(末兼研究員&トラりん)
あけましておめでとリー―――ン!!!
(トラりん)
ん?末兼研究員、なんだかいつもと違うリン。髪切った?
(末兼研究員)
耳が伸びちゃった!
というわけで、前回の虎ブログに続いて、新年は末兼研究員と豊国神社・宝物館に行くところから!
豊国神社に行ってきたリン♪ <おまいり編>
すたーと!
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それでは宝物館に入ってみよう。
一緒に行ってくださるのは、豊国神社の権禰宜(ごんねぎ)、大島さんだよ。
あけおめリン♪
(豊国神社 権禰宜 大島さん)
トラりん、末兼研究員、ようこそ豊国神社へ。
宝物館は、豊臣秀吉公ゆかりのものを中心に、約80点の宝物を展示しています。作品解説は末兼研究員からどうぞ。
宝物がたくさんあるリン!どれから見る?
それはもちろん「重要文化財 鉄燈籠(てつとうろう)」から!
トラりんは、特別展「京(みやこ)に生きる文化 茶の湯」に「湯の釜(ゆのかま)与次郎作(京都・官休庵所蔵)」が展示されていたのは覚えているかな?この燈籠の作者は、なんと利休の釜師といわれる、その与次郎だったんだ。
利休さんの茶釜を作っていた人が、燈籠も作っていたの?!
豊国神社と茶の湯展がつながったリン!!
与次郎は、釜を作っている鋳物師(いもじ・かなものをつくる人)だった。釜大工と名乗っているのに、こうやって燈籠も作っているのが面白いよね。与次郎は他にも鰐口や梵鐘も作っていて、この燈籠は与次郎を代表する、そして京都を代表する、近世の超名品なんだよ!
いきなりすごい作品だリン!
ここに千鳥が飛んでいるのが見える?鳥を散らすという表現に、みやびさがあるね。
キレイな模様だリン!
ここには五三の桐紋(ごさんのきりもん)が入っていて、特別なあつらえなのが良くわかるね。
「五三の桐紋」って?
秀吉が使っていた家紋だよ。もとは皇族が使用していたもので、室町幕府の将軍・足利氏も使っていた由緒正しい紋なんだよ。
秀吉さんの燈籠だって分かるようになっているんだね!
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次に、豊国神社の名物、「重要文化財 豊国祭礼図屏風(ほうこくさいれいずびょうぶ)」を見てみよう。
豪華な屏風だリン!
右隻と左隻に分かれたこの屏風は、秀吉の7回忌にあたる慶長9年、豊国神社で催された祭礼の様子を描いたもの。この祭礼は8日間にもわたり、死してなお秀吉の威光を世に知らしめる大祭礼だったんだ。
当時の豊国神社の敷地は30万坪。その敷地の広さと祭りの規模がよくわかるね。
この大きな建物は?
<おまいり編>で話した大仏殿だよ。三十三間堂や清水寺など、今も残っている京都の街並みが描かれているから、今の京都の町と比較しながら見てみるのも楽しいね。
おともだちのみんなも、京博のある場所はどのあたりだったのかな?って想像しながら見てみてね!
こちらのレプリカでは、細かいところが良く見えるね。
あ!トラりん、ここを見て!
ん?お祭りを楽しむ人の中に...何かいる!
た、たけのこ!?
このお祭りでは、大きなお面をつけたり、南蛮人や七福神の衣装を身に着けてコスプレを楽しむ人もいたんだよ。
たけのこの仮装は、「二十四孝(にじゅうしこう)」が題材になっていると言われています。この書物は、親孝行に尽くした人物の物語を二十四編集めたもので、大陸から日本にもたらされた後、絵画などの美術品の題材になったり、寺子屋での教材や歌舞伎の外題に取り入れられたりするなどして、人びとに広く親しまれました。中でも「孟宗(もうそう)」が主人公の物語は、母親への孝心あふれる孟宗の姿が、心に深く染み入るお話です。
「孟宗」の物語は次のような内容です。幼い頃に父親を亡くし、女手一つで母に育てられ成長した孟宗は、年老いて病気になった母を慈しみ、母の求めに応えんと、筍を探しに雪深い山に分け入ります。しかし真冬に筍があるはずもなく、それでも孟宗は、天に祈りながら落涙しつつ雪を掘っていたところ、祈りが天に通じたのか、雪が融けて筍を掘り当てることができたのでした。
いい話だリン!たけのこマンにも、誕生秘話があったんだね☆
あ、踊っている人もいる!
大仏殿の前で輪になって踊る人々は、風流踊りをしていると言われ、これが今の盆踊りの原型といわれています。見れば見るほど新しい発見がある屏風なので、ぜひじっくり楽しんでくださいね。
大島さん、ありがとリン!
ん?末兼研究員が何かを見ている。
「重要文化財 桐唐草文蒔絵唐櫃(きりからくさもんまきえからびつ)」の錺金具(かざりかなぐ)を見ているよ。
え?金具を?
各所に打たれた金属パーツは、「錺金具」といって、この唐櫃だけではなく、建物や調度品にも付いているよ。金具に描かれた図様などから、時代が分かることも多いね。
さすが金属工芸の専門家だリン...!
次にトラりんにぜひ見せたいのがこの「金銅亀甲文透彫釣燈籠(こんどうきっこうもんすかしぼりつりとうろう)」。これは、超、超、大事~!ぜひもっと多くの人にこの大事さを知ってもらいたい。
どうしてそんなに大事なの?
これは、躰阿弥(たいあみ)が作ったとわかる、数少ない釣燈籠だからだよ。躰阿弥というのは、信長の安土城天守閣の錺(かざり)金具も作った人で、京都の錺師(かざりし)という金属を加工する職人さんの中のトップだった人なんだ。室町時代から明治時代にいたるまでずっと、最も優れた錺師と呼ばれた人。これは、そんな躰阿弥が豊臣秀頼の注文を受け、片桐且元が奉納した燈籠なんだよ。きちんと記録に残っているから、製作年代も作者も奉納者も分かるという、すごーく貴重なもの。
そうなんだ!大事なものを大事と分かるようになれて、嬉しいリン♪
そして、豊国神社といえば、「薙刀直シ刀(なぎなたなおしかたな) 名物 骨喰藤四郎(めいぶつ ほねばみとうしろう)」!
あれ?写真だリン。本物はどこにあるの?
京博にあるよ!
豊国神社が京博に寄託しているんですよ。
そうだったんだ!
特別展「京(みやこ)のかたな 匠のわざと雅のこころ」でも展示した骨喰藤四郎は、刀ブームが来る前から大人気の刀。織田信長にゆかりのある建勲神社の義元左文字(よしもとさもんじ)と豊臣秀吉ゆかりのある骨喰藤四郎は、歴史ファンから大人気の、とても有名な刀なんだよ。
豊国神社の宝物、すごいリーン!!
トラりんに宝物館の魅力が伝わって良かったよ。
まだまだ紹介したりないけど、そろそろおうちに帰ろうか。
名残惜しいリン!また来るリン!
京博のお隣ですので、ぜひまたいつでも遊びに来てくださいね。
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おでかけ楽しかったね、トラりん。
うん!誘ってくれてありがとリン!
京博に帰ったら、新春特集展示「卯づくし─干支を愛でる─」が見られるね。
金工の展示「刀を飾るⅡ」もあわせて楽しんでほしいな。
ハッ!そうだった!おともだちのみんなにもお知らせしなくちゃ!
今年もPR大使のおしごと、がんばるリン!
2023年も京都国立博物館をよろしくリン!
\予告/
次回の虎ブログは、卯づくしだリン!