メニュー

展示 出張

2024年9月20日

特別展「法然と極楽浄土」を予習するリン!―後編―

こんにちリン!
トラりんだリン!

トラりん、お座敷に登場

え?ここはどこかって?前編に引き続き、特別展「法然と極楽浄土」の予習で知恩院に来ているリン!
いっしょに来ているのは、井並研究員!

井並研究員、トラりんの横に正座で登場

井並研究員(井並研究員)
こんにちは!特別展「法然と極楽浄土」の主担当、井並です!

トラりん(トラりん)
こんな豪華なお部屋が知恩院の中にあったなんてびっくりだリン!このキラキラしたお部屋はいったいどんな場所?

井並研究員
ここは大方丈(おおほうじょう)。知恩院には大方丈と小方丈(こほうじょう)があるよ。書院造の建物の中に、狩野派の襖絵に彩られた部屋が並び、それぞれ「鶴の間」「松の間」「梅の間」など、襖絵の題材にちなんで呼ばれているんだ。僕たちがいるのは「上・中・下段の間」のうち、下段の間。中段より上は、身分の高い将軍などの貴人に座っていただく特別なお部屋だったんだって。この下段の間は、「仙人の間」とも呼ばれているよ。

トラりん
「虎の間」じゃなくて!?
仙人の間にて、虎が描かれた障壁画の前でポーズをとるトラりん

井並研究員
本当だ!確かに虎もいるね!

トラりん
隣にうずくまっている仙人さんは足を噛まれたのかな...?

井並研究員
そんな狂暴そうな虎には見えないけど(笑)ここの絵は狩野探幽(たんゆう)の門人、狩野信政(のぶまさ)が手掛けたといわれているよ。

トラりん
あ!こっちにはツルりんだ!

鶴の間を眺めるトラりん

井並研究員
トラりんは鶴が好きだよね!この「鶴の間」は大方丈のうち最も広く54畳もあって、襖は16面もあるよ。奥には仏像を祀る内陣「仏の間」が見えるね。ちなみにこの部屋の襖絵は狩野尚信(なおのぶ)筆といわれているよ。

トラりん
大方丈、どのお部屋も見ごたえたっぷリンだリン♪ここは非公開なの?

井並研究員
それが、三門と同じく、2024年11月1日(金)~10日(日)の期間限定で特別公開されるんだ。大方丈だけでなく小方丈も見られるよ。

トラりん
わぁ!すごいね!京博の特別展に来たおともだちにも、ぜひ見に来てほしいリン♪

井並研究員
今回トラりんは特別に中に入らせていただいたけど、特別公開中でも各方丈のお部屋に入ることはできないから、おともだちに伝えておいてね。ちなみに廊下には、知恩院七不思議が紹介されているよ。

トラりん
七不思議?

井並研究員
こちらは狩野信政筆「三方正面真向(さんぽうしょうめんまむき)の猫」のレプリカ。大方丈廊下の杉戸に描かれていたんだけど、どこが不思議か分かる?

「三方正面真向の猫」のレプリカを眺める2人

トラりん
ネコりんだ♪(にゃーん)しっぽがふっさふさ!!

井並研究員
そこじゃなくて(笑)いろんな角度から見てみて。

トラりん
ん?あれれ?
どこから見ても、ネコりんがこっちを見ているリン!

井並研究員
気付いたようだね。どの方向から見ても、まるで正面からにらんでいるように見えるでしょ。
だから真向(まむき)の猫。目の前の子猫を慈しむように、見る人をも見守る仏の慈悲が表現されていると言われているよ。

トラりん
いいなぁ...(ボソッ)

井並研究員
(トラりんはいつも同じ方向を見ているもんね...)
続いて、お隣にあるのは「抜け雀」。大方丈「菊の間」の襖絵で、これも狩野信政筆だよ。向かって左の襖(復元)のように、菊の花の上にはもともと雀が描かれていたんだけど、右にある現存する襖絵のレプリカを見ると、雀は...

「抜け雀」のレプリカを眺める2人

トラりん
あれ?いないリン!

井並研究員
そう、あまりにじょうずに描かれていたから、雀が生命をもって襖から飛び去ったと言われているよ。だから「抜け雀」。飛び去った跡しか残されていないんだ。不思議だよね~。

トラりん
ほんと!絵の中から飛び出すなんて、信じられないくらい不思議なお話だね♪抜け出したスズメりんたちは、きっと今ごろ楽しく暮らしているリン♪

井並研究員
(あれ、そういえばトラりんってもともと...)
【名品紹介】竹虎図(たけとらず) 尾形光琳筆 京都国立博物館所蔵



井並研究員
それでは次に、御影堂の東側に建っている経蔵(きょうぞう)に行ってみよう!(通常内部非公開)

経蔵前の2人

トラりん
どんな建物なのかな?

井並研究員
「経蔵」というからには、お経が納められているよ。どんな姿かというと...このように、「八角輪蔵(はっかくりんぞう)」が備えられているんだ。

経蔵内、八角輪蔵を見上げる2人

トラりんえ!?これがお経?

井並研究員
トラりんの見たことがあるお経とはだいぶイメージが違うよね。これは八角形の回転式の書架、つまり本棚なんだよ。

トラりん
本棚なんだ!この中にお経の本がぎっしり入っているの?

井並研究員
そうそう。ここには『宋版一切経(そうはんいっさいきょう)』というお経が6000帖(冊)入っているんだよ(現在は別置)。そしてこうやって、回転させると...ほら、トラりんも手伝って!

八角輪蔵を押して回転させる2人

トラりん
うんとこしょ💨結構重いリン...!

井並研究員
1回転させれば、納められている経典を全て読んだことになると言われているんだ。だからがんばって!

トラりん
そ、それはすごいリン...(ゼイゼイ)

井並研究員
この経蔵、内部の天井や壁面には、天女や霊獣などの絵が極彩色で描かれていて、とっても美しいよね。この経蔵も、前回の虎ブログで紹介した徳川家2代将軍、秀忠によって建立されたんだ。

トラりん
あ!この仏さま、「はっかくりんぞう」をいっしょに押してくれているリン!

経蔵の守護神・八天像のうち多聞天

井並研究員
トラりん、よく気づいたね!八角輪蔵の下部には、8面にそれぞれ天部の彫刻が配されているよ。経蔵の守護神、「八天像(はちてんぞう)」。もともとこの天部たちも極彩色だったんだよ。普通の仏像とは違って、輪蔵を押して風を受ける動きの大きなポーズが、とても魅力的だね。

トラりん
このお像、おはだと同じ色の玉眼がキラリとしているリン✨あれ?ひーふーみー...「はちてんぞう」なのに、4人しかいないリン!

経蔵の守護神・八天像のうち広目天

井並研究員
実は、京博で展示するために、4躯出張してもらっているよ!

トラりん
えー!そうなんだ!じゃあここにいない4人には、特別展で会えるの?

経蔵の守護神・八天像のうち梵天

井並研究員
そういうこと!トラりんは幸運にも、経蔵と京博で八天全員に会えそうだね!

トラりん
とっても嬉しいリン♪でも、どうして八天みんな連れていかなかったの?

井並研究員
そりゃあ経蔵の守護神だから、ここで八角輪蔵を支える天部もいないと、大切なお経をお守りできないでしょ?

トラりん
そっかぁ!経蔵に残っている4人にも、大事なお仕事があるんだね☆



井並研究員
さぁ、それでは最後のお堂に行こう。知恩院発祥の地、勢至堂(せいしどう)だよ。

トラりん
発祥の地?

勢至堂前の2人

井並研究員
勢至堂が建つこの地は、法然上人が庵を結んで多くの人々に念仏の教えを広め、また最期を迎えた場所と伝えられているんだ。そのため、知恩院発祥の地、そして浄土宗発祥の地といわれているよ。現在の勢至堂は知恩院最古の建造物で、室町時代の享禄3年(1530)に建てられた大変歴史ある建物だよ。

トラりん
階段を上った先にある、特別な場所なんだね...とても静かで、神聖な雰囲気だリン...

井並研究員
ご本尊は勢至菩薩様がおまつりされているよ。トラりんは、勢至菩薩様がどんな仏さまか分かるかな?

トラりん
うーん?聞いたことはあるような...

井並研究員
「勢至菩薩」は浄土宗にとって大事な仏さまだから、ぜひ覚えておいてね。勢至菩薩は、阿弥陀三尊の脇侍として知恵を司り、阿弥陀如来と共におまつりされていることが多いよ。臨終の際にも来迎してくれるんだ。そして浄土宗では、「法然上人は勢至菩薩の化身」と言われているんだ。

トラりん
そうなんだ!法然さんが実は勢至菩薩さまだったって信じられているんだね?

井並研究員
そういうことだね。法然上人の幼名も「勢至丸」だったといわれているよ。だから、勢至菩薩は浄土宗にとっても、知恩院にとっても、特別な仏様なんだね。では、心を込めていっしょにお参りしよう。

トラりん
うん!

勢至菩薩におまいりするトラんと井並研究員

井並研究員
そして、こちらに安置されている勢至菩薩坐像は、なんと今回特別展にもお出ましいただけることになったよ。こうして知恩院でお会いできたご縁にも感謝しつつ、京博でもお会いできるのを楽しみにしていようね。
<展示期間:11月6日(水)~12月1日(日)>

トラりん
うん、知恩院に来ることができてよかった!井並研究員、ありがとリーン!

井並研究員
トラりん、よい子でお参りできてえらかったね!
京都には、知恩院以外にも浄土宗の本山級や、法然上人ゆかりのお寺がたくさんあるんだ。
トラりんも、虎ブログを読んでくださっている皆さんも、ぜひ特別展「法然と極楽浄土」で浄土宗の文化財に出会っていただいて、そのあとお寺を巡って、浄土への祈りを紡いだ人々の歴史に親しんでくださいね。

トラりん井並研究員
京博で待っているリン!

仙人の間にて、虎と同じポーズをするトラりんと仙人のふりをする井並研究員



\おうちで楽しむ京博/

■トラりんショート動画
特別展「法然と極楽浄土」トラりんと48の質問
【Youtube】https://www.youtube.com/@TORARINOFFICIAL/shorts
【Instagram】https://www.instagram.com/kyotonatmuseum/reels/
【Facebook】https://facebook.com/TORARINOFFICIAL/reels/

■虎ブログ
特別展「法然と極楽浄土」を予習するリン!―前編―

法然と京都マップ(PDF)




\展覧会概要/
特別展 法然と極楽浄土
■会期:
2024年10月8日(火)~12月1日(日)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館
■休館日:
月曜日
※ただし、10月14日(月・祝)、11月4日(月・休)は開館し、10月15日(火)、11月5日(火)休館
■開館時間:
9:00~17:30(入館は17:00まで)
金曜日は20:00まで開館(入館は19:30まで)

TOP
TOP

タイトルとURLをコピーしました

SNSでシェアする
X
facebook
LINE
copy