こんにちリン!
トラりんだリン!
きょうは、特集展示「日中 書の名品」を見に行くために、羽田研究員と待ち合わせしているんだけど...どこにいるのかな?
(羽田研究員)
ひゃっほう!
(トラりん)
わ!びっくりした!羽田研究員!すごい登場だリン!!
トラりんを観察していたら、「ひゃっほう!」とウキウキしながら踊っていたから、まねしてみたよ。
ウキウキするトラりんの様子はこちら
【トラりんと作品紹介】なつやすみの自由研究!博物館でいきもの観察?
https://youtu.be/rYdlyXFGV6c
...ボクのこと、大好きなんだね☆
さて、特集展示「日中 書の名品」を見に行く前に、トラりんに問題です。
(Tシャツに夢中)
...聞いてる?
なんか言った?
日本と中国で、共通している文化って何でしょう。チッチッチ、チーン!
ぎょうざ!
(そう来たか...)
大正解だリン!
日本と中国で共通している文化、ぎょうざもそうかもしれないけど、「漢字を使うこと」だよ。今回の展示はとくに、日本と中国の漢字で書かれた作品を集めたんだ。文字のすがたは地域や時代によって変化するので、芸術的な「書(しょ)」としてとらえると、色々な味わい方ができるんだよ。
いろんな味わい方ができるなんて...ぎょうざといっしょだリン♪
うん、だからぎょうざはおいといて。そろそろ作品を見に行こうか。
展示室に、ひゃっほう!
着地☆
まず、中国の書から見ていこう。最初に紹介するのは、「大智度論巻第八残巻(だいちどろん まきだいはちざんかん)」だよ。
『大智度論』は、古いインドの言葉で書かれたお経を、鳩摩羅什(くまらじゅう)というお坊さんが、中国で漢字に翻訳したものだよ。この1巻は、5世紀前半に写されたと言われているよ。
お経なんだね!
このお経の字を見て、トラりんはどんな印象を持った?
うーんとね、ぽってりした字だリン!
なかなかいい表現だね!字をよく見てみよう。字の左側が細いのに対して、字の右側がトラりんのおなかみたいにぽってりしているよね。これは「波磔(はたく)」といって、隷書(れいしょ:少し装飾的な書体)によくみられる筆づかいなんだ。
なんだか、親近感...☆「隷書」で書かれているってこと?
いや、これはね、隷書から派生した楷書(かいしょ:整然とした書体)で書かれているんだけど、隷書の雰囲気がまだ残っているんだよ。
「隷書」っぽい「楷書」なんだね!
次に紹介するのは、「漢書楊雄伝第五十七(かんじょ ようゆうでん だいごじゅうしち)」だよ。
ロールケーキみたいだリン!
また食べもののことを考えている...この巻物、ただ太いだけじゃないんだよ。『漢書』は、昔の中国の歴史書で、全100巻あるんだけど、この1巻は、現存最古にして、唯一の唐時代の写本という、大変貴重なものなんだ!
なんだかすごい巻物だリン!!
さて、今度の字は、先ほどの『大智度論』に比べると、どんな印象かな?
あ!さっきよりシュッとしているリン!
これは同じく楷書で書かれているんだけど、書体として完成されているから、違って見えるよね。字のウェストをしぼっていて、背が高いのが特徴と言えるよ。つまり、たてに長細いということ。トラりんが言ったとおり、シュッとしているってことだね!
シュッ!
ひとくちに楷書と呼んでいても、時代によって徐々に文字のすがたは変化していくんだよ。そんなところも、書の味わい方の一つなんだ。
いろんな文字の形を楽しめばいいんだね!
続いて、「千手千眼陀羅尼経残巻(玄昉願経)(せんじゅせんげんだらにきょうざんかん げんぼうがんきょう)」だよ。ここからは、日本の書になるよ。
これは奈良時代に、玄昉(げんぼう)というお坊さんが天皇をはじめ、みんなが平和に暮らせるように祈って書き写させたお経なんだ。当初は1000巻も制作したらしい。
1000巻!?すごいリン...
でも、現在残っているのはこの1巻だけなんだ。およそ1300年も昔に作られた、1000巻のうちの1巻が、今こうして目の前にあると思うと、胸が熱くなるね...
ほんとだリン...作品を大切に守り伝えてきた人がいたからなんだね...
じゃあ、今度はどんな印象かな?
うーん、1個前に見たのと似ている気がするリン☆
うんうん、よく見ているね。これも楷書で書かれているね。奈良時代の日本は、中国の影響を大きく受けているから、唐時代の書風を真似ているよ。同時期に作られた中国の作品と見比べてみてほしいな。
おともだちのみんな!展示作品の説明文には、国と時代が書いてあるから、日本と中国の同じ時期の作品を見つけてみてね!
最後に紹介するのは「新撰類林抄巻第四残巻(しんせんるいりんしょう まきだいよんざんかん)」だよ。
「新撰類林抄」とは、中国・唐時代の詩文を類別した詩集で、この1巻は平安時代初期に日本で書写されたんだ。トラりん、この書体の印象は...?
ぐにゃり。
トラりん、まさに「文字化け」だね!これは草書(そうしょ)という書体で書かれているよ。草書は隷書を簡略化して早く書くために生まれたとされているよ。
文字がにゅるリンとつながって見えるところがあるリン!
いいところに気が付いた。筆の運びを見てみよう。文字と文字の間で筆が紙を離れずに、連続して書かれている箇所があるよね。これを「連綿(れんめん)」というんだ。
冷麺?
...ごはんの話に戻って来たね。絶え間なく長く続いていることを「連綿として」というけれど、イメージは同じだよ。
なるほど~!(連綿とした冷麺が食べたいリン...☆)
その昔、中国に王羲之(おうぎし)という書の神様がいたんだけど、この作品は王羲之の書風を伝えているよ。
書の神様?どんな人なの?
言わば、時代を超えた「書のインフルエンサー」だね。王羲之は書聖と呼ばれ、書をこころざす人たちが手本とする偉大な書家なんだ。聖武天皇や空海も、王羲之を崇拝したんだよ。現代でも王羲之はファンがたくさんいるよ。
そんなに長く人々に愛されているなんて、さすが書の神様だリン!
ところでこの作品は、トラりんと一緒に以前動画でも紹介したんだけど、覚えてる?
お化けごっこしたときだリン👻
そうそう、よく覚えていたね。
【トラりんチャンネル展覧会】特集展示「国宝「日本書紀」と東アジアの古典籍」を見に行くリン♪
https://youtu.be/tPtjFIvldEc
いろんな作品を見られて、楽しかったリーン!おひるごはん食べに行こう!
(冷麺とぎょうざを食べる気だな...)
みんなが見に来てくれるのを待っているリン!
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\展覧会概要/
■会期:
2023年8月8日(火)~ 9月18日(月・祝)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館1F-2・3
■休館日:
月曜日
※ただし9月18日(月・祝)は開館
■開館時間:
9:30~17:00(入館は16:30まで)
■観覧料:
一般 700円
大学生 350円
※本観覧料で当日の平成知新館の全展示をご覧いただけます。