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2024年3月 1日

特集展示「雛まつりと人形―古今雛の東西―」を見に行くリン♪

こんにちリン!
トラりんだリン!

トラりん、西の庭に登場

もうすぐ春!春といえば...

山川研究員(山川研究員)
雛まつり!
山川研究員、登場

torarin(トラりん)
山川研究員!

山川研究員
トラりん、今年も雛人形の季節がやってきたね!

torarin
毎年この展示が始まると、春だなぁって思うリン!ことしはどんな展示なの?

山川研究員
今年はね、雛人形のうち「古今雛(こきんびな)」について考える展示だよ。これまでトラりんと雛人形の歴史についてもお話ししてきたよね。製作された時代や地域が分かっている雛人形はとっても少ないけど、雛人形が大好きな人たちは、わずかに残された製作の背景が分かる作品を観察して、雛人形の歴史的な変化を考えてきたの。

torarin
配布中の鑑賞ガイドでも紹介してるよね!
鑑賞ガイド(PDF)

鑑賞ガイド画像(ひな人形の変遷のページ)

山川研究員
そう、この「古今雛」が今年のテーマ!

torarin
古今雛、早く見たいリン!

torarin山川研究員
展示室に行ってみよう!
トラりんと山川研究員、お庭散歩




山川研究員
まず最初に紹介したいのが、大注目作、「古今雛飾り(こきんびなかざり)」。

torarin
大きくて立派な雛段だリン!

古今雛飾り 二代原舟月(にだいはらしゅうげつ)作
古今雛飾り 二代原舟月(にだいはらしゅうげつ)作

山川研究員
そう!しかも、二代原舟月の作なんだよ!

torarin
二代原舟月?それだぁれ?歌舞伎役者さん?

山川研究員
二代原舟月は、江戸時代に活躍した人形師さん!腕が立つことで知られていて、古今雛の様式を確立したと考えられているんだよ。

torarin
「二代」ってことは、二代目なの?

山川研究員
その通り。当時の人の日記や、雛人形を売っていた人たちの資料から、安永年間(1772~1781)に初代の原舟月が原形を創案して人気になり、二代原舟月が様式を完成させて、寛政年間以降に大流行したと考えられているんだよ。
実は、古今雛は江戸生まれ。18世紀の後期に製作されるようになったの。それまでの雛人形の生産地は主に京都周辺だったんだけど、この頃から流行の発信地が江戸に移っていったんだね。

torarin
江戸のおひなさまなんだね!

古今雛飾りを説明する山川研究員、聞くトラりん

山川研究員
よく見て、トラりん。女雛のお顔、人形でありながら、血の通った人間みたいな表情で見とれちゃうよね。

torarin
ほんとだね!見つめていると吸い込まれる気がするリン...!

山川研究員
古今雛の特徴は、写実的な顔や姿にあると言われているの。古今雛以前に流行した「享保雛(きょうほびな)」「次郎左衛門雛(じろうざえもんびな)」と比べてみるといいよ。それから、女雛の手先が袖の中に隠れているところも、古今雛の特徴のひとつ。袖口から赤い単(ひとえ)の袖がのぞいているよね。

torarin
うんうん、おててが見えないリン!

山川研究員
それに、二代原舟月は、瞳に薄いガラスを入れる「玉眼(ぎょくがん)」の技法を人形に用いたことでも知られているんだよ。この人形も瞳が光っているよね。

人形お顔アップ

torarin
キラリンのおめめ!ほとけさまのおめめがキラリンしているのは見たことがあるけど、ひな人形では初めて見たリン!

山川研究員
トラりん、彫刻室の仏様の玉眼もよく見ているのね!

torarin
えっへん☆

山川研究員
江戸で人気を博した古今雛の評判が京都にも伝わって、京都の雛にも変化がみられるようになったと考えられているの。京都国立博物館ではそれらを「京風古今雛(きょうふうこきんびな)」って呼んでいるんだよ。

京風古今雛 北川洋平氏寄贈・京都国立博物館所蔵
京風古今雛 北川洋平氏寄贈・京都国立博物館所蔵

山川研究員
京風古今雛は袖口からのぞく単に豪華な刺繡を入れているんだけど、江戸の古今雛とは違うところがあるよ。わかるかな?

torarin
あっ!おててが出ているリン!

京風古今雛の手元、お袖の刺繍アップ

山川研究員
正解!さすがだね!京風古今雛は手先が必ず出ているよ。檜扇(ひおうぎ)が持てる形になっているんだね。それから、瞳は玉眼ではなく描いている作例が多いの。玉眼を使用するようになるのは、箱に書かれた記録などから考えて、幕末の嘉永年間(1848~1854)くらいからみたい。

torarin
京都にも江戸の流行が届いていたんだね!

山川研究員
確かに、その通りだね。でもね、実はずっと気になっていたことがあるの。
雛人形の歴史を語る時には、享保雛や次郎左衛門雛の後には古今雛が流行したと言われるんだけど、京都の旧家から博物館に寄贈された作品を見ていくと、そのどれにも分類できない作品があるんだ。どう見ても古いお顔立ちだし、以前からずっと気になっていて、名前の付け方に悩んでいたんだけど、今回古今雛について考えていくうちに、江戸で古今雛が製作される少し前くらいから、京都でも新しい様式の雛人形が作られていたんじゃないかと考えるようになったの。それを今回から「古式親王雛(こしきしんのうびな)」として紹介することにしたんだよ。

torarin
京都で生まれた「古式親王雛」!いったいどんなおひな様なの?

古式親王雛 玉城芳江氏寄贈・京都国立博物館所蔵
古式親王雛 玉城芳江氏寄贈・京都国立博物館所蔵

山川研究員
男雛が束帯(そくたい)と呼ばれる公家の装束を着用していて、実際の装束がかなり忠実に写されているの。江戸の古今雛では黒い袍(ほう・上着)ではなくて、錦のような色彩豊かな生地の袍が一般的。公家が暮らす京都では、実際の公家の衣服を目にする機会も多かったら、公家装束の正しい知識が重要視されたんだろうね。

torarin
ほう。

山川研究員
・・・

torarin
な、なんでもないリン!お公家さまが身に着ける正式な「ほう」は黒いんだね!女雛さまにも違いがあるの?

古式親王雛アップ

山川研究員
女雛は実際の公家装束とは異なる金襴(きんらん)の装束だけれど、古今雛とは違って、袖口から単がほとんど見えないよね。手先もしっかり出ているね。

torarin
ほんとだリン!手元に違いがあるなんて、教えてもらわないと気づけないリン!

山川研究員
京都に暮らす人たちは、天皇が住んでおられる御所がある「王城の地」に住んでいることをとても誇りに思っていたはずだよね。だから、公家装束の正しい知識にのっとった雛人形が好まれたし、お内裏さまとお雛さまは御所の中で暮らしておられるのだから御所の御殿の中に飾るべきだと考えて「御殿飾り雛(ごてんかざりびな)」が創案されたんじゃないかな。

torarin
御殿飾り雛の御殿は、京都の人にとっておなじみの「御所」なんだね!今回ももちろん、展示されているリン!

御殿飾り雛 祐森隆英氏寄贈・京都国立博物館所蔵
御殿飾り雛 祐森隆英氏寄贈・京都国立博物館所蔵

山川研究員
幅が3メートル以上もある御殿飾り雛だよ。中央は紫宸殿(ししんでん)を、右は賢所(かしこどころ)を、左は小御所(こごしょ)をモデルにしてるのかなあ。前庭には、左近の桜と右近の橘も植えられてるね。

torarin
御所を忠実に再現しているんだね!

御殿飾り雛アップ

山川研究員
江戸製の古今雛飾りでは、官女はいなくて右大臣左大臣と五人囃子がセットになってたよね。でも、御殿飾り雛には、官女は6人もいるけど、五人囃子がいないの。御所では官女が身の回りのお世話をすることを、都に暮らす人たちは知っていたんだね。一方江戸では、将軍家のおめでたい席では必ず能楽が催されたから、能楽を演奏する五人囃子が加えられたんじゃないかな。
今では日本全国どこでも同じような雛飾りだけど、江戸時代には東西で地域性があったんだよ。

torarin
三人官女と五人囃子、もともといっしょにいたわけじゃなかったんだね!知らなかったリン!山川研究員、いろいろ教えてくれてありがとリーン♪ 最後におともだちに伝えたいことはある?

山川研究員
毎年開催している「雛まつりと人形」ですが、今年は「古今雛」を通して、江戸と京都を中心とする上方の違いに焦点をあてました。江戸と上方での表情の違い、古今雛の周辺の雛人形の歴史について、興味をもってもらえると嬉しいです!
会場でお配りしている鑑賞ガイドには、人形史の研究者である林直輝さんに、二代原舟月の古今雛についてご寄稿いただいていますので、ぜひ手に取ってご覧ください。
鑑賞ガイド(PDF)

2人と鑑賞ガイド

山川研究員torarin
今年の春も、京博で雛まつり!




特集展示 雛まつりと人形―古今雛の東西―
■会期:
2024年2月10日(土)~ 3月24日(日)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館1F-2
■休館日:
月曜日
■開館時間:
9:30~17:00(入館は16:30まで)
金曜日は19:00まで開館(入館は18:30まで)
■関連土曜講座:
3月2日(土)13:30~15:00
「古今雛は現代雛の原形か?」
講師:林 直輝 氏(日本人形文化研究所 所長)



春が来るリン🌸

夕日を見つめる山川研究員とトラりん

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