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漆工
国宝
宝相華迦陵頻伽蒔絵𡑮冊子箱ほうそうげかりょうびんがまきえそくさっしばこ
基本情報
- 1合
- 縦37.0cm 横24.4cm 高8.3cm
- 平安時代後期 10世紀
- 京都・仁和寺
真言宗の祖、空海(774~835)らが唐で書写して持ち帰った経典(三十帖冊子)を納めるために、醍醐天皇(885~930)が作らせた箱。木製ではなく、麻布を漆で固めて整形する乾漆製である。表面には金銀の研出蒔絵(とぎだしまきえ)で、蕊(しべ)が大きく古様な宝相華と、迦陵頻伽(美しい声で仏法を囀る、極楽浄土に住む霊鳥)を描く。一見すると唐風の求心的な繰り返し文様のようだが、よく見ると28人の迦陵頻伽の姿がすべて異なる。装飾の完成度もさることながら、今日に伝わる平安時代の蒔絵の作品が極めて少ないなか、制作の経緯や時期が明確な基準作としても、かけがえのない一点である。