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2024年4月26日

特別展「雪舟伝説─「画聖」の誕生─」を見に行くリン♪ Part 1

こんにちリン!
トラりんだリン!

トラりん、看板前に登場

きょうは福士研究員と「特別展 雪舟伝説―「画聖(カリスマ)」の誕生―」を見に行くリン!「雪舟展」じゃなくて「雪舟伝説展」だって教えてもらったけど、いったいどんな展示なのかな?

トラTube:【予習編】特別展 雪舟伝説―「画聖(カリスマ)」の誕生―
https://www.youtube.com/watch?v=9057CsWTeHw

福士研究員(福士研究員)
お待たせ、トラりん!
福士研究員、登場

トラりん(トラりん)
福士研究員!

福士研究員
トラりん、予習はもうばっちりだよね!さっそく雪舟伝説展を見に行こうか!

森研究員(森研究員)
ちょっと待った!
森研究員、登場

トラりん
森研究員!
あのさ、ごめリンだけど、きょうは遊んであげられないリン!今からボク、福士研究員と展示室に行くリン!

森研究員
トラりんってば、つめたいじゃん、、、雪舟について学ぶなら、僕も必要だと思うけどなぁ...くすん。

トラりん
え?でも、雪舟伝説展の主担当は福士研究員でしょ?

福士研究員
トラりん、森研究員は今回の特別展の副担当なんだ。何を隠そう雪舟は、森研究員の担当する中世絵画の画人だからね。

トラりん
えー?
じゃあ、どうして福士研究員が主担当なの?福士研究員は近世絵画担当だリン!

福士研究員
さぁて、それは今から展示室に行けば分かるかもね。とにかく、雪舟伝説展についてお勉強するには、副担当の森研究員の解説も必要不可欠だよ!

森研究員
いじいじ...

トラりん
分かったリン!じゃあ、森研究員もいっしょに3人で展示室にいってみよう!

\ごきげんなおしてリン!/

3人で出発




トラりん:
さっそくだけど、雪舟さんってどんな人なの?

森研究員
雪舟さんは禅のお坊さんでね。今の岡山県で生まれて、京都の相国寺(しょうこくじ)に行って禅の修行をしながら、お寺の大先輩で室町幕府の絵師を務めていた周文(しゅうぶん)さんに絵を習ったんだ。特にすごかったのは中国(明)行きの使節団に入って、水墨画の本場で宮廷絵画に触れたり、現地の風景を見たりしたこと。雪舟以前にそんな経験ができた日本の画家はほとんどいなくて、後世、水墨画の神様のようにみなされたんだ。その絵はとても大事にされて、6件も国宝になってるんだよ。

トラりん
帰国子女だリン☆

福士研究員
雪舟の名前は今や誰もが知っているほど有名だし、日本美術の歴史を語るうえで欠かせない人。6件もの作品が国宝に指定されているのは、雪舟だけなんだよ。でも、なぜ雪舟はそれほどまで高く評価されているんだろうか、その理由を探ってみようというのが今回の展覧会。だから、「雪舟展」じゃなくて「雪舟伝説展」なんだよ。

トラりん
雪舟さんがどうして伝説になっていったのか、展示を順番に見ていったらその理由が分かるのかな?ワクワクするリーン!

福士研究員
では、さっそく見てみよう。1つ目に紹介するのは、「国宝 秋冬山水図(しゅうとうさんすいず)」だよ。とっても有名な作品だから、たくさんの人が知っているんじゃないかな。

国宝 秋冬山水図 雪舟筆 東京国立博物館所蔵<3F-1 通期展示>
国宝 秋冬山水図 雪舟筆 東京国立博物館所蔵<3F-1 通期展示>

トラりん
あ!「雪舟さんと言えば!」な作品だリン!

福士研究員
トラりんもさすがに知っていたかな?そう、「ザ・雪舟」って感じだよね。

トラりん
学校の教科書で見たことあるおともだちも多そうだリン!みんなの想像より小さいかも?森研究員、これはどんな作品なの?

森研究員
すごく有名な絵だけど、実は謎だらけ。例えば、何歳くらいの時の絵なのかは意見が色々あってね...僕は70歳くらいかな、と想像してるんだけど。それに今は秋と冬の山水って名前がついてるけど、昔は夏と冬って言われてたんだよ。最近は春と冬って意見もあるかな。左が雪景色だから冬なのはわかるけど、右はいつかな...トラりんはどう思う?

トラりん
うーん、お空はくもって見えるリン...かすみがかかった春のお空かな?あ、でも、霧の朝にも見えるから、秋の風景なのかも...川がサラサラと流れて、笹やぶみたいな緑もワサワサしているから、夏にも見えるリン!ここに木があるけど、緑なのか紅葉しているのか、どっちだろ?

国宝「秋冬山水図」を鑑賞する3人

森研究員
思いのほか、まじめに考えたトラりん、すごいすごい(笑)

トラりん
「すいぼくが」のこととなると、ボクもしんけんだリン!

森研究員
ちなみにもとはこの2図だけじゃなくて、もっとあったみたいだよ。四季の掛軸4幅セットとか、屏風に貼られてた数図セットとか、これもいろんな意見があるね。

トラりん
全部こんぷりーとしたら、この作品がどの季節か分かるかもしれないリン!

福士研究員
それとね、この作品は今は東京国立博物館が所蔵しているけど、かつては京都のお寺にあったんだよ。狩野派の画家が「雪舟の作で間違いなし!」と書いた鑑定書も付属していて、昔からよく知られていた作品だったことがわかるよ。

トラりん
昔から有名な作品だったんだね!鑑定書を付けるなんて、狩野派は雪舟さんのすぺしゃりすとだリン☆

福士研究員
続いて、「重要文化財 四季花鳥図屏風(しきかちょうずびょうぶ)」だよ。

重要文化財 四季花鳥図屏風 雪舟筆 京都国立博物館所蔵<3F-2 通期展示>
重要文化財 四季花鳥図屏風 雪舟筆 京都国立博物館所蔵<3F-2 通期展示>

トラりん
ツルりん!

福士研究員
ついに雪舟さんのツルりんに会えたね、トラりん♪今回の特別展のポスターやチラシに登場するのがこのツルりん。ここに描かれている2羽の鶴を組み合わせたような伊藤若冲の絵があるんだよ。

トラりん
4月30日から展示される若冲さんのツルりんだね!ボクも会えるのを楽しみにしているリン♪

福士研究員
狩野派の画家は雪舟のこの絵を見ていたことがわかっているけど、若冲は...たぶん見ていないかな。

トラりん
見てないんかい!

福士研究員
まあまあ。実は江戸時代にこの絵をほとんどそっくり写した作品があってね、それも展示しているんだけど、若冲はそちらの作品を見ていたんじゃないかと考えているよ。

トラりん
そっかー、カメラがない昔の人たちは、そっくりに写した作品を見てお勉強したんだね☆

ツルポーズの福士研究員とトラりん

トラりん
じゃあ改めて、雪舟さんのこの作品は、どんな作品なの?ボク、雪舟さんの絵って「すいぼくがたいぷ」の風景画ばっかりだと思っていたリン!「花鳥画」ってなんだか華やかな雰囲気だよね♪

森研究員
雪舟さんは山水画だけじゃなくて、花鳥画も上手だったんだよね。鮮やかでダイナミックな絵だけど、外国のゴージャスな鳥じゃなくて、鶴(つる)とか白鷺(しらさぎ)とか鴛鴦(おしどり)とか、清楚な野の鳥や花を取り上げるのは何かお坊さんって感じがするな。

トラりん
言われてみれば、お花りんや鳥りんのチョイスが激シブだリン...さすが、禅のお坊さん!

森研究員
ハンコもサインもないけど、こんな力強い筆づかいは雪舟さん本人しかいないでしょっていう名品だよ。

トラりん
みんなが「これは雪舟さん」ってわかるなんて、カリスマは違うリン!あ、こっちの屏風は雪景色❄️シラサギりんがふわふわ浮いているリン...

重要文化財「四季花鳥図屏風」左隻の前にいる3人

森研究員
右側の大きな松と左側の大きな梅は、曲がりくねってまるで龍みたい。よく見ると枝の伸びる向きが互いに向かい合ってて、睨み合ってるみたいだし、真ん中にシラサギが振り返って飛ぶから、右から左に視線が自然につながって...すごく計算された、いい構図だね。

トラりん
なるほど~☆そういわれてみたら、自然と言われた順番に目線が動いていくリン!

福士研究員
この梅の枝振りは本当に印象的だよね。今回は展示していないんだけど、あの長谷川等伯が、これとよく似たタイプの絵を描いているんだ。きっと、等伯も雪舟の絵をたくさん勉強していたんだと思うよ。

トラりん
等伯さんも!墨のじゅわっとした感じが、なんだか似ている気がするかも...?
白い絵なのに、よーく見たらたくさん鳥りんたちがいるのも見どころだね!

福士研究員
そして最後に、雪舟が中国の有名な画家たちの作品をならって描いた作品たちを見てみよう。

雪舟が中国の有名な画家たちの作品をならって描いた作品5点<すべて2F-1 通期展示>
(右から)
重要文化財 倣李唐牧牛図(ほうりとうぼくぎゅうず)(牧童・ぼくどう) 雪舟筆 山口県立美術館所蔵
重要文化財 倣李唐牧牛図(ほうりとうぼくぎゅうず)(渡河・とか) 雪舟筆 山口県立美術館所蔵
倣夏珪山水図(ほうかけいさんすいず) 雪舟筆
重要文化財 倣梁楷黄初平図(ほうりょうかいこうしょへいず) 雪舟筆 京都国立博物館所蔵
重要文化財 倣玉澗山水図(ほうぎょくかんさんすいず) 雪舟筆 岡山県立美術館所蔵
<すべて2F-1 通期展示>

トラりん
これ、何かの形に似ているリン...あ!うちわ?

森研究員
そうそう、うちわ。中国ではこういう形に絵を描いて、アルバムみたいに仕立てることがあってね。あおげないけど、おしゃれでしょ。よく見ると、うちわの中に雪舟さんのサインがあって、その枠の外側に小さく中国の画家の名前が書いてあるの、わかる?

トラりん
ほんとだ!雪舟さんともう一人の人の名前が書いてあるリン!これ、どういうシリーズなの?

森研究員
「中国の色んな画家の画風でやってみました!」っていう作品だよ。
タイトルに「倣(ほう・ならう)」という字がついているでしょ?これは「ならって描きました!」ってこと。そのあとに続く「李唐」「玉澗」てのが中国の画家の名前で、その後ろに「山水図」などの作品の内容が書いてあるよ。

トラりん
色んな画風で描けるなんてすごいリン!

森研究員
雪舟さんは筆に癖があるから、どれも濃い目の雪舟味だけど...

トラりん
雪舟さんみ、強め☆

森研究員
室町時代にはこういう描き分けが流行るんだけど、李唐さんとか、他の画家があまり取り上げない人も試すのは中国帰りの雪舟さんらしいな。

トラりん
実際に中国に行ってお勉強してきた、雪舟さんにしかできないことなんだね☆

森研究員
あ、ちなみにこの絵の左下、ぱっと見、石みたいだけど動物だよ。何かわかる?

トラりん
うーん、ツノが生えているリン!ヤギりんかな?

重要文化財 倣梁楷黄初平図 雪舟筆 京都国立博物館所蔵
重要文化財 倣梁楷黄初平図 雪舟筆 京都国立博物館所蔵

森研究員
おしい!羊さんね。黄初平(こうしょへい)さんっていう仙人が石を羊に変えるシーンで、かわいいでしょ。

トラりん
えっ!石に変えられるのはちょっと怖いリン...

福士研究員
トラりん、石に変えるんじゃなくて、石を羊に変えるんだよ!
まあ、どっちにしてもちょっとびっくりするようなお話だよね。仙人にはこういう不思議な力が備わっているんだ。

トラりん
ふしぎなお話だリン!「蝦蟇鉄拐図」みたいに、中国の仙人さんたちはこうして絵の題材になってきたんだね☆

福士研究員
トラりん、よく覚えていたね!

トラTube:「蝦蟇鉄拐図(がまてっかいず)」ってなぁに?
https://www.youtube.com/watch?v=R5X2oFhzxDE

福士研究員
江戸時代の画家たちが雪舟先生を尊敬していたのは、こんなふうに中国の絵をよく知っている人だと考えられていたからだと思うよ。雪舟先生の絵を通して中国の絵を勉強する、という意識もあったかもしれないね。

トラりん
「みんなのお手本」の雪舟さんも、こうやってお手本から学んできたことも分かるリン☆

森研究員
いろんな絵を意識してたことが分かるね。「あの雪舟先生がまさに中国の絵に学ぼうとしている!」っていう感じで、江戸時代の画家たちにもとても重んじられた作品なんだ。

トラりん
雪舟さんが中国で学んだことも、「伝説」になるゆえんなんだね...!

福士研究員
それから、この連作に描かれる図柄は、展示している江戸時代の作品にも登場するものがあるよ。探してみてね!

トラりん
えー!どこかな?!分かったおともだちはボクに教えてね!



トラりん
そういえば、雪舟「伝説」展なのに、きょうは江戸の作品を紹介する時間がなかったリン!

森研究員
「雪舟展ではありません!」だけど、まずは雪舟を知らないとこの展覧会は始まらないからね。3階の最初、「雪舟精髄」なんて、雪舟のホントのホントにイイものだけがぎゅっと詰まった、珠玉のコーナー。国宝6件も通期でそろい踏みで、こんな部屋作ってくれて福士さんには感謝感激だよ。きっともうこんな機会は無いなあ...

福士研究員
展示を許可してくれた所蔵者の皆さんに感謝だね!
でも本当に、あれだけ「雪舟展ではありません!」と言ってはいたものの、展示作業をしながら内心「結構雪舟展だな...」と思ったよ(笑)

トラりん
あれだけ言っておいて!

福士研究員
まあまあ。それだけ、雪舟先生の作品には力があるということだね!

トラりん
じゃあ、「雪舟展でもある、雪舟伝説展」ってことで☆
おともだちのみんな、改めてどうぞよろしくリン♪

福士研究員
「雪舟推し」Tシャツもよろしくね♪

雪舟が描かれたTシャツを満面の笑みで自慢する福士研究員と傍観する2人

トラりん森研究員
雪舟推しTシャツ!?

福士研究員
正直、最初は撮影用の小道具、くらいにしか思っていなかったんだけど、このTシャツいいわ...相当振り切った感じが潔くて素敵。ここ一番という勝負の日に着て、打って出たいと思うよ!

トラりん森研究員
(すごいお気に入り...)

森研究員トラりん福士研究員
京博で待っているリン!
平成知新館エントランスの看板前の3人




特別展 雪舟伝説―「画聖(カリスマ)」の誕生―
■会期:
2024年4月13日(土)~5月26日(日)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館
■休館日:
月曜日
※ただし、2024年4月29日(月・祝)・5月6日(月・休)開館、5月7日(火)休館
■開館時間:
9:00~17:30(入館は17:00まで)



トラりん
ズドドドドド!「雪舟押し」!!!
エレベータ内で福士研究員を襲うトラりん

福士研究員
...ヤメテ。

エレベータ内でぽつねんとした福士研究員

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