックだリン!
福士研究員:さっそく「賢聖障子(けんじょうのしょうじ) 住吉広行(すみよしひろゆき)筆 (宮内庁京都事務所所蔵)」を見てみよう。
トラりん:ん?!
これぜんぶ?!
とっても大きいリン!!
福士研究員:そう!まずはこの大きさを体感してほしいな。
高さ約2.5メートル、横幅約2.6メートルの大きな障子が9面並ぶようすは壮観でしょ。
2.5メートルというと、僕の身長が178㎝だから、そのちょうど1.40449438倍ということになるね。
トラりん:全然キリがよくないリン...
お正月早々、かえってわかりにくいからやめてほしいリン。
福士研究員:そう?
まあ、ミニバスのゴールの高さと同じくらいと言えばわかりやすいかな。
トラりん: 微妙だリン。
福士研究員:中央の一面に獅子狛犬と瑞獣(ずいじゅう)である負文亀(ふぶんき)が、残る八面には中国・殷(いん)時代から唐時代にいたる賢臣(けんしん)が各面4人、計32人描かれていて、上部に貼られた色紙には人物の名前や功績が記されるという形式がほぼ決まっているよ。
なんと、平安時代から描かれているという長い歴史をもつ絵なんだ。
トラりん:あ、本当だ☆
獅子狛犬も、負文亀もすごくかっこいいリンっ!!
ほかは、どれも色鮮やかな着物を着たひとと文字が描かれているね☆
福士研究員:トラりん、獅子狛犬が描かれたところをよく見てごらん。
扉がついているのがわかるかな?
トラりん:本当だ!
絵の中に扉があるリン☆
あれ?
ほかにも扉がついている画面があるよ!
福士研究員:獅子狛犬が描かれた中央の扉は、儀式の際に天皇が通るところなんだよ。
そして、そのほかに2か所ある扉は、儀式に奉仕する人々が通るところなんだ。
トラりん:そうなんだ!
普通の襖と違って動かないから、絵の部分にドアを作っているんだね!
福士研究員:描いたのは幕府の御用絵師・住吉広行。
寛政度に制作された賢聖障子は、幕府儒官(ばくふじゅかん)・柴野栗山(しばのりつざん)が主導して綿密に図様考証を行い、何度も下絵の修正が行われたため、殿舎の造営から約2年遅れて完成したんだ。
人物の服装や持ち物、ポーズにいたるまで、徹底的に検討が行われたことが知られているよ。
重要な儀式を執り行う格式の高い場所を飾る障壁画だからこそ、時間をかけてのちのちの手本となるような絵に仕上げようとしたんだね。
トラりん:2年!
伝統を受け継いでいくために、時間をかけて大切に描かれたことが伝わってくるリン☆
福士研究員:いまの紫宸殿には昭和40年代に制作された模本が立てられていて、原本は別に保管されているから、原本9面すべてが公開されるこの特集展示はものすごく貴重な機会!
文化14年(1817)に即位した仁孝天皇以降、明治・大正・昭和にいたる歴代天皇の即位を見守ってきた障壁画と考えたら、感慨深いよねえ。
9面全てが御所の外で公開されるのは、なんと今回が初めてなんだ!
だから...
2人:
\見逃せないっ!!/
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1月25日の「土曜講座」は、今回紹介した特集展示の関連講座
「江戸時代後期、御所造営にともなう賢聖障子の製作過程」(講師:帝京大学准教授 鎌田 純子 氏)を開催するリン♪
そして、2月22日の「土曜講座」は、福士研究員による「近世の画家のスケッチ」だよ♪
次の名品ギャラリー「画家のスケッチ」(会期:2020年2月4日(火)~3月22日(日))の関連講座☆
どちらも展示と合わせて楽しんでもらえたら、うれしいリン♪
さ・ら・に☆
福士研究員がちいさいおともだちにもわかりやすく解説している
「博物館Dictionary No.218」も、ぜひ読んでほしいリン!
「賢聖障子」に描かれた中国古代の人物のお名前も書かれているから、子虎にもわかりやすいリン♪
博物館Dictionary No.218(PDF版)
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カリスマ販売員:福士研究員もお話ししてくれている、
『トラりんと学ぶ日本の美術① 王朝の雅』も
好評発売中!!
『トラりんと学ぶ日本の美術 ①』(淡交社)刊行記念
トラりんのサイン会 開催決定!!
■日時:2020年1月26日(日)15時より
■会場:大垣書店イオンモール京都桂川店
■詳細はこちら☆
大垣書店:【1/26開催】トラりんサイン会 のお知らせ
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特集展示 京都御所障壁画 紫宸殿
■会期:2020(令和2)年1月2日(木) ~ 2月2日(日)
■会場:京都国立博物館 平成知新館 2F-4
■交通:JR、近鉄、京阪電車、阪急電車、市バス
■休館日:月曜日
※ただし2020年1月13日(月・祝)は開館し、翌1月14日(火)を休館
■開館時間:
火~木・日曜日:9:30~17:00(入館は16:30まで)
金・土曜日:9:30~20:00(入館は19:30まで)
■観覧料:
一般 520円(410円)
大学生 260円(210円)
高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は無料です(年齢のわかるものをご提示ください)。
※( )内は20名以上の団体料金。
※大学生の方は学生証をご提示ください。
※障害者手帳等(*)をご提示の方とその介護者1名は、観覧料が無料になります。
(*) 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳
※キャンパスメンバーズは、学生証または教職員証をご提示いただくと無料になります。
■関連土曜講座:
1月25日(土)13:30~15:00
「江戸時代後期、御所造営にともなう賢聖障子の製作過程」
講師:鎌田 純子 氏(帝京大学 准教授)
詳細はこちら