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中世絵画
重要文化財
四季花鳥図しきかちょうず
基本情報
- 8幅のうち4幅
- 紙本著色
(各)縦174.5cm 横139.5cm
※他4幅は(各)縦174.5cm 横99.0cm - 室町時代 永正10年(1513)
- 京都・大仙院
大徳寺の塔頭(たっちゅう)、大仙院の本堂(方丈(ほうじょう))を飾っていた障壁画群の一部で、現在は掛幅に改装されている。襖絵群は大仙院創建時の制作とみられ、特に檀那(だんな)の間に描かれていた8面の「四季花鳥図」は、中近世の画壇を統率した狩野派の大成者、狩野元信(かのうもとのぶ)の代表作として名高い。画面の右から左へと四季を展開させ、また同時に松の巨木と瀑布の波涛、岩の巨塊という躍動的な山水モチーフとたゆたう静かな水景を対置することで、森羅万象の自然の多様性を表現する。花鳥モチーフは際立つよう、ほとんどが最前景に置かれており、吐綬鶏(とじゅけい)や鸚哥(いんこ)、山鵲(さんじゃく)といった珍鳥が雄大な景観を華やかに彩る。制作にあたっては同時代の中国・明の山水画や花鳥画が多く参照されたとみられるが、全体の構図は横に連続的に展開する襖、という日本の大画面形式に合わせて最適化されており、明るく澄んだ色彩感覚、緻密でゆるぎない描写とあわせて実に見事な出来栄えである。続く桃山時代における豪壮華麗な絵画表現を導く基点ともなった、狩野派にとっての記念碑的作例である。