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2022年4月22日

特別展「最澄と天台宗のすべて」を見に行くリン♪ エピソードⅠ

こんにちリン!
トラりんだリン!

torarin

伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」がはじまったよ!
どんな展示かワクワクするよね♪
予習でよくわからなかったところも聞かなくちゃ☆
特別展「最澄と天台宗のすべて」を予習するリン♪

そろそろ来てくれるはずなんだけど...

oohara(大原研究員)
やあ、トラりん、お待たせ。

torarin
torarin(トラりん)
大原研究員☆

oohara
今年は寅年ということで活躍しているね。PR大使として頼もしく思うよ。今日もしっかり頼むね。
さて、今回の特別展は、東京、九州、京都の3つの国立博物館を巡回する展覧会なんだ。去年の秋に東京国立博物館、今年の2月からは九州国立博物館、そして最後を飾るのがここ、京都国立博物館。少し足を延ばすだけで延暦寺をはじめとする天台宗の名跡にアクセスできる京都会場は、まさに町全体が展覧会会場といってもいいだろうね。だから、皆さんには積極的に会場外にも飛び出していっていただきたいね。

torarin
町全体!壮大だリン!

oohara
たくさん見どころがあるから、とにかく展示室へ...

torarinoohara
\れっつごー☆/
torarin

oohara
まずは「国宝 聖徳太子(しょうとくたいし)及び天台高僧像(てんだいこうそうぞう) 10幅のうち 最澄(さいちょう) (兵庫・一乗寺所蔵)」<3F-1 4月12日~5月1日展示>を紹介するよ。
展覧会タイトルにも掲げられている最澄の現存最古の肖像画だよ。

torarin

torarin
現存最古!すごい!
いつの時代に描かれたものなの?

oohara
11世紀なんだけど、この肖像の原形は10世紀ころに作られたものと考えられているんだ。今回の展覧会で一番困ったのは、最澄さまを偲びたいのに、古い最澄の肖像がほとんど残っていない点。今見ているこの像も単独ではなく、10人の天台宗の高僧像の1幅として伝わったものなんだ。でも、実はこの残っていないというのも重要だと僕は考えている。
なぜかというと、最澄は、天台宗として尊崇すべきは、中国で天台宗の基礎を固めた天台大師智顗というお考えを持っておられからだと思うんだ。だから、11月24日の天台大師の命日のご法要は天台宗では重要で、天台大師のご肖像画はお寺でも備えておられる所が多いんだけど、6月4日の伝教大師の御忌日に特に法要を行うということは、延暦寺の御廟以外ではかつてはあまり一般的ではなかった。つまり、使わないので、肖像も残っていないわけだね。
皮肉なんだけど、ないことこそが、最澄の非常に謙虚なゆかしい人柄を偲ばせると思うんだ。だから、最澄に限らず、天台宗ではお坊さんの肖像美術が意外と低調で、これも展覧会の組み立てでは困らされた所だったんだ。その反面、天台宗で肖像画がたくさん残っている方、元三大師良源をはじめ、智証大師円珍、天海大僧正は、非常にカリスマのあった人で、その人の発する力、魅力を慕って作られた例外と言ってよいと思うんだ。

torarin
そうなんだ! 最澄さんがどんな人か、少しわかった気がするリン!

oohara
最澄の生涯は、あらゆる人々を救うという『法華経』の説く理想の世界を実現することに捧げられたんだ。だから、人々の生きる現実の姿を見据えて教えのあり方を模索し、全国にお弟子さんは散っていった。
例えば、僧侶は、一般人よりも厳しい戒律を守らないといけないとインド以来のきまりがあったんだけど、お釈迦さんから時代も場所も離れた日本で、インドでできた決まりをそのまま守るのはあまりにも困難で救われない人だらけになって仏教の趣旨に沿わない、だから出家者も一般の人同様、最低限守らないといけない菩薩戒(大乗戒)だけでいいとしたんだよ。それを僧侶の資格として朝廷に認めて欲しいと運動し、比叡山に大乗戒壇を設立したのは、ものすごく勇気のいる革新的なことだったんだよ。
この日本の現実と、一人でも多くの人々が救われることを見据えて何に力点を置いて仏教を説くか、という発想の転換こそ、仏教が時代の変化に合わせて日本の国民的宗教になっていく土台となったんだね。だから、民衆救済を標榜した鎌倉新仏教が、比叡山で学んだお坊さんによって作りだされていったわけで、その意味で、比叡山は日本仏教の母山、つまり母なる山とも言われているんだ。

torarin
torarin
なるほど~。長い説明だったけど、最澄さんのすごさは伝わってきたリン!

oohara
つづけて、最澄ゆかりで寺外初公開の秘仏「重要文化財 薬師如来立像(やくしにょらいりゅうぞう) (京都・法界寺<真言宗醍醐派>所蔵)」<1F-1 通期展示>を見ていこう。
山科の法界寺は、現在は真言宗醍醐派のお寺だけど、もとは天台宗だったと考えられるお寺で、藤原氏の一門の日野家のお寺だったんだ。この薬師如来立像は11世紀の作なんだけど、日野家に伝わった最澄が自ら刻んだ薬師如来の小さい像を胎内に納めたと伝えられ、そのお姿は延暦寺根本中堂の御本尊を写したと考えられるもの。根本中堂御本尊は秘仏だけど、当時信仰を集めたので、それをコピーしたお像が多く造られたんだ。こちらはそうしたお像のうちの一つということだね。
今回は大遠忌というご縁から特に出展が許可され、東京国立博物館でのX線CT撮影調査もお許しいただいたんだ。その結果、最澄ゆかりと伝えられる小像が、像内に納められている様子が改めて確認できた。昭和37年の解体修理時に存在が確認されてはいたんだけど、この調査で3次元のデータが得られたので、初めて3Dプリンターで出力し展示しているよ。このお像が、伝説通り最澄が自ら彫ったお像そのものかについては否定的な見解も多いけど、造られた当初は最澄自らが彫ったお像が納められていたことは間違いないだろうね。信仰の対象として後世取り出して別にお祀りし、そのお身代わりとしてこのお像が納められたのかもしれないね。
ちなみに、おなかの中に仏様がいらっしゃるので、この仏様は「乳薬師」と言われ安産の仏様として現在もお参りする人が絶えないんだよ。

torarin
X線CT調査!見えないところまでわかるって、すごいリン!
それにしても、お参りに来る人がたくさんいる大事なほとけ様なのに、よく展覧会への出展を許してもらえたね。

oohara
そうだね。これも最澄さんの御遺徳だろうね。通常は本当に御厨子の扉が閉まっている秘仏なので、ご信心の人もこの機会にぜひお姿を見ていただきたいね。で、2022年が最澄さんの大遠忌にあたる年ということで、特別に出展がかなった作品が他にもたくさんあるよ。
こちらは60年に一度しか公開されない愛媛の秘仏「菩薩遊戯坐像(ぼさつゆげざぞう)(伝如意輪観音)(にょいりんかんのん) (愛媛・等妙寺所蔵)」<2F-3 通期展示>。

torarin
oohara
このお像は、愛媛県宇和島近郊の鬼北町という所にある等妙寺にお祀りされている。このお寺が、とてもおもしろいお寺なんだ。岡崎に京都市動物園があるけど、そこは昔、法勝寺という皇室のお寺だった。鎌倉時代の終わりに後醍醐天皇のバックアップで恵鎮円観が再興するんだけど、その円観の弟子の理玉和尚が創建したのがこの等妙寺なんだね。

torarin
京都市動物園にはこの間お邪魔したよ!
むかしはお寺があった場所だなんて知らなかったリン。

oohara
京都は千年の都といわれるだけあって、どの場所もいろんな歴史を秘めているよ。
等妙寺はただのお寺ではなく、法勝寺の地方4拠点の一つとして繁栄したお寺なんだ。だから、こんな都ぶりの美しいお像が残されたのかもしれないね。

torarin
天台宗のお寺は各地にあるんだね。こんな風に今にも動き出しそうな観音さまは初めて見たよ!60年に一度しか見ることができないなら、見たことがない人もたくさんいるよね。

oohara
そう、僕もこのお寺の文化財調査に呼ばれて初めて知って、びっくりしたよ。
ところで、さっき法界寺の説明で、延暦寺の「根本中堂」と言ったけど、これは最澄が開いた比叡山延暦寺の総本堂のことで、現在の建物は織田信長の比叡山焼き討ち以降に徳川幕府の支援で再建されたもので、国宝に指定されているよ。現在、修理で素屋根が掛けられ工事現場の見学通路が設けられているので、今じゃないと見ることが出来ないものがあるから、是非行ってみて欲しいな。
それはそうと、そこには最澄自身が作ったと伝える秘仏の薬師如来像と、最澄が灯して以来消えたことのない「不滅の法灯」が安置されているんだ。

torarin
不滅の法灯!最澄さんが平安時代に灯してから消えたことがないってスゴすぎるリン!

oohara
そうだね。織田信長の比叡山焼き討ちは大ピンチだったんだけど、その少し前に山形県の立石寺(りっしゃくじ)に分灯していたので、そこから火種をもらって復活したという奇跡のリレーがあったんだよ。立石寺は有名なお寺なんだけど、トラりんは知っているかな?

torarin
りっしゃくじ??

oohara
江戸時代前期の俳諧師、松尾芭蕉の「閑(しずか)さや 岩にしみ入る 蝉の声」という俳句が詠まれたお寺なんだよ。

torarin
さすが大原研究員、物知りだリン!歴史のあるお寺には、いろいろなドラマがあるね。




oohara
さて、「特別」尽くしのこの展覧会だけど、もう一つ特別を紹介するよ。実は、不滅の法灯が安置されている根本中堂の内陣の様子を、1F-2展示室で部分的に再現しているんだ。

torarin
torarin
おお~。すっごく雰囲気があるリン!

oohara
そう。天井の高さがネックで東京や九州より少しスケールダウンしているけど、ぜひこの空間を体験してほしいな。しかもこの展示室だけは撮影可能だよ。
根本中堂は、内陣の秘仏の本尊と不滅の法灯が、外陣の参拝者と同じ高さに位置するようになっていて、誰もが仏になれるという『法華経』の精神を体感することができるんだ。さっき京都会場だけスケールダウンと言ったけど、そのおかげで本来のお堂と近い位置関係で、しかも間近で見ることができるんだよ。法灯の銅灯籠も昔使われていたものをお借りしているんだ。

torarin
本当に「特別」がいっぱいだね!

oohara
ほかにも「特別」がたくさんあるから...

torarin
ということは...?

torarinoohara
\エピソードⅡへつづく☆/
torarin



おまけ☆
カリスマ販売員の2人:
\図録(税込3,000円)もあるよ!/
torarin

\展示映像も/
「最澄の教えを受け継ぐ 比叡山延暦寺」(所要時間:約10分)
「天台宗の総本堂 国宝・根本中堂の大修理」(所要時間:約9分)
場所:2階ミュージアム・ラボラトリー
時間:9:00~17:15(2つの映像を繰り返し上映)

torarin
torarin

\おうちで楽しむ京博/
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特別展「最澄と天台宗のすべて」を予習するリン♪

鑑賞ガイド・ワークシート
子どもから大人まで、作品に楽しく向き合えるような鑑賞のヒントや、作品をもっとよく見たくなる問いかけを用意しています。
鑑賞ガイド「最澄さんと天台宗」(日本語版)
A Guide to Enjoying the Exhibition "Saichō and Tendai Buddhism" (English)
观赏指南《最澄与天台宗》(简体中文)
특별전 감상 가이드 <사이초 스님과 일본 천태종> (한국어)




伝教大師1200年大遠忌記念 特別展 最澄と天台宗のすべて
新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のためのお願いにご理解・ご協力賜りますようお願い申し上げます。
会期等は今後の諸事情により変更する場合があります。随時、京博ウェブサイトや公式Twitterにてお知らせいたしますので、ご来館の際は最新情報をご確認ください。
※本展はご予約不要でご覧いただけます。

■会期:
2022(令和4)年4月12日(火)~5月22日(日)
[主な展示替]
前期展示:2022年4月12日(火)~5月1日(日)
後期展示:2022年5月3日(火・祝)~5月22日(日)
※会期中、一部の作品は上記以外にも展示替を行います。
■会場:
京都国立博物館 平成知新館
■休館日:
月曜日
■開館時間:
9:00~17:30(入館は17:00まで)
■観覧料:
一般  1,800円
大学生 1,200円
高校生  700円




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