漆工
堆朱とは朱漆を何百回と塗り重ねて、朱漆の堅い層を形成し、そこに鋭利な刀で文様を彫り起す、彫漆という工芸品の一つ。中国人ならではの時間を超越した漆工芸品といえる。この彫漆の遺品は鎌倉時代から禅宗とともに我が国にもたらされ、室町時代には唐物として書院飾にかかせないものになった。さらに茶の世界に用いられ、中国将来漆器の象徴とも言える。
本品は椿に尾長鳥を盆面一杯に彫ったもので中国元時代の遺品とされている。盆裏に針書で「張成造」と中国の名工の名が刻されているが、これは日本での後銘と推測される。しかし、室町期にすでに将来彫漆の最上級品として認められた証の銘ともいえよう。
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