こんにちリン!
トラりんだリン!

もうすっかり夏だなぁ。
  夏といえば、今年は祇園祭が開催されるね!ボクもお祭りに行きたいな~。
  お祭りといえば、わたあめ、りんごあめ、焼きとうもろこし......
 (古谷研究員)
(古谷研究員)
  やあトラりん、お待たせ。
 (トラりん)
(トラりん)
  あっ!その声は、古谷研究員!
  きょうは一緒に展示を見ようって誘ってくれてありがとー!
  エアハイターッチ☆
    

  ところでトラりん、展示を見に行く前に紹介したい人がいるんだけど......

  えー!だれだれ?
 (石田研究員)
(石田研究員)
  はじめまして、トラりん! 会えてとてもうれしいな。4月から京博の考古室に着任した石田といいます。
    

  祝☆初登場~!(ぱちぱちぱち)

  石田研究員は、奈良の文化財研究所で平城宮や藤原宮の発掘調査や研究に携わっていた研究者で、寺院や宮殿の屋根を飾った瓦の研究をしているよ。また、もうひとつの専門は西日本の縄文土器で、学生時代から研究を続けているんだよ。

  古谷研究員にご紹介いただくとは照れます。トラりん、どうぞよろしくね。
    

  よろしくリン! 京博のことは、ボクになんでも聞いてねっ!(えっへん)
  ところできょうは、どんな展示を見に行くの?

  今回は、熊本県と宮崎県の独特な古墳文化を紹介する展覧会で、九州地方以外では見られない石人や琉球諸島産の貝で作った貝輪などを中心に展示しているよ。さっそく3人で...


 展示室にれっつごー!
  展示室にれっつごー!


  1つ目は、「石人(せきじん) 熊本県木柑子高塚(きこうじたかつか)古墳出土 (熊本県立装飾古墳館所蔵)」と言って石で造った人物像だよ。
    

  むむっ☆ボクと同じモノトーンだね!

  この石人は熊本県木柑子(きこうじ)高塚古墳から出土した石の人物像だね。
  石人は九州の真ん中にある阿蘇山の周(まわ)りに拡がる阿蘇石と呼ばれる軟い石材で造られていて、有明海沿岸部の熊本県・福岡県南部を中心に大分・佐賀・宮崎県に分布しているんだよ。
  
  ふんふん、なるほど。

  5世紀から6世紀にかけて造られたもので、人物像のほかにも動物形や家・盾・蓋(きぬがさ)などの器財形もあって、形象埴輪との共通性が高いことから「石の埴輪」とも呼ばれているんだよ。

  石の埴輪かあ。埴輪はふつう、やきものだもんね。
  九州限定ってことは、ご当地グルメならぬご当地埴輪だリン☆

  ただ、埴輪と一緒に使われることも多いけど、1〜2個の場合も多いので、その性格については定説がまだないんだ。とても不思議な造形だね。
  
  なんだかにっこりわらっているみたい~!

  考古の名品ギャラリーには群馬県から出土した人物埴輪を展示しているよ。石人と見比べてみると面白いかもしれないね。

違いがわかる虎☕


  2つ目は、沖縄県の琉球諸島で採れた貝で作った腕輪、「貝輪(かいわ)(ゴホウラ製) 宮崎県大坪(おおつぼ)1号地下式横穴墓出土 (宮崎県立西都原考古博物館所蔵)」だよ。
    
  
  大きな貝!!!これが腕輪なの!?

  この貝輪は地下式横穴墓という宮崎県独特の古墳から出土した腕輪で、ゴホウラという奄美(あまみ)諸島よりも南の水深10m以上のサンゴ礁に棲(す)む貝の貝殻で作られているんだ。ゴホウラの貝殻は厚手で光沢があり、貝殻の口の部分が袖のように大きく張り出す形に特徴があるんだよ。
  九州では、弥生時代の初めから腕輪の素材となっていたので、琉球諸島の人々との交流が背景にあったと考えられているね。

  レア貝☆

  また、弥生時代の中頃からはこのような貝輪を模倣した青銅製の腕輪が作られたり、古墳時代前期には碧玉(へきぎょく)という美しい石でも腕輪形の石製品が作られていて、九州や本州などの人々の眼には大変魅力的に映っていたようなんだ。
  さらに、古墳時代の中期から後期、5~6世紀でも、宮崎県の地下式横穴墓や有明海沿岸の古墳からは、ゴホウラ製をはじめとした貝輪がたくさん出土するので、九州の人々が再び琉球諸島との交流を深めた様子が想像できるね。

  今は、年月が経(た)って色あせてしまっているけれど、当時は貝殻の光沢がつやつやしていて、とてもきれいな腕輪だっただろうね。きっと、古墳に埋葬されていた人のご自慢の品だったんじゃないかな。

  1000年以上も前に生きていた人が大切にしていたアクセサリーが、こうして残っているなんて奇跡だリン☆
  つやつや貝の腕輪、ボクの腕にも入るのかな~♪
  あ、古谷研究員と石田研究員の腕には入りそう......
    


  3つ目は、熊本県の石材に彫った、「浮き彫石材(的形他)(うきぼりせきざい まとがたほか) 熊本県広浦(ひろうら)古墳出土 (京都大学総合博物館蔵)」だよ。
 

  あっ!よく見たら、模様があるリン!

  これは熊本県広浦(ひろうら)古墳の板状の石材に彫られた浮き彫で、的形(あるいは鏡形)や刀子(ナイフ)などが表現されていると考えられているよ。
  隣に並ぶ2つの石材には、大刀なども表されていて、丸い形や半円形の形は鏡や馬具などを表現しているとも考えられているね。
  この3つの浮き彫は、大正時代に京都帝国大学の考古学研究室が調査した報告書で有名になったんだけれど、その後、熊本県と京都大学に分かれて保存されていたんだ。地元に里帰りしたことはあったけど、今回、ゆかりの京都の地では、初めて揃(そろ)って展示されるんだよ。

  感動の再会!
  一緒に並んで、なんだか嬉しそうだリン♪

  この浮き彫は箱式石棺の石材などと考えられているよ。3つ並べてみるととても迫力があるでしょ。
    

  考古の展示室では大きな銅鐸が印象的だけど、石で造られたものが並んでいると、ものすごい迫力だリン!

  ほかにも、一緒に出土した古墳文化ではおなじみの銅鏡や鉄製甲冑・刀剣や馬具などもたくさん展示しているよ。でも、九州では古くからの琉球諸島との交流や地元産の石材を活かした貝輪・「石の埴輪」が加わり、独自の古墳文化が発達したことが判るね。このような本州などでは見られない九州ならではの古墳文化を是非、見てほしいね。

  熊本・宮崎の古墳時代の貴重な考古資料を京都で見ることができるまたとないチャンスです。


 ぜひお見逃しなく!!
  ぜひお見逃しなく!!

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 \おうちで楽しむ京博/
■展示リーフレット
特別公開「熊本・宮崎の古墳文化―石人と貝輪―」リーフレット

特集展示「新発見!蕪村の「奥の細道図巻」」リーフレット
■博物館ディクショナリー
当館研究員が子ども向けに分かりやすく展示作品を解説しています。
蓮(はす)を愛する人は...
関連展示:2F-5中国絵画展示室「君子の花 蓮」(展示期間は~2022年7月24日)
■グレゴリ青山の  深掘り!京博さんぽ
  京都在住の漫画家・グレゴリ青山さんが、京都国立博物館を紹介するエッセイ漫画です。
第15回 深掘り! 京博バックヤード10(多言語解説)
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 特別公開「熊本・宮崎の古墳文化─石人と貝輪─」
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会期等は今後の諸事情により変更する場合があります。随時、京博ウェブサイトや公式Twitterにてお知らせいたしますので、ご来館の際は最新情報をご確認ください。
※本展はご予約不要でご覧いただけます。
■会期:
2022年6月28日(火)~7月24日(日)、2022年7月30日(土)~9月11日(日)
※2022年7月25日(月)~7月29日(金)は展示室は閉室です。
■会場:
京都国立博物館 平成知新館3F-2
■休館日:
月曜日 ※ただし、2022年7月18日(月・祝)は開館
■開館時間:
2022年6月28日(火)~7月24日(日):
9:30~17:00(入館は16:30まで)
2022年7月30日(土)~9月11日(日):
火~木・日 9:00~17:30(入館は17:00まで)
金・土 9:00~20:00(入館は19:30まで)
■観覧料:
2022年6月28日(火)~7月24日(日):
一般 700円、大学生 350円
2022年7月30日(土)~9月11日(日):
一般 1,200円、大学生 600円、高校生 300円
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おまけ
 
 
  ねーねー
  二人は、お祭りに行ったら何を食べる?

  やっぱり貯めたお小遣いで買ったおせんべいや揚げ物 、あんこ・きなこや水あめのお菓子が一番かな。わたあめやりんご飴はあまり買えなかったけれど...、金魚すくいに輪投げ・コルク鉄砲なんかで遊んだことは忘れられないね。

  私はイチゴ味のかき氷かな。かき氷は今でも大好きで、暑い日はよく食べるよ。最近はふわふわの氷や、フルーツがたくさん載っているものなど、かき氷も種類が増えて楽しいね。

  かき氷って、食べたときにキーーーンってなるところもいいよねっ!
  ますます、夏が楽しみになってきたリンーーーー!!
