こんにちリン! 
  トラりんだリン!
  
特別展「法然と極楽浄土」に、たくさんのおともだちが見に来てくれて嬉しいリン!きょうはハチワレりんとおひるね♪ あ~ごくらくだリン...
 (井並研究員)
(井並研究員)
  あらまぁ、こんなところでトラりんとハチワレちゃんが寝てるねぇ... 
  そーっと近づいて... 
 (トラりん)
(トラりん)
  むにゃむにゃ... 
 
 
トラりん、ハチワレちゃん...(なでなで)
 
 
  あ、ハチワレりんが逃げていったリン!もー!井並研究員、何をしているの? 
 
 
  ショック...😢 
 
 
  ボクもすっかり目が覚めてしまったリン! 
 
 
  そうだトラりん、寝てる場合じゃないよ。特別展「法然と極楽浄土」はあと10日で閉幕だよ。急いで後期展示を見に行こう(せーのっ) 

 
 
  いざ!ぴゅあらんどへ!
  \連れてって!/ 
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  まず最初に、「法然上人像(ほうねんしょうにんぞう)」を2作品続けて紹介しよう。
	
  
 
 
  おなじみの法然さんのお姿だリン! 
 
 
  法然さんの肖像画はたくさん残っているけれど、二尊院(にそんいん)に伝わるこの作品が現存する中でもっとも古いとみなされるものだよ。 
  「足曳御影」という通称は、次のような説話が由来になっているよ。 
  九条兼実(くじょうかねざね)という貴族が法然さんの肖像画を欲しがるんだけど、法然さんが固辞するので、一計を案じて、屋敷で法然さんを入浴させて、湯上りでくつろいだ姿を御簾ごしに画家に描かせたんだ。出来上がった肖像画の開眼供養に呼ばれた法然さんは絵を見てびっくりするわけだけど、とくに片足を出してくつろぐ姿勢が無作法なので、一生懸命お祈りをしたんだ。すると、なんと絵のなかの足が引っ込んだ、ということで、この作品がその時の絵として「足曳(引き)の御影」と呼ばれているんだ。 
 
 
  肖像画の中のあんよがひっこんだの!?法然さんのぱぅわーはすごいリン!
	
 
 
  この話は室町時代には語られていたことが確認できるんだ。法然さんが親しみをもって慕われていたことがうかがえるね。 
  さっきトラりんが「おなじみの姿」って言ってくれたけど、たしかに墨染の衣を着て少し頭を傾け数珠を手に取る姿は、他の多くの法然上人像と共通する図像だね。 
  ただ、「足曳御影」には画面左下に風呂敷包みがあって、これは他の作品にはないモチーフなんだ。 
 
 
  ほんとだ、大きなお荷物があるリン!何が包まれているの? 
 
 
  何を表しているのかは、いろいろ説があってまだわかってないんだ。 
 
 
  (おやつかな) 
 
 
  続いてこちらは、知恩院所蔵の「法然上人像」だよ。
	
  
 
 
  頭が丸くて、「法然頭」じゃないリン! 
 
 
  トラりん、ショート動画で話した法然頭のこと、よく覚えていたね!法然さんの肖像画の中でもよく知られた作品だよ。藤原隆信(ふじわらのたかのぶ)という、平安時代末期に実在した似絵(にせえ)画家が描いた作品として伝わっているから、この通称で呼ばれるんだ。

 
 
  あ、今度は風呂敷包みじゃなくて、ノートみたいなものがあるリン!
   
 
  そうそう、「法然上人像」はどれも似ているけど、少しずつディテールが違うから、見比べてみると楽しいよね。法然さんの伝記でも、後白河院が法然さんの『往生要集』の講義に感動して、その肖像画を藤原隆信に描かせ、蓮華王院(三十三間堂)の宝蔵に納めたという話が出てくるよ。その話に出てくる肖像画と一致するとはなかなか確定できないけれど、確かにトラりんの言うようにこの法然さんは書物を広げた机を前に坐っているね。 
  法然さんの肖像画にはいろんな説話や由来がくっついて、それぞれのお寺でそれらが語られながら大事にされている、ということは言えるんじゃないかな。 
 
 
  肖像画には、法然さんのいろんなエピソードがぎゅっとつまっているんだね...! 
  それにしても、この「隆信御影」はさっきの「足曳御影」と比べてずいぶん小さいリン!どうして? 
 
 
  はっきりとは言えないけど、法然さんの肖像画は、命日などの法要のときに掛けられていた、言い換えればそうした法要のためにつくられていたと想像されるんだ。法然さんの伝記絵巻には、肖像画を掛けて供養する弟子たちの姿が描かれているよ。その絵のなかの肖像画は、「足曳御影」のように大型なんだ。寺や集団がおこなう法要では、そうした大型の肖像画が必要とされたのかもしれない。 
  でも、こうした小型の肖像画は、法然さんを慕う人がより個人的に、身近に置いて拝んでいたのかもしれないね。じっさい、「隆信御影」は南北朝時代の知恩院住職の助阿上人(じょあしょうにん)という人が大事に持っていて、その後も知恩院住職が伝えたという伝承があるんだ。 
 
 
  みんなで大切にするものは大きく、ひとりひとりが身近においておきたいものは小さくなったんだね!いろんなサイズがあるのも納得だリン☆ 
 
 
  次に紹介する作品は2階にあるから、おててをつないで降りようね。勢いよく降りると危ないよ。 
 
 
  こんどはどんな作品? 
 
 
  ショート動画でも紹介した「あの」作品たちを、仏画担当の大原研究員が紹介してくれるよ! 
 
 
  大原研究員!
 (大原研究員)
(大原研究員)
  こんにちは、トラりん。まず紹介するのは重要文化財「二河白道図(にがびゃくどうず)」だよ。

  

  ショート動画でも教えてもらった作品だリン!でも、詳しいことは忘れたからもう一度教えて☆ 
 
 
  まあ、こういうのは一回では覚えられないからね。二河白道というのは、法然さんが浄土宗を開くにあたってとても影響を受けた唐の善導が著した『観経疏(かんぎょうしょ)』の中に説かれている、念仏だけが大切だということを示したたとえ話なんだ。法然さんが『選択本願念仏集(せんちゃくほんがんねんぶつしゅう)』でも念仏のありがたさがよくわかるお話ということで取り上げたことから、日本で初めて絵画に表されるようになったものなんだ。 

  日本で初めて!中国にもない主題の絵なんだね!ところで、何が描いてあるんだっけ? 

手前の現実世界と上の極楽浄土の間に、白い線を挟んで水と火が描かれているよね。この白い道が念仏なんだ。現実世界には自分をおびやかすものが存在している、だから向こう岸にいかないといけないけど、迂回もできない。ただ、この細い白い道だけしか手段がない。しかし、その白い道に火と水が両脇からかぶさってくる。この火と水は、怒りと貪りという人間の煩悩を意味している。でも、この白い道、つまり念仏だけを他に気を取られず一心不乱に進むことで、向こう岸、極楽に行けるということを説き示しているんだ。だから、浄土宗では、よく知られたたとえ話で、絵にも描かれたんだ。
	
   
 
  じゃあ、ほかにもいろんな二河白道図があるってこと?そういえば前期展示でも見た気がするリン!この絵だけのおもしろいところをもっと教えてほしいリン! 
 
 
  トラりんは、あいかわらずだね。この絵でおもしろいのは、この世の白道の端に立って極楽往生を勧めているお釈迦様がいるんだけど、その脇に女の人がいる。これは、お釈迦さんが極楽往生のやり方を教えてあげた韋提希(いだいけ・ヴァイデーヒー)という人なんだ。 
  また、この世には、生・老・病・死の人間の四つの苦しみを描いていて、この世を離れて極楽往生を目指すようにということが説かれているんだ。これは、法然さん以前から存在する考え方を取り込んで、表現しているんだ。 
 
 
  あ!ここにトラもいるリン! 
 
 
  そうだね、でもここでは人間に害をなす猛獣として描かれているね。テキストでは「悪獣」とあって、人間の感覚知覚で、これだけにとらわれると仏教の真理が見えなくなるし、煩悩のもとになるんだ。私なんかも欲望に負けて、よく無駄遣いしてしまうよ。 
 
 
  (おやつかな) 
 
 
  そして最後に紹介するのは、国宝「阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)(あみだにじゅうごぼさつらいごうず はやらいごう)」だよ。こちらもショート動画で紹介した作品だね。

  
 
 
  やっと実物が見られたリーン💨 
 
 
  「早来迎」というのは、スピード感を強調して、阿弥陀の救いの迅速さをあらわしたものなんだ。だから、「早来迎」は、この絵だけではないんだけれど、この絵があまりにもすばらしいので、「早来迎」というとこの絵みたいな感じで受け止められている。トラりんは、この絵でどうしてスピード感を感じ取られるのか、わかるかな? 

  うーん、雲のふんいきかな? 

  そうだね、雲がハイスピードで動くときは、たなびいた尾が細くなるからね。でもそれ以上に、大切なのは、角度の問題もあるんだ。これは画面の対角線の急角度を利用して、上から下に転がり落ちるようにお迎えが来ているように描いているんだ。 
 
 
  そういえば、角度があるから勢いよく移動しているように見えるリン!でも、「早来迎」といえばこの作品って言われるほど、特別扱いされているのはどうして? 
 
 
  おっ、めずらしく的を射た質問だね。対角線構図で急角度を作るのは、ほかの「早来迎」でもよく見られる手法なんだけど、この絵は一つ大きな違いがある。それは、普通のものは掛け軸では普通の長方形の画面なんだけど、この絵は正方形に近いんだ。だから、この絵は、角度的には少し緩くなってしまうんだけど、その代わりに対角線の両脇に大きな余白が生まれるんだ。その余白に山水の景観を描くことで、三次元的な奥行きのある風景画のような絵になっているんだ。来迎という物語を、お芝居を観ているような感じでドラマチックに描き出しているんだ。だから、すごいといわれるんだよ。 
 
 
  鑑賞のしかたを教えてくれるなんて、大原研究員にしてはめずらしく的を射た説明だリン! 
 
 
  やりかえされたね。でも、見る人には、信仰の遺産としてだけでなく、アートとしてもその価値をきちんと認識してほしいな。 
 
 
  いろんな意味で、大切な作品だリン! 
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  たくさん作品をみてきたね、トラりん。面白かったかな? 
 
 
  うん!今回は予習をいっぱいしたから、むずかしいお話もすこーしわかるようになった気がするリン! 
 
 
  確かに成長しているね。スマッシュヒットのいい質問もあったしね。 
 
 
  1歳なのに、よくがんばったね! 
  仏教美術は一見難しいけど、描かれているモチーフの意味がわかったり、その作品が使われた儀式などを知ったりすれば、とっても豊かに楽しめると思うよ!それは先人の祈りや願いを反映してるし、そういうのって「救われたい」「苦しみから逃れたい」っていう普遍的なものだからね。 
 
 
  そっかー!想いは変わらないんだね♪昔の人の気持ちが分かると、前より身近に感じられる気がするリン! 
\ハチワレりんが戻って来た☆/
 
 
  後期は国宝6件そろい踏みだし、これだけの作品で浄土宗をご紹介できる機会はなかなかないから、ぜひ見に来てほしいな! 京博だけで展示する作品もあるよ!
  そして、来年巡回する九州国立博物館では、そこでしか見られない九州ならではの作品が出るので、こちらもお見逃しなく! 
 
 
  法然展、3会場で盛り上げているリーン♪ 大原研究員も、来館するおともだちに一言どーぞっ! 
 
 
  仏教美術は、その意味を理解できないとおもしろみが半減するので、どうしてもお勉強になりがちです。ただ、法然という人は、本当に興味深い人です。他とは違うすごいことをはじめたのに、あまりそのカリスマに頼っていない。だから、その遺品や画像も少ない。展覧会担当者泣かせなんですが、今回はその教えを広めた浄土宗の歴史を江戸時代までたどったことで、その影響力の大きさに改めて感じ入りました。皆さんも、こうしたエネルギーを生み出した法然さんの教えにぜひ関心を持っていただきたいと思います。 
 
 
  井並研究員、大原研究員、いろいろ教えてくれてありがとリン♪ 
  それじゃあおともだちも... 


 
 
  京博まで早来迎! 
\おうちで楽しむ京博/
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特別展「法然と極楽浄土」を予習するリン!―前編―
特別展「法然と極楽浄土」を予習するリン!―後編―
特別展「法然と極楽浄土」見に行くリン♪Part 1
■PDF
京都国立博物館だより 2024年10-12月号(224号)(PDF)
法然と京都マップ(PDF)
■ニコニコ美術館
京都国立博物館の特別展「法然と極楽浄土」を巡ろう
https://live.nicovideo.jp/watch/lv345670025
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\展覧会概要/
    ■会期:
2024年10月8日(火)~12月1日(日)
    ■会場:
京都国立博物館 平成知新館
    ■休館日:
月曜日
※ただし、11月4日(月・休)は開館し、翌11月5日(火)休館
    ■開館時間:
    9:00~17:30(入館は17:00まで)
金曜日は20:00まで開館(入館は19:30まで)
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