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2015年11月 8日
こんにちリン!トラりんだリン。
『風神雷神図屏風』三対を展示中の京博に、連日たくさんの方に来ていただけて、嬉しいリン!
そこで・・・・
京博のPR大使であるボクとしては、みんなにもっと、『風神雷神図屏風』の魅力を知ってもらいたい・・!と、思い立ち、早速、学芸員の福士さんを訪ねたんだリン。
福士さん、よろしくお願いリン。
トラりん:さっそく展示室で『風神雷神図屏風』を見てみるリン...あれ? 同じ絵が3つあるリン! 福士さん、どれが本物なんだリン?
福士:トラりん、3つとも本物なんだよ。それぞれ違う人が描いた、3つの「風神雷神図屏風」が展示されているんだ。
トラりん:えーっ!「風神雷神図屏風」はひとつしかないと思ってたリン!
福士:トラりんが知っているのは、きっと一番奥にある国宝の「風神雷神図屏風」だと思うよ。俵屋宗達という人が描いた作品で、京都の建仁寺が所蔵しているんだ。
トラりん:俵屋宗達なら聞いたことあるリン! 本物は初めて見るけど、教科書の写真とちがって迫力あるリン。
福士:そして、右にあるのが、その宗達の作品をもとに尾形光琳が描いた「風神雷神図屏風」。
トラりん:光琳先生はボクの生みの親だリン! そうかあ、光琳先生は宗達さんの作品を見てマネをしてるんだリン。
福士:そうだね。しかも、光琳は宗達作品の上にうすい紙を置いて、そっくりそのまま写し取っているんだ。こういうのをトレースと言うんだよ。
トラりん:そっくりそのまま!まるでコピーしてるみたいだリン。
福士:でも、違うところもたくさんあるんだ。トラりんはどこが違うか分かるかな?
トラりん:違うところ...。あっ!光琳先生の方が雲が黒くて大きいリン!
福士:そうそう。ほかにも、風神雷神の高さとか、視線の向きとか、違うところが色々あるんだよ。それに、画面の大きさも光琳の方がひとまわり大きいしね。
トラりん:そう言われてみれば...。光琳先生は、ただマネをしただけじゃなかったんだリン!
福士:それじゃあ、左側にある「風神雷神図屏風」はどうかな? これは、酒井抱一という人が描いたんだ。
トラりん:色がとってもきれいだリン! あっ!それから風神の高さが光琳先生よりも低いみたいだリン!
福士:そうそう、トラりんよく気付いたね。光琳作品では風神雷神は同じくらいの高さで向き合ってるけど、抱一は位置を変えているね。画面も3つのなかではいちばん背が高いんだ。
トラりん:そっくりと思ってたけど、よく見れば違いがいっぱいだリン!
福士:そして、実は描かれた時期もそれぞれ約100年ほど違うんだ。
トラりん:...ど、どういうことなんだリン?
福士:宗達が描いてからおよそ100年後に光琳が、そして、それからさらに100年後に抱一が描いているんだよ。
トラりん:ええーっ!! ということは、光琳先生は宗達さんに会ったことはないんだリン。
福士:そう。抱一も光琳には会ったことがない。
トラりん:同じ「琳派」なのに、なんだか不思議な感じがするリン。
福士:それが「琳派」の面白いところ。お互いに面識はないけれど、残された作品を見てそこから学び取り、まるでひとつの流派のようになっているんだよ。
トラりん:面白いリン!みんなも3つの「風神雷神図屏風」を見に来てほしいリン!
福士:...ただ、3つが並ぶのは11月8日までなんだよ。
トラりん:えええーっ!!! 福士さん原稿出すのが遅いリン!
福士:ごめん...。トラりんのキャラがいまいちつかみ切れなくて...。
トラりん:なんか言ったかリン?
福士:でも、11月10日からも、宗達と抱一の「風神雷神図屏風」は展示されているよ。
トラりん:3つが2つになったら寂しいリン...。
福士:大丈夫! 光琳の「風神雷神図屏風」と入れ替えで、抱一の「夏秋草図屏風」が展示されるんだ。
トラりん:夏秋草?でも風神雷神とは関係なさそうだリン。
福士:それが大いに関係ありなんだな~。実は、この抱一の「夏秋草図屏風」は、光琳の「風神雷神図屏風」の裏側に描かれていたんだよ。
トラりん:裏側に!しかも光琳先生の「風神雷神図屏風」の!
福士:そう。だから、抱一の「夏秋草図屏風」は、光琳の「風神雷神図屏風」をとても強く意識しているんだ。
トラりん:それはすごいリン!はやく見たいリン!
福士:まあまあ、焦らないでトラりん。3つの「風神雷神図屏風」が一度に見られるのは、京都では75年ぶり。トラりんもこのチャンスを逃さずちゃんと見てほしいな。
トラりん:もちろん見るリン! 福士さん、今日はありがとリン! 最後に記念撮影~!
福士:トラりん、作品にかぶってるよ~!