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中世絵画
重要文化財
王羲之書扇図おうぎししょせんず
基本情報
- 1幅
- 紙本墨画淡彩
- 縦83.1cm 横32.6cm
- 室町時代 15世紀
- 京都国立博物館(A甲284)
書聖、王羲之が売れない扇売りの老婆のために扇に字を書き、人々が競ってこれを買い求めたという著名な故事を描く。作者の如拙(じょせつ)は室町幕府に重用された相国寺の画僧で、本作は15世紀前半の幕府と五山の禅宗寺院周辺における水墨画の水準を示す極めて重要な基準作である。相国寺の高僧、大岳周崇(だいがくしゅうすう)の愛用品であったのを弟子が掛軸に仕立て直し、その経緯を詩文僧の惟肖得巌(いしょうとくがん)が永享2年(1430)に賛文に記し残している。元は扇絵であったが、題材が中国の物語であることに合わせてか、改装の際に中国風の団扇(だんせん)形に切り取られた。禅味のただよう擦れた絵の筆致は、中国・南宋の宮廷画家で道釈人物画の名手であった梁楷(りょうかい)の画風を意識したもので、大木の下で揮毫する王羲之を中心に、2人の童子と老婆をバランスよく配置する。