こんにちリン!
トラりんだリン!
だんだんと涼しくなってきて、秋を感じることが多くなってきたよ!
これから紅葉が色づいて、京都はますます美しい季節になるリン♪
さて。
秋といえば、「食欲の秋」、「芸術の秋」、「スポーツの秋」...
いろいろあるけど、みんなは、なにが浮かぶかな?
ボクは、やっぱり「食(ry...
「芸術の秋」だリン!!
そう!ボクは京博PR大使っっ!!
いま、御即位記念 特別展「皇室の名宝」を開催しているから、京博で「芸術の秋」を楽しんでもらえたらうれしいリン♪
美しい作品が展示室に集まるって、予習をしたから知っているけど、ボク1匹だけじゃ力が足りないリン...
これじゃあ、みんなに特別展の素晴らしさをお伝えできないリンっ!
やっぱり、研究員の力が必要だリン!!
(井並研究員)
話は聞かせてもらったよ。
(トラりん)
井並研究員んんんんん!!
なんて、ドラマチックな登場☆
トラりんが京博PR大使としてがんばっているからね。
今回の特別展は、天皇陛下の御即位を記念して皇室ゆかりの地・京都で開催する展覧会なんだ。
宮内庁三の丸尚蔵館が所蔵する名品を中心に展示し、宮廷で培われた古典文化に親しんでもらいたいと思っているよ!
ねぇねぇ、井並研究員!
予習をしたときから気になっていたんだけど、宮内庁三の丸尚蔵館ってどういうところなの?
まず、長い歴史をもつ皇室には、さまざまな一級品が伝えられてきたんだ。
名家や寺社から献納された美術品、天皇をはじめ歴史上の人々が記した文書類、それに京都御所を飾る障壁画や、儀式や生活に使われていた調度品(家具・道具)などがあるね。
聖武天皇・光明皇后ゆかりの品を納める東大寺の正倉院も、そのひとつといえるよ。
戦後、日本国憲法によって京都御所や正倉院は国の財産になったんだけど、天皇家の所有品はその後も「御物(ぎょぶつ)」として受け継がれていた。
平成元年(1989)にそれらの多くが国有となったことを機に、適切な保存と調査研究、そして一般公開を目的として平成5年(1993)に開館したのが三の丸尚蔵館なんだ。
なんとっ!
じゃあ、今回は一級品だらけの展示ということ...?(ゴクリン)
そういうこと!今日は僕の担当の絵巻物を紹介するよ。
じゃあさっそく...
\展示室にしゅっぱーつ☆/
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まずは、こちらの作品から。
「春日権現験記絵(かすがごんげんげんきえ) 絵 高階隆兼(たかしなたかかね)筆 詞書 鷹司基忠(たかつかさもとただ)ほか筆(宮内庁三の丸尚蔵館所蔵)」<3F-2 前期展示:巻3、11、20、後期展示:巻1、15、19、目録>だよ。
細かい線で丁寧に描かれていて、色合いもきれいだリン♪
奈良の春日大社にかかわる説話を描いた絵巻物だよ。
絵巻としては珍しい絹地で、トラりんが言ってくれたとおり、たいへん美しい絵だね。
ほら、ここには平安貴族が暮らす邸宅の内部が描かれているんだ。
襖絵の細かさなど、ぜひ目を凝らして見てみて。
細部まで少しも緩むことのない描写には、驚嘆(きょうたん)しちゃうね。
この絵巻は、14世紀の初めに活躍した宮廷絵師、高階隆兼(たかしなたかかね)が手掛けたんだよ。
この作品のような、鮮やかな色彩と端正な画面作りは当時の人々の心も虜にしたようで、「隆兼様式(たかかねようしき)」ともいえる似たスタイルの絵画がたくさん生まれたんだ。
本当だリンっ!
細い線で、とっても細かく表現されているね☆
むかしのひとたちが、うっとリンした気持ちがよくわかるリン♪
この全20巻もの華麗な絵巻は、当時権勢を誇っていた西園寺(さいおんじ)家が制作したんだ。
西園寺家はあの有力な貴族・藤原氏の一門なんだけど、春日明神は藤原氏の氏神ということで、一族の繁栄を祈って企画したんだって。
貴族の真摯な信仰と、それに応える隆兼の手腕がこの傑作を生みだしたんだね。
もともと春日大社に伝わったけど、江戸後期以降いくつかの所蔵者に渡り、明治時代に五摂家のひとつである鷹司家から皇室に献上されたんだよ。
なるほどぉ...
そういう意味が込められているんだね!
どの作品にも、想いや歴史がつまっているリン♪
続いては、こちら。
「蒙古襲来絵詞(もうこしゅうらいえことば) 前巻(宮内庁三の丸尚蔵館所蔵)」<3F-2 前期展示:前巻、後期展示:後巻>を見てみよう。
強そうな人たちが、いっぱい...!
馬も興奮しているようだし、作品名通り戦の緊張感が伝わるね!
まるでその場にいるような気持ちになるリン☆
トラりん、「元寇」は知っているかな?
西暦1274年と1281年、当時東アジアを支配していた巨大なモンゴル帝国(元)が日本に進攻してきた大事件だよ。
これはその事件を描いた、教科書にも載っている超!有名作品なんだ。
この合戦に参加した肥後国(現熊本県)の武士である竹崎季長(たけざきすえなが)が、自ら作らせた絵巻なんだ。
見どころはトラりんが言ってくれたように、大迫力の合戦場面!
超有名作品っ?!
いつも思うけど、素晴らしい作品が京博の展示室でこうして見られるのはすごいリン!!
ボク...京博の虎(こ)で、よかった...(しみじみ)
末尾に「永仁元年(1293)二月九日」の年号が記してあって、合戦の直後に描かれていることから、武器・武具など現実をかなり正確に反映していると考えられていて、当時の合戦のようすがよくわかるよ。
ちなみにこの作品は、明治時代に熊本の大矢野十郎という人から皇室が御買上げしたもの。
彼は、合戦に参加し絵巻にもその奮戦ぶりが描かれている大矢野種保・種村兄弟の一族とみられ、熊本の地で大事に伝えられてきたことがうかがえるね。
熊本県☆
ボクもお邪魔したことがあるけど、とっても素敵なところだったリン!
(ごはんもおいしかった♪)
離れた土地で大切に伝えてくれたおかげで、いま、ボクたちも作品を見ることができるんだね!
さいごは、こちらの作品だよ。
「天子摂関御影(てんしせっかんみえい)(天子巻(てんしかん))(宮内庁三の丸尚蔵館所蔵)」<1F-4 通期展示、巻替あり>。
着ているものを見ると、上品で位が高そうな人たちが描かれているけど...
作品名にある、天子ってどういう意味なのかな?
天皇という意味だよ。
この作品は、平安時代から南北朝時代にかけての天皇、摂政、関白の肖像画を、それぞれ一巻ずつにまとめたものなんだ。
今回はそのうちの天皇を描いた巻を展示しているよ。
冒頭は、鳥羽天皇。平安時代後期に在位した天皇だね。
考えてみてほしいんだけど、昔は当然写真なんてなかったよね。
だから、人の姿を遠方や後世に伝えるには、絵や彫像に写すしかなかったんだ。
そう考えると、トラりんのかわいいポーズをいくらでも残すことができるデジカメやスマホの技術に感謝だね。
もうっ♪
かわいいだなんて...よく言われるリンっ☆
でも写真がない時代に、「伝えるために絵を描く」となると...
ボクならすごく緊張してしまうリン!!
とくに、天皇の姿を残すということがとても重要な仕事なのは想像できるね。
そういう特殊な技能が必要だったから、かつて人の姿を描く仕事を特別に担った家があったんだ。
その仕事、あるいは絵のことを「似絵(にせえ)」というよ。
この作品は、その似絵の家系に連なる藤原為信(ふじわらのためのぶ)と子の豪信(ごうしん)が描いたものだよ。
ただ、天皇を前にスケッチしたものではなく、そういう素材をもとに、きれいに絵具を塗るなどして決定版としてまとめた作品といえるかな。
これもやはり明治時代に、京都の曼殊院という門跡寺院(皇族や高位の公家が住した格式の高い寺院)に伝わったものが皇室に献上されたんだ。
似絵専門のおうち!!
それだけ大事なおしごとというのは、想像ができるリン!
絵を描いて伝えてくれたひと...
作品を大切にして伝えてくれたひと...
みんな、ありがとリン!!!
三の丸尚蔵館所蔵品や御物は、文化財保護法の対象外で、国宝や重要文化財の指定を受けていないんだ。
でも、今見てきたように、皇室には日本の歴史や美術史を語るうえで欠かせない一級品ばかりが伝わっている。
僕たちは、ついつい国宝・重要文化財の指定を作品の価値とみなしてしまうけど、必ずしもそれがすべてではないということだね。
今回の展覧会、コロナ禍のためいろんな制約はあるけれど、なるべく多くの人に見てほしいと思っているよ。
\京博で芸術の秋☆/
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カリスマ販売員:特別展「皇室の名宝」の作品がまとめられた図録が、な、な、なんと!
2,800円(税込)でお手元にっ!
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\井並研究員の記念講演会も♪/
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10月17日(土) 13:30~15:00
「皇室に伝わった絵巻の至宝―春日権現験記絵を中心に―」
講師:井並 林太郎(京都国立博物館 研究員)
定員:100名
各講演会に参加いただくには、「聴講券付き日時指定券」が必要です。 展覧会公式サイトより、各講演会の「聴講券付き日時指定券+観覧セット券」をご購入ください。無料対象の方は「聴講券付き日時指定券」をご予約ください。
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※ふれずに終わろうか迷った井並研究員のマスク☆
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\井並研究員も登場♪/
『トラりんと学ぶ 日本の美術③ 暮らしの意匠』
https://www.tankosha.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=2519
出版社:淡交社
監修:京都国立博物館
定価:1,650円(税込)
\おうちで楽しむ「特別展」/
京博に来られないおともだちも、おうちで「特別展」を楽しんでもらえたらうれしいリン♪
虎ブログ
予習編
鑑賞ガイド「宮廷文化ことはじめ」
鑑賞ガイド「宮廷文化ことはじめ」(日本語版)
Special Exhibition Guide (English)
皇家艺术品观赏指南(简体中文)
즐거움 100배 전시 감상 가이드 (한국어)
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御即位記念 特別展 皇室の名宝
本展は、新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のため、オンラインでの事前予約優先制(日時指定券)を導入します。
そのほか、新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のためのお願いにご理解・ご協力賜りますようお願い申し上げます。
また、会期等は今後の諸事情により変更する場合があります。随時、京博ウェブサイトや公式Twitterにてお知らせいたしますので、ご来館の際は最新情報をご確認ください。
■会期:2020年10月10日(土)~11月23日(月・祝)
前期:2020年10月10日(土)~11月1日(日)
後期:2020年11月3日(火・祝)~11月23日(月・祝)
■会場:京都国立博物館 平成知新館
■交通:JR、近鉄、京阪電車、阪急電車、市バス
■休館日:月曜日
※ただし、11月23日(月・祝)は開館
■開館時間:
9:30~18:00(入館は17:30まで)
※夜間開館は実施しません。
■観覧料:
一 般 1,800円
大学生 1,200円
高校生 700円
ご来館前に「日時指定券+観覧セット券」をご購入ください。無料対象の方も、人数分の「日時指定券」のご予約が必要です。
前期ご入館分 → 9月25日(金)10:00 予約開始
後期ご入館分 → 10月20日(火)10:00 予約開始