こんにちリン!
トラりんだリン!
「特別展 京(みやこ)に生きる文化 茶の湯」が開幕したよ!
会場入口は3階!きょうは降矢研究員といっしょに展示を見に行くリン♪
待ち合わせはここのはずなんだけど、遅いなぁ。降矢研究員~、どこにいるのー?(ウロウロ)
って、ええ!?こんなところに?
(トラりん)
ちょっと降矢研究員!何しているの?
(降矢研究員)
無の境地......
おーい、戻ってきてよ~
ハッ!現実に戻ってきた。
降矢研究員、ボクより自由だリン...
あ、出てきた。
※ご観覧時に復元茶室に入ることはできません。あしからずご了承ください。by 京博スタッフ
じゃあ、あらためて...
展覧会は3階からスタート☆
・
・
・
最初の展示室は、展覧会の序章として、いま行われている茶事の流れを感じてもらう内容になっているよ。茶事では懐石、濃茶、薄茶の順にお客様に振る舞われるけど、茶事のメインとなる濃茶では、絵柄がなく風格のある茶碗がよく使われるんだ。「国宝 大井戸茶碗(おおいどちゃわん) 銘 喜左衛門(きざえもん) (京都・孤篷庵所蔵)」<3F-1 通期展示>はまさに濃茶にふさわしい茶碗だね。
チラシで見たお茶碗だ!
のぞき込むと井戸の底のように深く見えるから、「井戸茶碗」って呼ばれる説があるんだよね。去年いっしょに勉強したリン!
そうそう、トラりんよく覚えていて偉いね!
この喜左衛門は、去年の特別展「畠山記念館の名品」で紹介した「重要文化財 井戸茶碗 銘 細川 (東京・畠山記念館所蔵)」と同じく、江戸時代の大名茶人の松平不昧(まつだいら ふまい)が所持していたもの。井戸茶碗のなかでも特に素晴らしい三つの茶碗「天下の三井戸」と称されるうちの一つだよ。
お茶碗の台のところが、でこぼこしているリン!
井戸茶碗の見どころの一つと言われる「梅華皮(かいらぎ)」だね。釉薬の収縮によって粒状に見えるものが、梅花のような文様にも見えるものもあり、この字をつかっているんだよ。
井戸茶碗の見どころ発見だリン!
つづいて、茶碗とともに茶事の中心になる道具が茶入。「唐物文琳茶入(からものぶんりんちゃいれ) 酸漿(ほおずき)文琳」<3F-1 通期展示>は、徳川家康が所持した由緒ある品。
抹茶の粉を入れるお道具なんだね☆ぽってりした形がかわいいリン!
文琳は林檎の別名で、林檎の形に似ているところからこの名がつけられているよ。この作品は形や釉薬の色が酸漿(ほおずき)にも似ているので酸漿文琳と呼ばれているよ。
文琳はリンゴの別名なのか!色も形も、言われてみたらリンゴみたい!
・
・
・
じゃあ、2階の展示室にいってみようか。時代を少し遡って、平安時代後期に中国から日本にもたらされた、現在につながる点茶による喫茶の形を見てみよう。
喫茶って、喫茶店のこと?
「喫茶」と聞くとコーヒーや紅茶を飲む喫茶店を想像してしまうけど、ここでは、お茶の木の葉っぱから作ったお茶を飲むという意味。お茶の木は日本にもとから生えていたわけではなくて、中国から伝えられたものなんだ。だから、お茶の飲み方も、中国のやり方にならっているよ。点茶というのは、粉末にした抹茶に湯を注いで飲む方法。
「茶の湯」のことだリン!
その通り。点茶は、中国・宋に2度渡り、京都に建仁寺を開いた明庵栄西(みんなんようさい)が伝えたとされているよ。じつは、禅宗寺院で修行生活を送るために定められた規則のなかには喫茶にまつわるものがあって、喫茶の習慣が広がっていくことに関係しているんだ。
お坊さんの修行に、お茶が関わっていたなんて意外だリン!
こちらの展示室では、建仁寺の方丈で毎年4月に行われる「四頭茶礼(よつがしらされい)」の雰囲気を味わってもらうために、茶礼で用いられる掛軸や道具を紹介しているよ。「四頭茶礼道具(よつがしらされいどうぐ) (京都・建仁寺所蔵)」<2F-1 通期展示>はお客様がお茶を飲む茶碗と茶碗を置く台、お湯を注ぐ瓶と茶筅(ちゃせん)のセットだね。
お茶を混ぜる道具を茶筅って呼ぶんだね!こんなところにささっている!
つやつやできれいなティーセット...(うっとリン☆)
さらにこちらは、栄西が著した日本で最初の茶書の最古写本の断簡、「喫茶養生記(きっさようじょうき)断簡 (京都・建仁寺所蔵)」<2F-1 通期展示>。茶のもつ医学的効能について記されているよ。
お茶の効能?
鎌倉時代に3代将軍の源実朝が二日酔で苦しんでいた時に、この「喫茶養生記」とお茶を献上して、回復させたといわれているんだ。
大人は大変だリン!1歳のボクにはわかんないけど、降矢研究員もお酒を飲みすぎたら、お茶を飲んだらいいね!
毎日抹茶を飲んでいるよ!
すごいリン!お茶は元気のひけつなんだね☆
・
・
・
続いて1階に行ってみよう。「重要文化財 大井戸茶碗(おおいどちゃわん) 銘 筒井筒(つついづつ)」<1F-1 通期展示>を紹介するよ。こちらは、先に紹介した喜左衛門と並び称され、豊臣秀吉が愛用したと伝わる井戸茶碗。
この大井戸茶碗もチラシで見たリン!とてもきれいなびわ色だけど、どうしてヒビが入っているのか、気になっていたよ。
実は、この茶碗は一度割れてしまったものなんだ。
えーっ!
ある茶会でこの茶碗を用いた際、秀吉のそばに仕えている人がうっかり割ってしまった。もちろん秀吉は機嫌を損ねたんだけど、その場に居合わせた細川幽斎(ほそかわゆうさい)が『伊勢物語』の一節にちなんで「つつ井筒 いつつにかけし 井戸ちゃわん とがをば我におひにけらしな」と即興で歌を作って取りなしたという逸話がある茶碗なんだね。銘の「筒井筒」はこの出来事にちなんだもの。こうした逸話を知っていると、作品をより深く味わえる気がするよね。
関西では数十年ぶりの展示となるから、最初に紹介した喜左衛門とあわせて、ぜひじっくり見てほしいな。
お茶碗に秘められた物語を知ると、もっと展示が楽しめるリン!
研究員力作の図録解説も必読だね!
図録・目録・関連書籍等
そして、この展覧会でぜひ見てほしいのが2つの復元茶室。
右が千利休が目指したわび茶のための空間、「待庵(たいあん)(復元)」<1F-1 通期展示>
左が秀吉の「黄金茶室(復元)」<1F-1 通期展示>だよ。
※ご観覧時に復元茶室に入ることはできません。あしからずご了承ください。by 京博スタッフ
チラシで見た時から、実物を見るのをとっても楽しみにしていたリン!
実際に入ってもらうことはできないけれど、ぜひそれぞれの茶室で茶会に招かれているシーンを想像してほしいんだ。黄金の茶室は、利休が天下人たる秀吉のためにプロデュースしたもので、先にみた井戸茶碗を取り合わせるイメージ。一方、わびの茶室は利休が自分の理想とする茶の境地を実現するために作り上げたもの。同じ時代にまったく違うコンセプトで造られた茶室を比較してみることができるんだ。
対照的な茶室だリン!
わびの茶室と黄金の茶室は一見違うようにみえるのだけど、実は共通していることもあるんだよ。
黄金の茶室は三畳に床があり、わびの茶室は二畳に床といわれるんだけど、じつはわびの茶室には次の間があり、それを含めると大きさは同じなんだよ。
同じ大きさ、限られた空間、そして茶室の製作に携わったのが利休といわれているなど、いずれもわびの精神を生かした茶室といってもいいんじゃないのかな。
おともだちのみんな、2つの茶室の似ているところも、展示室で確認してみてね!
わびの茶室は、伝統の技法を用いてこの展覧会のためだけに復元されたもの。復元までの過程は、展示映像として2階のミュージアムラボラトリーで上映しているから、あわせて見てほしいな。
特別展「京(みやこ)に生きる文化 茶の湯」は見どころがたくさんだリン!
この機会をどうぞお見逃しなく!
・
・
・
\おうちで楽しむ京博/
■虎ブログ
特別展「京(みやこ)に生きる文化 茶の湯」予習編
■特別展鑑賞ガイド(PDF)
茶の湯のイロハ(日本語版)
Special Exhibition Guide: Chanoyu and Tea in Japan (English)
观赏指南:日本饮茶文化 "茶之汤" (简体中文)
전시 감상 가이드 차노유 첫걸음(한글)
・
・
・
\展覧会概要/
新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のためのお願いにご理解・ご協力賜りますようお願い申し上げます。
会期等は今後の諸事情により変更する場合があります。随時、京博ウェブサイトや公式Twitterにてお知らせいたしますので、ご来館の際は最新情報をご確認ください。
※本展はご予約不要でご覧いただけます。
■会期:
2022年10月8日(土)~12月4日(日)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館
■休館日:
月曜日
※ただし10月10日(月・祝)は開館、翌11日(火)休館
■開館時間:
火~木・日 9:00~17:30(入館は17:00まで)
金・土 9:00~20:00(入館は19:30まで)
■観覧料:
一般 1,800円
大学生 1,200円
高校生 700円
・
・
・