こんにちリン!
トラりんだリン!
(トラりん)
展示室が能舞台になっているリン!
特別展「源氏物語 王朝のかがやき」、どんな展覧会なのかな?
(ぴぃーーーーーひゅ~い~...)
キャー!
(井並研究員)
トラりん、僕だよ。井並だよ。
(山内研究員)
山内です。驚かせてごめんね。井並研究員がどうしてもこの姿で出たいっていうから。
ドキドキしたリン!
山内研究員ばかり能面で登場していてずるいと思って...僕も能面をつけたかったんだ!
■トラTube:【予習編】特別展 源氏物語 王朝のかがやき
井並研究員はお調子者だリン...
そんな能面が映えるこの見事な能舞台、『源氏物語』にまつわる源氏能の<葵上>をイメージして作られているよ。
『源氏物語』が能になっているんだ!すごいリン!
舞台上の能装束はすべて山口能装束研究所が江戸時代の名品を復原した作品、舞台の鏡板は、横浜能楽堂のご協力のもと、旧加賀藩藩主・前田斉泰の能舞台の鏡板を再現しているよ。
能には『源氏物語』を題材にした演目が多く、能独自の解釈がみられるなど、中世の人々が『源氏物語』をどんなふうに理解し、愉しんでいたかがうかがわれるんだ。そしてこの能舞台は撮影可能となっているよ!詳しくはまたあとでね。
楽しみだリン!
それじゃあ、源氏物語展、ほかの作品も見に行ってみよう!


イヨォ~... 
・
・
・
まず最初に紹介する作品は、石山寺の「紫式部像(むらさきしきぶぞう)」だよ。
紫式部さんっていえばこのおすがただリン!石山寺、いっしょに行ったね!
■虎ブログ:特別展「源氏物語 王朝のかがやき」予習編 石山寺に行ってきたリン!
そうだね、あの銅像もこうした肖像画をもとにつくられたんだね。
机にひじ掛けて、筆を持ち、何か思案するように見えるね。『源氏物語』の文章を考えているのかな。源氏絵もたくさん手掛けた宮廷絵所預(えどころあずかり)の土佐光起が、鮮やかな色彩で細やかに描いた、華麗な式部の姿だよ。上部の賛には、天台宗の教えにかかわる文言が書かれているんだ。
キレイだリン...♪ぼうずめくりを思い出すリン...
たしかに、百人一首の絵札にもこうした平安貴族の女性が描かれているけど、この紫式部像をお手本にしたようなかるたもあるね!
おとなりにあるのは、「紫式部聖像(むらさきしきぶせいぞう)」。今見た紫式部像と比べてみようか。
全然印象が違うリン!大きくて、迫力があるリン!
普通これくらい大きな肖像画だと絹に描かれるんだけど、この作品は紙に描かれているのが特徴だよ。石山寺にある「源氏の間」との関係も検討されているんだ。少し見えにくいけど、式部の手前には鉢が描かれていて、ここから霞(かすみ)が湧いて、周囲に表された『源氏物語』の各場面に繋がっているよ。
式部が水想観(すいそうかん)という仏教的な行をおこなうと、鉢の水面に光源氏が現れ、物語の内容を示したという、『源氏物語』誕生の伝説が表現されているんだ。『源氏物語』はさまざまな古典文学のなかでも傑出して優れているので、宗教的な力によって生まれたという伝承が語られるようになったんだ。だから物語が書かれたとされた石山寺には、仏教的な要素を併せ持った紫式部像が複数伝わっているんだね。
『源氏物語』には、そんな不思議なお話が...!だから仏画のような雰囲気があるんだね!
続いていよいよ絵巻の紹介をしよう。国宝「源氏物語絵巻 柏木一(げんじものがたりえまき かしわぎいち)」だよ。
これが国宝のあの有名な絵巻なんだね!見るのを楽しみにしていたリーン!
こちらは『源氏物語』を描いた現存最古の作品であるだけでなく、数ある絵巻作品の最高傑作のひとつとして名高い、国宝「源氏物語絵巻」だよ。
物語が成立して百数十年経った頃の、平安時代末期12世紀の作品と考えられているんだ。
歴史の教科書などにも必ず載っていて、ここに描かれた光源氏や姫君たち、華麗な装束や調度品などは、私たちの「貴族文化」「王朝美術」イメージに直結しているよ。
以前は、各場面ごとに詞書と絵を別々に仕立てた額装になっていたんだけど、この徳川美術館所蔵分は近年の修理で各場面ごとの巻子装、つまり本来の絵巻のかたちに戻されたんだ。
華麗な詞書と絵が繋がって、順番に開かれていく、そうした調和と真価をより味わえるようになったんだよ!
そうなんだ!絵巻としてひとつになったことで、昔の人と同じ気持ちで見ることができるリン...!これはどんな場面?
現在展示しているのは「柏木一」の場面。
不義の子を出産した女三宮のもとに父・朱雀院が訪れ、画面下に描かれた光源氏と三者三様の苦悩に沈むところだよ。
畳や几帳の幾何学的な構成を駆使して混乱する状況や人物の内面を描き出すという、とても高度な表現をおこなっているのが特筆される点なんだ。また、暖色系の明るい部分と銀泥メインの暗い部分を対比的に配置するなど、さまざまな工夫が凝らされているんだ。
現存最古なのに、墨がとっても黒々としているリン!色の塗り方も、細かい部分にまでグラデーションがあって、見れば見るほど引き込まれるリン!
「柏木一」の場面の展示は、10月18日(日)まで。国宝「源氏物語絵巻」は2週間ごとに場面を替えて展示するよ。
いずれも東京国立博物館での展示とは異なる場面になるから、ぜひチェックしてね!
別の場面が見られるのも楽しみだリン!
次に紹介するのは、あの俵屋宗達(たわらやそうたつ)筆、国宝「源氏物語関屋澪標図屛風(げんじものがたりせきやみおつくしずびょうぶ)」だよ。
宗達さんの屛風だリーン!
こちらは「風神雷神図屛風」(京都・建仁寺所蔵)の作者としても有名な、琳派の祖ともされる俵屋宗達による源氏絵の傑作だよ。
室町時代後期から、『源氏物語』は絵巻・画帖・扇面といった小さな画面だけでなく、屛風や襖といった空間を飾る大画面作品の主題としても描かれるようになるんだ。
江戸時代にもたくさんの源氏絵の屛風が制作されるけど、多くの作例が装束や調度品を細密に、華麗に描くのに対し、この作品は大胆に造形や色彩をデフォルメしているのが斬新で、山と海を対比する鮮やかな色目や、リズミカルなモチーフの配置は、まさに「デザイン」だよ。
宗達は平安時代の料紙装飾など王朝美術を勉強して、それらを新たな感性で再生した絵師だけど、この作品においても『源氏物語』という古典文学の画題を、そうした都会的な、おしゃれな美意識で生まれ変わらせたといえるんじゃないかな。
宗達さんによってデザインされた、新感覚の『源氏物語』、とってもおしゃれだリン!江戸時代にも『源氏物語』は人気のテーマだったんだね!

実はこの作品は、もともと京都の醍醐寺に伝わったんだ。
十数年前の研究で、記録から覚定(かくじょう)というお坊様が注文して制作されたことが明らかになったんだよ。そのとき、覚定は25歳。そして、この「澪標」「関屋」の場面の光源氏も20代で、蟄居(ちっきょ)した須磨から京に戻りこれから栄達を極めていくところにあたる。
もしかしたら、注文主の覚定は自分を光源氏に重ねる部分があったんじゃないかな。
また、覚定も醍醐寺も能楽に深くかかわっているけど、これらの場面選択が<源氏能>と関係があるんじゃないかとも指摘されているよ。
源氏能とかかわりのある場面なんだ!能楽と『源氏物語』、とっても気になるリーン!
それじゃあそんな能に詳しい、山内研究員のところに行ってみようか。
トラりん!待っていたよ~!
能舞台のお部屋に戻ってきたリン!
よく来たね♪こちらの金春家(こんぱるけ)伝来の作品を紹介するね。
右:重要文化財 能面 般若 金春家伝来(のうめん はんにゃ こんぱるけでんらい)
いずれも東京国立博物館所蔵 <1F-1 通期展示>
能面だリン!こんぱるけ?
金春家は能の流派の中でも最も長い歴史を持つ金春流の宗家だよ。豊臣秀吉やその弟・羽柴秀長(豊臣兄弟!)らにとっても贔屓にされたんだ。
当時の有力武将たちは能が大好きで、なんと観るだけでなく自分でも舞っていたんだよ(お付き合いで嗜むも方もおられたようですが、、、)。

秀吉さんの能への入れ込みはすごいものだったんだね...!
そうだね。だから自分が舞うために、能面の名品をたくさん集めたり打たせたりしたんだ。
秀吉は朝鮮出兵の際に拠点とした肥前(佐賀)名護屋城に、金春大夫八郎 安照(こんぱるたゆうはちろう やすてる)と観世大夫左近 身愛(かんぜたゆうさこん ただちか)を呼び寄せ、両家伝来の名物面を差し出させて、面打(能面づくり)の名人として誉れの高かった角坊光盛(すみのぼうみつもり)に写しを制作させたらしいよ。

見るだけじゃなくて、舞ってみたり、能面を造ってもらうなんて、秀吉さんたち戦国武将にとって能楽は身近な存在だったんだね!
ところで<葵上>はどんなお話なのかな?
能の<葵上>は葵上ではなく、六条御息所が主人公なんだ。
ストーリーを一言で説明すると、「賀茂祭の際に、光源氏の正妻・葵上一行との車争いで侮辱された六条御息所が、知性と美貌を兼ね備えた元東宮妃としてのプライドと、心離れした源氏への執着との間で煩悶(はんもん)のあまり怨霊となり、鬼女に変化し、葵上を憑き殺そうとするけど、最後は山伏の加持祈祷により祈り伏せられる」という展開だよ。
すごいお話だリン!この能面はどういうときにつけられるの?
この「泥眼」という女性面は、能<葵上>の主人公である六条御息所が、まだ高貴で美しい姿の怨霊である前場(前半)につけられるよ。一見、人間のように見えるけど、能では能面をつけていると、この世ならぬ存在、つまり人間じゃないんだ。そしてよく見ると、白目部分に金泥が施されているのがわかるかな。
ほんとだ...!白目が金色だリン!
金色は超人的な威力を持った存在であることを暗示しているよ。現代なら、CGで目を光らせたりビームを出すような演出かな。怨霊の凄みが増しますね。
舞台の上でも、ギラリンと光るんだね!迫力満点だリン!
「能面のように無表情」ということばがあるけれど、喜怒哀楽があいまいな女面の中間表情には無限の表情が含まれているよ。動きや光の当たり方、見ている側の心の状態によっても、見えてくる顔が違うよ。実際に能を舞っている映像とともに、動かぬ彫刻が変化する様を感じてみてね。
能舞台のとなりに映像があるリン!幽玄の世界が味わえるね!
そして能<葵上>の後場(後半)では、こちらの「般若」という面で、六条御息所が鬼女に変化した姿をあらわすよ。強烈な造形だね。
同じ人を、場面によっていろんな能面で演じるんだね!
六条御息所は、能によって「嫉妬極まり、鬼女に変化する」というわかりやすいキャラクターと、能面の「般若」による強烈なビジュアルを与えられたよ。
その影響は大きくて、「六条御息所=怖い」イメージは広く浸透し、今日までつづいているね。
「般若」の能面は、怖いけど...悲しそうにも見えるリン!
さすがトラりん!そのとおり!
能面「般若」は、怒りと哀しみの複雑な感情が造形化されているよ。能は人間誰しもが持つ「残念な想い」、「無念の想い」を大切にするんだ。演劇にして、謡や囃子とともに、心の動きや葛藤をみんなで共有する感じかな。
源氏能、奥が深いリン...
・
・
・
ところでトラりんは、<葵上>を知らないようだったけど、『源氏物語』をもう読んでいるんだよね?
ギクッ!
夏休みの宿題にしていたのに、8月31日に焦っていたよねー。
知~らないリーン...♪
どうしましょうか、山内研究員。
思ひ知らずや👹
思ひ知れっ🔨
なになに!?イター...くないリン!
これは魔法の杖だよ、そうですよね?山内研究員。
その通り。「打杖(うちづえ)」といって、鬼や天狗や龍神の役が持つ、人知を超えた神通力が宿る杖です。ちなみに、先ほどの「思ひ知らずや、思ひ知れ」は、六条御息所が葵上を襲撃する場面で、「私のこの深い悲しみを知らないのか、思い知るがいい!」という意味の台詞だよ。
ワァーーーーー!
ボクの頭に『源氏物語』が入ってくるリン!!!
ふふふ、魔法が効いてきましたね。
今回は手っ取り早く、トラりんの脳内に『源氏物語』のストーリーを直接インプットしました。
お話が...お話が分かるリン!
ご来館の皆様にもぜひおすすめしたいのは、『源氏物語』のあらすじを大まかに調べてから展示を見に来ることです♪全部を読もうとすると大変ですが、物語を知れば知るほど展示の楽しさは何倍にもなること間違いなし。長編の古典小説と考えるとハードルが高く感じられますが、現代では文庫・新書や漫画、動画など、分かりやすく楽しく紹介してくれるコンテンツがたくさん出ていますので、ぜひこの機会に『源氏物語』と仲良くなってくださいね。
特別展を見てから、改めて古典に触れるという方もいらっしゃるかと思います。この展覧会が平安の王朝文学と皆様をつなぐ架け橋となれば嬉しいです。
『源氏物語』を読んだおともだちも、まだ読んでいないおともだちも、みんな源氏物語展を楽しんでね!おともだちの数だけ、楽しみ方があるリン!
たしかに『源氏物語』は千年もの間読み継がれてきました。ただ、先人がどんなふうに楽しんできたのかは、それぞれの時代や立場によって、実は全然異なるのです。古典を受け止め、新たな文化を生むというダイナミズム、その多様性と歴史に触れていただける展覧会になっています!
また、それはつまり、今の我々が『源氏物語』に対して抱いているイメージが、決して当たり前の、固定化されたものではないということに気づくきっかけになるのではないかとも思います。歴史的な変遷を受け継ぎ、また未来に向かって文化を創造していく、我々はつねにその通過点にいるのです。
能舞台の露出展示では、近代の職人さんたちの気迫を感じていただけると思います。
技術・意匠センスともに最高レベルに達した江戸時代中後期の能装束を本歌に、電気や農薬などをできる限り排除し、当時の生活に限りなく近い環境で、その美意識や職人の心意気までをも写し取ろうと挑戦したものです。
間近でご覧いただき、その高度な技術と、濁りのない色と輝きをご堪能ください。
フォトスポットとしてもお楽しみくださいね!
2人とも、おだやかなかおになったリン...(ホッ)
![]()


![]()
![]()
京博で待っているチュン♪
・
・
・

■会期:
2026年10月6日(火)~11月29日(日)
前期展示:2026年10月6日(火)~11月1日(日)
後期展示:2026年11月3日(火・祝)~11月29日(日)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館
■休館日:
月曜日、10月13日(火)、11月24日(火)
※ただし、2026年10月12日(月・祝)、11月23日(月・祝)は開館
■開館時間:
9:00~17:30(入館は17:00まで)
金曜日は20:00まで開館(入館は19:30まで)
・
・
・
ボクも能面、つけたいリン!