こんにちリン!
トラりんだリン!
特別展「東福寺」、あっという間に後期展示だリン!はやーい!
虎ブログもあっという間にPart 3だリン!
特別展「東福寺」を予習するリン!(東福寺出張編)
特別展「東福寺」を見に行くリン♪ Part 1(前期展示編)
特別展「東福寺」を見に行くリン♪ Part 2(彫刻編)
もう展示を見てくれたおともだちにも、これから見に行こうかな?って考え中のおともだちにも、東福寺展の魅力をまだまだ知ってもらいたいリン!
ということで、きょうも展示室に遊びに行くよ!一緒に行くのはおなじみのこの人!
森研究員!
(森研究員)
やっほー!トラりん!
いつもきてくれてありがとう~★東福寺マスターへの道を着々と歩んでるね。今度テストしてあげよう。後半戦はどの部屋も展示作品がガラッと変わったから、ゆっくり味わっていって!
(トラりん)
ぬっ!てすと!?でもボクもそこそこ東福寺マスターになってきたからね!きっとバッチリだリン!
さっそく展示室へ行ってみよう!
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まず紹介するのは、「円爾像(えんにぞう)」だよ!
東福寺を開いた円爾さんだリン! 今回肖像画がたくさん展示されていたよね?
そうそ、いいね!トラりん、よく見てくれてるね。そのたくさんの肖像画の中でも、とびきり大きくて立派なのがこのお像。円爾さんを継いで東福寺の2代目住職になる、東山湛照(とうざんたんしょう)さんのために描かれたんだ。元々は東山さんが東福寺のすぐ側に建てた、三聖寺(さんしょうじ)っていうお寺でまつられていたのさ。円爾さんのなくなる前年、78歳のお姿だよ。
78歳!おじいちゃんの円爾さんだリン!
顔の皺が垂れ下がった感じとか、目の隈とか、おじいさん感がとてもリアルだけど、一番迫真的なのは鋭い目力かな。世界を見抜く目をもった、本当に大人物だったんだろうね。
13世紀、鎌倉時代は肖像画の時代とも言えるくらい色んな場で肖像画がもてはやされたけど、この像は時代を代表する名品の一つだよ。
そんなにたくさんある肖像画の中でも、名品なんだね!うーん、たしかにどっしりした円爾さんのぱぅわーがボクにも伝わってくるリン☆
ところで、「自賛」(じさん)ってどういう意味?
うんうん。まず「賛」っていうのは、絵に書きこまれた文章のこと。中国では昔から、絵について漢詩を詠んだり、文章を書いたりするのが盛んで、それを「賛」と呼ぶんだ。大陸帰りの禅のお坊さんたちを中心に、鎌倉時代の日本にもこの文化が導入されたんだよ。
肖像画の上の方とかに書かれている、あの文章が「賛」なんだね!
そういうこと。そのうえで「自賛」っていうのは、特に肖像画において、描かれた人が自分で賛を書いたもの。「これは確かにリアルな私自身です」っていう証明の意味があるんだろうね。さらに禅の肖像画の場合、「私を慕ってくれる誰それのための絵」っていうことがよく書かれてるよ。
なるほどリン☆「これは自分の肖像画だリン!」ってわざわざ書いているのは、「会えなくなっても、つながっているよ」ってお師匠さまがお弟子さんたちに伝えるためなんだね...!
禅は座学ではなくて、体と心の奥底で感じて悟るものだから、自分を導いてくれたお師匠さんの像は、見た目の迫真性と自賛のコラボでもって、師弟のリアルなきずなをずっと感じさせるものであってほしかったんだと思うな。
「自賛」には深い想いが込められているリン!
さぁ、続いては、「達磨・蝦蟇鉄拐図(だるま・がまてっかいず)」だよ!
あ!「がまてっかいず」だ!
そおか~トラりんは最近、原在中(はらざいちゅう)筆の「蝦蟇鉄拐図」について勉強したんだったね。今回のは明兆さん作だから、違いを見比べて楽しめるね!
今回はガマ仙人とテッカイ仙人のあいだに、ダルマさんがいるリン!
そうなんだよ~ほんとの主人公はこの面白い2人組じゃないんだ。真ん中にいる達磨さんがメインなのさ。達磨さんは今から1500年くらい前、インドから中国にやってきて禅宗の祖になった人だよ。洞窟で岩壁に向かってひたすら9年間坐禅して、真理を悟ったんだって。だから洞窟の中で、しかめ面で一心に坐禅する様子に描かれてるんだ。
9年間も座禅を!?すごい人だリン!
この絵の達磨さんは顔がすごいシンメトリー(左右対称)で、胸毛とかあごひげとか毛深さが強調されてて、雰囲気濃いよね。
うん、濃ゆいリン☆
さらに衣服の線はとびきり太くて、デフォルメが効いてて、雲は丸っこくモクモクしてる。不思議なインパクトがあって、明兆さんの絵の中でも昔から大人気なんだよ。
なんだか、宙に浮いているみたいにも見えてきた!ダルマさん、何を考えているのかなぁ?
何考えてるんだろねえ。見るともなく、岩と一つになっちゃったような感じ?
見れば見るほど不思議な絵だリン☆
蝦蟇鉄拐図のほうは、もうトラりんは勉強済みだね。蝦蟇さんは3本足のガマガエルを使い魔にする仙人で、鉄拐さんは自分の魂を身体から抜け出させて飛ばすのが得意な仙人だったね。この絵は元ネタがあって、今も残っている中国の名画、顔輝(がんき)筆の「蝦蟇鉄拐図」(中国・元時代 14世紀 京都・百萬遍知恩寺所蔵)をモデルにしたもの。ただし明兆は個性抜群だから、背景はみんな変えちゃってて、仙人の線も太くて丸っこい明兆らしいものになってるよ。
ほんとだ、明兆さんの個性が出ているリン~♪
トラりんも、明兆タッチが分かってきた?東福寺マスターに近づいてきたね~!
お勉強したから、違いが分かるボク☆
おともだちも見比べてみるリン!
名品紹介 顔輝筆「蝦蟇鉄拐図」(京都・百萬遍知恩寺所蔵)
ちなみに最初、蝦蟇鉄拐の真ん中にいたのは達磨さんじゃなくて、東福寺を作った円爾さんの像だったんだ。いつの間にか、なぜか組み合わせが変わっちゃったみたい。この明兆特製の特大の円爾像は今もあって、同じ展示室の向かいのケースにいらっしゃるよ。振り返ってごらん。
なぬ!?クルりん!あ、大きさもおんなじ円爾さんの絵がお向かいにあるリン!おともだちも、展示室でクルりんしてみるリン!
それにしても円爾さんが最初、蝦蟇鉄拐2人組と一緒だったのはなぜなんだろう。明兆さんが、円爾さんが仙人のマジカルパワーを求めてる、とでも想像したのかな...。
明兆さんに聞いてみたいリン☆
続いては、「東福寺伽藍図(とうふくじがらんず)」だよ。
えーっと、前回の虎ブログで「がらん」はお寺のことって教えてもらったから、これは東福寺のお寺の地図かな?
うん、だいたいあってる。絵で風景をちゃんと描いてるから、絵図といった方がいいかも。西から東福寺を見た図で、真正面が東、右側が南、左側が北ね。よく見ると、中国の易学(えきがく)に沿った難しい方位記号が描いてあるよ。
この山の上のぼうみたいなやつかな?
そうそう、それそれ。
室町時代の東福寺の姿を細かく描いたのはほとんどなくて、すごく貴重なんだ。山水とか風景表現はどれも本当に上手で、恐らく当時の京都の一流の水墨画家が描いたものだよ。上の賛には、東福寺の歴史とか地理とか施設情報がこまごま書かれてるんだ。
ねーねー、通天橋はどこー?
自分で見つけてごらんよ~!
じっ...
あったかな。
あった!
前にも話したように、東福寺は明治時代に大火災にあってご本尊のいらした仏殿とか一番大事な建物群が失われてしまったんだけど、焼ける前はこんな感じだったんだ。ビルみたいに大きなお堂が林立してたんだよ。
なるほどリン!それでボクが行った時とは雰囲気が違うんだ!たしかにこのへん、建物がぎゅうぎゅうに並んでいるね☆
それと、絵をよくみると、あちこち紅葉してるように見えるでしょ。後から色が足された部分もありそうだけど、室町時代から東福寺は紅葉の名所だったみたいだね。
紅葉の歴史も長いリン🍁
最後に紹介するのは、「禅院額字幷牌字(ぜんいんがくじならびにはいじ)のうち方丈(ほうじょう)」だよ。
かっこいい字だリン!でも、「がくじ」や「はいじ」って、なぁに...?
額(がく)は、建物の軒先とかいろんな場所に掲げておく、あの額。牌(はい)は吊り下げておく掛け札のことだよ。字はお寺の建物や儀式の名前とか、お坊さんの役職名とかがでっかく書いてあってね。これをさらに額や牌に彫って、お寺の色んな場所に掲げたり吊り下げたりするんだ。額や牌のための字だから額字、牌字。
建物の入口にある表札の、下書きみたいなものかな?
そうそう、そんなん。円爾さんが留学から帰ってきて、自分のお寺を持つことになったとき、お師匠の無準師範(ぶじゅんしばん)さんが中国から一揃いそろえて贈ってくれたのがこの字なんだ。額や牌はお寺の伽藍や儀式で絶対使う、象徴的なものだからね。
無準師範さん、お弟子想いだリン...!
円爾さんは最初、日本最大の国際貿易港で、中国の人たちもたくさん住んでいた博多を拠点にしていて、この字は博多に送られてきたんだ。そのあと、円爾さんと一緒に東福寺にやってきたのさ。いい文字としてすごく有名で、今では日本中の禅寺の建物に、この字が使われているよ。
博多から東福寺へ、それから日本中の禅寺へ広がったんだね!
この「ほうじょう」は、どんな意味?
方丈は、禅寺で住職さんが住む建物のことだよ。もともとは1丈(約3m)四方の広さのお部屋っていう意味で、仏教の奥義を極めた維摩(ゆいま)さんは、方丈のお部屋の中にあらゆる存在を満たし入れることができたんだって。
へー!すごいリン!
ほかにもいろんな建物の名前があるから、見てみてね。
分かったリン☆いっぱい教えてくれてありがとー!!
今回の虎ブログではここまでだけど、東福寺はいくら話しても話たりないくらい。ほかにもいっぱい見てほしいものがあるからね!それに言葉ではどうしてもつたえられないものがたくさんあるから、実物を見て味わってほしいな。トラりんも、また時間あったらぜひぜひのぞいてね。
うんうん☆もっともっと展示を見て、東福寺マスターを目指すリーン!
特別展「東福寺」は12月3日(日)まで!
お見逃しなくっ!
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\展覧会概要/
■会期:
2023年10月7日(土)~12月3日(日)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館
■休館日:
月曜日
※ただし10月9日(月・祝)は開館、翌10日(火)休館
■開館時間:
9:00~17:30(入館は17:00まで)
\おうちで楽しむ京博/
■鑑賞ガイド・ワークシート
特別展「東福寺」をより楽しんでいただくための「鑑賞ガイド」(PDF)を公開しています。今回はカラーでコンパクト、さらりと読むのにピッタリ!
特別展 東福寺 はじめてガイド(日本語版)(PDF)
Guide to the Special Exhibition Tōfuku-ji (English)(PDF)
特展 东福寺 你想知道的都在这里(简体中文)(PDF)
특별전 도후쿠지 감상 가이드 (한국어) (PDF)
■五百羅漢図マンガ朗読
会場で人気の五百羅漢図マンガを、京博Instagramのストーリーズにて日替わりで紹介しています。会期終了(2023年12月3日)までご視聴いただけます。
朗読:展覧会主担当研究員 森 道彦ほか
京博公式Instagramストーリーズ(アーカイブ)
■ニコニコ美術館アーカイブ
特別展「東福寺」 は今年春に東京国立博物館で開催され、現在、京博に巡回しています。京博での会期終了(2023年12月3日)まで、ニコニコ美術館アーカイブ「東京国立博物館 特別展「東福寺」を巡ろう」をご視聴いただけます。
東京国立博物館 特別展「東福寺」を巡ろう
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口から魂が出ているテッカイ仙人風💨森研究員と、ガマりん🐸なボク