こんばんリン!
  トラりんだリン!
    
特別展「京(みやこ)に生きる文化 茶の湯」
  後期展示がスタートしたリン!
  会期中の金・土曜日は、夜20時まで開館しているから、きょうは夜の博物館から、虎ブログをお届けするよ!一緒に展示室に行くのはこの2人!
  \ばっ☆/
    
華麗な泳ぎでボクたちを茶の湯の世界へといざなう
 羽田研究員!
  
そして、
  初登場!森橋研究員!
  (ぱちぱちぱち☆)
    
 (森橋研究員)
(森橋研究員)
  あらためまして、トラりん。中国絵画を担当している研究員の森橋です。去年の7月に京博に着任して、あっという間に京博2年生になったよ。
 (トラりん)
(トラりん)
  祝!2年生!やっと虎ブログで会えたね!
  森橋研究員の担当している中国絵画には、ボクが溶け込めそうなすいぼくがもたくさん!一緒に展示室に行くのが楽しみだリーン!
  (森橋研究員は大きい動物が苦手じゃないようで、ホッ...)→過去の虎ブログ



  それじゃあ、後期展示を見に行こう!

  ナイトミュージアム、盛り上がってきたぁあ!!
  忘れられない夜が来る予感☆ 
(テンション上がるボク)
     
  
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  今回の展覧会は会期8週間のなかで、たくさんの作品が入れ替わるんだ。書画は大半が展示替えをおこなうので、また違った雰囲気を楽しめると思うよ。それから、前期では東山御物(ひがしやまごもつ・足利将軍家の旧蔵品)で彩られていた1F-2展示室が、後期になると桃山茶陶の名品がずらりと並ぶ、というように大胆に変化するところもあって見どころのひとつだよ。

  おともだちのみんな、聞いた?今回の展覧会は何度でも楽しめるリン♪
  前期展示を見たおともだちも、ぜひ新たな気持ちで後期展示を見に来てね! 
  この作品はいつ展示されているのかな?と思ったら、出品一覧を見るのがオススメだリン!
出品一覧

  それでは2階に行ってみよう!まず紹介したいのは、「重要文化財 遠浦帰帆図(えんぽきはんず) 伝牧谿(もっけい)筆 (京都国立博物館所蔵)」<2F-3 後期展示>だよ。「遠浦帰帆図」は京博自慢の一点だから、トラりんも知ってるよね?
    

  もちろんだリン!ボクも大好きな作品だよ。あらためていろいろ教えてほしいリン☆

  床の間風に設えた空間で、「国宝 青磁下蕪花瓶(せいじしもかぶらかへい)(東京・東京・アルカンシエール美術財団所蔵)」<2F-3 通期展示>と、東山御物として有名な伝牧谿の「遠浦帰帆図」を一緒に鑑賞できるというとても贅沢な展示になっているよ。「遠浦帰帆図」は去年、解体修理が終わってから、今回の展示が初お披露目になるんだ。折れが生じていた本紙が改善して、画がすっきりとよく見えるようになったよ。

  本物のお茶室の床の間みたいで素敵だリン!牧谿さんはどんな人だったの?

  作者と考えられている牧谿は、中国・南宋時代の終わりごろに活躍した禅僧画家で、日本でとっても尊敬されていたんだ。今回の展覧会にはたくさんの牧谿筆とされる作品があるよ。牧谿は彩色をほどこさない水墨画で山水や龍虎、芦雁(ろがん)や花卉(かき)などいろいろな画題を描いたんだ。この「遠浦帰帆図」も墨一色だけど、淡い墨を効果的に使って吹きつける風や立ちこめる霧、夕方に刻々と変化する太陽の光まで、微妙なニュアンスをよくとらえているよ。

  あ!舟を発見☆

  そう、この作品を見て最初に目につくのがまずこの2艘の舟だね。強い風に押されるように、岸に急いでいるよ。左側にある木々が大きく揺れていることからも、風が強い日だということが伝わってくるね。木々の隙間にのぞく家屋は、お店か漁村かな?家屋のそばにいる人影は、岸辺で舟を待っているのかな?など、情景全体が見えてくると、さらに想像が膨らんでくるんじゃないかな。

  ほんとだー!じっくり見つめていると、色んな発見ができて面白いリン!シンプルに描かれているからこそ、いまじねーしょんがかきたてられるね!

  
  照明のあて方で見え方がすごく変わるから、この絵の魅力が伝わるように調整するのは、とても苦労したよ。

  作品の繊細な美しさをおともだちに伝えたくて、研究員はがんばっているんだリン!
  ちなみに、下からのぞき込むように見上げると、作品が見やすいよ☆(トラ知識)


続いて紹介するのは、「重要文化財 茉莉花図(まつりかず) 伝趙昌(ちょうしょう)筆 (東京・常盤山文庫所蔵)」<2F-3 後期展示>だよ。
    

  予習ブログのとき、チラシで見たお花! 茉莉花は、ジャスミンのことだよね!

  そうそう、トラりん、よく勉強しているね。
  茉莉花は、南方の暖かい地域に咲く白くてとてもいい香りのするお花。最近では日本でも一般的になってきたけど、ジャスミンティー(中国語では茉莉花茶)のようにお茶としても広く親しまれているね。この「茉莉花図」は東山御物で、茶席の掛物として近世の茶会記にたびたび登場する名品なんだ。ただ、何の花かはあまりなじみがなかったようで、単に「花の図」と記録されていることが多いよ。卯の花と鑑定されたこともあったみたい。

  ボクもジャスミンティーはよく飲むけど、ジャスミンのお花のことはよく知らなかったリン!

  この絵は北宋の趙昌という画家の作品とされてきたけど、現在はもう少し時代の下がる南宋時代の宮廷画家の制作と考えられているよ。つぼみや次第に花弁を開いていく花、ひるがえる葉やそれを支える枝など、よく観察して描いていることがわかるよ。繊細で生命感にあふれた表現は宋時代の絵画の魅力だね。


  うんうん、茉莉花りん、とっても生き生きしているね!
  それに、白いお花なのに立体的に見えるのがすごいリン!

  緑っぽい色でうっすらと自然なふちどりを入れて、濃い色や薄い色を効果的に使っているよ。白い色もハイライトを効果的に使うことで立体感を持たせることができるんだ。お化粧と一緒だね!

  なるほど!おしゃれが好きなおともだちのみんな、お化粧するときは茉莉花りんを思い出すとバッチリきまるリン!
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 (羽田研究員)
(羽田研究員)
  つづいて「君台観左右帳記(くんたいかんそうちょうき)(東北大学附属図書館所蔵)」<2F-3 通期展示(巻替あり)>を紹介するよ。

  羽田研究員、ありがとリン!長い巻物だね。 
  


  室町幕府の将軍邸での茶会は、「会所(かいしょ)」と呼ばれる座敷でおこなわれ、室内は中国からもたらされた文物「唐物(からもの)」で飾られていたんだ。こちらは、将軍に仕えて、唐物を管理していた同朋衆(どうぼうしゅう)がまとめた座敷飾りの本。どんなものをどういう風に飾るかをまとめた、いわば虎の巻みたいなものだね。

  お座敷にあるいろんなものが描いてあって、見ていて楽しいリン♪
  これは「ようかん」って書いてある!?(きらーん☆)
    

  これは「薬器」だよ!漢字の横に「ヤツキ」とふりがながふってあるね。くずし字だから、羊羹の「羹」の字に見えなくもないな。恐るべしトラりん、すべて食べ物に結び付けている...
  
  
(描いてみた☆ 形は栗きんとんかと思ったリン☆)


  「薬器」というのは、抹茶を入れる器・茶入のこと。この作品は、当時日本でどういったものが評価されていたか、茶道具や美術品に対する価値観を知ることができる点で、とても重要なんだよ。

  なるほど!これを見たら、お茶を愛する人がそろえていたアイテムが分かるリン!

  では「国宝 清拙正澄墨蹟・遺偈(せいせつしょうちょうぼくせき・ゆいげ)(棺割の墨蹟・毘嵐巻(かんわりのぼくせき・びらんかん))(東京・常盤山文庫所蔵)」<2F-4 後期展示>を見てみよう。


  な、ながい名前だリン!!!
  ん?どうしたの?

  書から発されるエネルギーに、思わず圧倒されてしまった。胸を打たれる作品だね。
  清拙正澄は中国・元時代の禅僧。嘉暦元年(1326)に来日して、鎌倉の建長寺、浄智寺、円覚寺、のちに後醍醐天皇の勅命によって京都の南禅寺、建仁寺の住職をつとめたよ。この墨蹟は、死期を悟った清拙が、弟子のために筆をとった最後の書なんだ。

  そうなんだ!とても亡くなる前とは思えない、力強さを感じる書だリン...!

  清拙の墨蹟は他にも展示されているから、見比べてみるのも面白いのではないかな。

  「ゆいげ」や「びらんかん」はどういう意味?

  「遺偈(ゆいげ)」というのは死を前にして書き残された、いわば辞世の句。この墨蹟は、臨終に間に合わなかった弟子が棺の前で号泣していると、清拙がにわかに目を開き、この遺偈を授けたという逸話から、「棺割の墨蹟(かんわりのぼくせき)」とも呼ばれるよ。

  なんと、よみがえったリン!どうして!?

  禅宗では、師匠から弟子へと法(禅の教え)を受け継ぐことが何より大切だったんだ。清拙は死の間際まで、弟子に法を授けようという強い思いがあったんだね。
  ちなみに「毘嵐巻」というのは、最初の3文字から取ったものだよ。
    

  ほんとだ、最初の3文字だ!
  (「昆布巻」に見えたけど、これは内緒にしておこう...☆)

  ・・・(トラりん、おいしそうな顔して、また食べ物に結び付けているのかな。発見は鑑賞の第一歩!楽しんでもらえて嬉しいな)

  最後の大きな1文字は何だろう?

  これは花押(かおう)というサインだね。実物から伝わってくる迫力を、ぜひ確かめてもらいたいな。

  図録で見るより、はるかに大きいリン!これが書の力なのか...!

  茶会では、こうした禅僧の書を掛けるのがもっとも格式が高いとされたよ。そうして、お寺だけでなく、茶の湯を伝えてきたそれぞれの時代の人の元で大事にされて、現在まで伝えられてきたんだね。

  展覧会では、茶の湯を形作ってきた日本人の美意識やおもてなしの心を感じてほしいな。

  森橋研究員、羽田研究員、ありがとうリン!
  「特別展 京(みやこ)に生きる文化 茶の湯」は、12月4日(日)まで!
  会期中、金・土は、20時まで開館しているから、夜の博物館も楽しんでね!
    

  きょうトラりんとお話しした内容も書いてあるから、ぜひ図録も手に取ってみてくださいね!
 (栗きんとんと昆布巻...)


  ところで森橋さん、髪型寄せてない?

  ...羽田さんの背中を見て、日々勉強させていただいていますので。

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 \おうちで楽しむ京博/
■虎ブログ
    特別展「京(みやこ)に生きる文化 茶の湯」予習編
特別展「京(みやこ)に生きる文化 茶の湯」Part 1
■特別展鑑賞ガイド(PDF)
茶の湯のイロハ(日本語版)
Special Exhibition Guide: Chanoyu and Tea in Japan (English)
观赏指南:日本饮茶文化 "茶之汤" (简体中文)
전시 감상 가이드 차노유 첫걸음(한글)
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 \展覧会概要/

新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のためのお願いにご理解・ご協力賜りますようお願い申し上げます。
会期等は今後の諸事情により変更する場合があります。随時、京博ウェブサイトや公式Twitterにてお知らせいたしますので、ご来館の際は最新情報をご確認ください。
※本展はご予約不要でご覧いただけます。
■会期:
2022年10月8日(土)~12月4日(日)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館
■休館日:
月曜日
※ただし10月10日(月・祝)は開館、翌11日(火)休館
■開館時間:
火~木・日 9:00~17:30(入館は17:00まで)
金・土   9:00~20:00(入館は19:30まで)
■観覧料:
一般  1,800円
大学生 1,200円
高校生 700円