金工
仏教法会の際、諸仏を供養するために蓮弁をかたどった紙の花びらが散じられる。華籠(けこ)は、この散華供養(さんげくよう)の花びらを盛る器で、正倉院に伝わるものなどから見て、古くは竹を編んだ籠を用いたらしい。
平安時代以降しだいに装飾性が強まるが、中でもこの華籠は、現存する作例中、意匠、技法両面で最も優れた加飾を行う。銅円板全面に、中心から三方向に展開する宝相華唐草文(ほうそうげからくさもん)を透彫りし、とくに外面は鋤彫(すきぼ)りを加えて立体的に表し、花芯(かしん)を線刻により表現する。全体を鍍金(ときん)し、さらに宝相華と唐草の要所に鍍銀を施している。
神照寺に伝存する16枚の華籠は、精粗により2群に分けうるが、このうち古様の5枚は、平安時代まで遡ると考えられている。
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