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2019年1月アーカイブ

2019年1月18日

特集展示「京の冬景色」を見に行くリン♪

特集展示「京の冬景色」を見に行くリン♪

こんにちリン!
トラりんだリン!

torarin

ぶるぶるぶる......

torarin

や、やっぱり冬は寒いリン...
なんとか、おこたから出ずに生活できる術を身につけたいリン...

福士研究員:トラりんは立派な毛皮を身にまとっているのに、寒がりだよね。
京博で暮らしているから、野生の虎とは違うんだね。

トラりん:福士研究員...(ぶるぶるぶる)
寒いのは苦手だリン...(ぶるぶるぶる)
早いところおこたで丸くなりたいんだけど、今日はなんの用?(ぶるぶるぶる)

torarin

福士研究員:なんの用とはつれないご挨拶だなあ、久し振りのトラりんとの絡みを楽しみにしていたのに!

トラりん:おこた>福士研究員(キッパリ

福士研究員:今日は、いま京博で開催されている特集展示のなかでも三本の指に入る、特集展示「京の冬景色」をトラりんと一緒に見に行こうと思っているのにー!
この展示は、冬の京名所が描かれた作品を集めているんだ。
ところでトラりん、京都市には毎年何人くらいの観光客がやって来るか知っている?

トラりん:いや、三本の指って、いま開催されている特集展示はぜんぶで三本だリン!
え!2019年の福士研究員、面白いリン!え!
このくだり、もっとひっぱりたいけど...
京都市だけなら、100万人くらい?

福士研究員:正解は○○製菓!
じゃなくて、なんと年間5000万人!
びっくりだよね。
そんなたくさんの人が訪れる京都も、冬場は観光客が少なくなる時期。
でも、冬の京都にはこの季節にしか見られない風景があるんだよ。
寒がりのトラりんにも、きっと京都の冬を楽しんでもらえると思うんだ。
さぁ、早速展示室に行こう!

トラりん: ぶるぶるぶる......

torarin



福士研究員:まずは、「嵐山雪景図屏風(あらしやませっけいずびょうぶ) 森寛斎(もりかんさい)筆」(京都国立博物館所蔵)から見てみよう。

torarin

トラりん:水墨画って不思議だね。
華やかな絵もあるのに、この作品は水墨画だからこそ冬の寒さや、静けさが際立っているように見えるリン!
あ...さむい...ぶるぶるぶる......

福士研究員:ここに描かれているのは、嵐山の冬景色だよ。
大堰川(おおいがわ)にかかる渡月橋を東側から眺めた、現在でもおなじみの景観だね。
古くから名所として知られた嵐山は、絵画では春の桜や秋の紅葉とともに描かれることが多いのだけど、この作品では雪に覆われた静かな雰囲気がとりわけ趣(おもむき)深いねえ。

トラりん:冬は貴重なんだね!
なんだか、ありがたみが増すリン☆
それにしても、人が全然いなくてしんとしているね。
あ、でもよく見たら船に乗った人がいるよ!

福士研究員:そうそう、あれは筏(いかだ)に乗った筏師(いかだし)だよ。
山で切り出した木材を組んで筏をつくり、下流に運んでいるんだ。

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トラりん:いかだし?

福士研究員: 昔から、大堰川といえば筏師というのが定番の組み合わせだったんだよ。
筏師がぽつんと描かれることで、いっそう冬の空気の冷たさや静寂が伝わってくるね。
ところでトラりん、この一面の銀世界には実は雪が一切描かれていないんだけど、どういうことかわかるかな。

torarin

トラりん:?!
どう見ても雪が描かれているリン...
つまり、福士研究員はまだ正月ボケが治っていないということ?

福士研究員:まあ年中ボケているからね。
いやいや、そうじゃなくて、この真白な雪は白い絵具を使うことなく、墨を塗り残した紙の素地によって表現されているんだ。
直接に雪を描かずして雪を表現しているところが、この作品の見どころのひとつだと思うよ。

torarin

トラりん:本当だ!
塗り残しているだけなのに、もう雪にしか見えないリン!
絵師の技法は、すごいリン!!

torarin

福士研究員:続いて、「平等院雪景図屏風(びょうどういんせっけいずびょうぶ) 塩川文麟(しおかわぶんりん)筆」(京都国立博物館所蔵)だよ。

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トラりん:10円玉にあらわされていることでもおなじみの、あの平等院だね!
今度は色がついているリン☆
寒そうな色だけど...ぶるぶるぶる......

福士研究員:今度は宇治の冬景色だよ。
平等院を北東方向から宇治川越しに眺めている景観で、画面中央あたりに有名な鳳凰堂、右の方に観音堂が見えるね。
雪化粧した鳳凰堂の姿は、普段にも増して見事だねえ。
そして、宇治川には柴舟が三隻。

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トラりん:柴舟はボクも知っているリン!
生姜の効いたおいしいお煎餅だリン!

福士研究員:トラりん、それは金沢銘菓の柴舟だよ。
今年も腹ぺこキャラ全開だね!
ここに描かれているのは、柴を運ぶ柴舟。
薪(まき)などにするために刈り取った木の枝を積んでいるんだ。
大堰川といえば筏、というのと同じように、宇治川といえば柴舟というのが昔からの定番なんだよ。
両方とも有名な和歌がもとになっているんだけどね。

トラりん:とっても風情があって、冬ならではの素晴らしい景色だリン☆

福士研究員:最後は、「都名所図巻(みやこめいしょずかん) 松村景文(まつむらけいぶん)ほか筆」(京都国立博物館所蔵)を見てごらん。

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トラりん:「ほか」筆?

福士研究員:この作品は、景文も含め円山四条派の画家6名による合作なんだ。
円山四条派というのは、円山応挙とその弟子・呉春(ごしゅん)に連なる流派のこと。
四季折々の京名所18か所が2巻にわたって描かれているよ。

トラりん:なるほど!
18か所の京名所を6人で描いたものなんだね!
豪華だリン☆
あれ?でも展示されているのは2か所だけだリン...

torarin

福士研究員:...「京の冬景色」がテーマだからね。
展示箇所は、上巻が応挙(おうきょ)の弟子・吉村孝敬(よしむらこうけい)の描いた東山の如意ヶ岳(にょいがたけ)、下巻が長沢蘆雪(ながさわろせつ)の弟子・長沢蘆洲(ながさわろしゅう)の描いた淀の冬景色だよ。
特に、淀では淀城を象徴する大型の水車が当時の様子をしのばせるねえ。

torarin

トラりん:これがむかしの京都でござるか...なんて☆
作品を見ていると、まるで絵の景色の中にいるような気持ちになるね♪

福士研究員:今回は展示されていないけど、ほかには夏の下鴨神社や秋の東寺などが描かれているんだ。

トラりん:2つの景色を見たあとにそんなことを言われたら、ほかの16か所の名所も見て、都名所図巻をコンプリートしたくなっちゃうリン♪
京都の素晴らしい景色をたくさん見られて、いろんな場所を巡った気分だよ☆
寒いのが苦手なボクだけど、特集展示「京の冬景色」を見て、京都の冬の素晴らしさに気付くことができたリン!
心も体もぽかぽかになってきたー♪

バサァッ☆

torarin

福士研究員:実は、最後に見た「都名所図巻」は、自由に外出するのもはばかられるような身分の高い人のために描かれた作品なんだ。
居ながらにして京名所を眺めることができるようにってね。
それと同じように、冬の京名所を巡る小旅行をするような気分で、展示を楽しんでくれたら嬉しいな。
博物館の中は冬でも暖かいしね!

トラりん:そうだったんだ...
美しい景色を見られないのは残念だけど、きっとこの作品のおかげで楽しむことができたよね。
ボクは身分が高くないけど、あまりお外に出たことがないから、京博で季節の景色をたくさん見られて、とってもうれしいリン♪
おともだちのみんなにも、京都の冬景色と京博の展示をあわせて楽しんでもらえたらいいな☆

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※おふとんの持ち込みはご遠慮ください。

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特集展示 京の冬景色
■会期:2018(平成30)年12月18日(火) ~ 2019(平成31)年1月27日(日)
■会場:京都国立博物館 平成知新館2F-5
■交通:JR、近鉄、京阪電車、阪急電車、市バス
■休館日:
○月曜日
※ただし2019年1月14日(月・祝)は開館し、翌2019年1月15日(火)が休館となります。
■開館時間:
火~木・日曜日:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
金・土曜日:午前9時30分~午後8時(入館は午後7時30分まで)

■観覧料:
一般  520円(410円)
大学生 260円(210円)
高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は無料です(年齢のわかるものをご提示ください)。
※( )内は20名以上の団体料金。
※大学生の方は学生証をご提示ください。
※障害者手帳等(*)をご提示の方とその介護者1名は、観覧料が無料になります。
 (*) 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳
※キャンパスメンバーズは、学生証または教職員証をご提示いただくと無料になります。

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2019年1月11日

特集展示「美麗を極める中国陶磁」エピソードⅡ~考古編~

特集展示「美麗を極める中国陶磁」エピソードⅡ~考古編~

明けましておめでとリン!
トラりんだリン!
今年もよろしくお願いしますリン♪

torarin

いま、京博では3つの特集展示を開催しているリン☆

■特集展示「美麗を極める中国陶磁」
■新春特集展示「亥づくし」
■特集展示「京の冬景色」

今日は、宮川研究員が「いっしょに展示室を見に行こう」って誘ってくれたんだ☆
どんな作品のお話を聞かせてもらえるのか、とっても楽しみだリン♪

宮川研究員:トラりん、こんにちは。
今日は、特集展示「美麗を極める中国陶磁」の作品を見ながらお話ししていこうと思っているよ。

トラりん:え...ごめリン...
それはもう降矢研究員から聞いてしまったリン...

宮川研究員:特集展示「美麗を極める中国陶磁」の松井コレクションには、考古作品もあるんだ。
それでは、早速展示室へ行ってみよう。



トラりん:松井コレクションには考古分野の作品もあったんだね☆
前回の虎ブログ「特集展示「美麗を極める中国陶磁」~陶磁編~」では中国陶磁に注目していたから、見落としていたリン!

宮川研究員:そう、とてもたくさんのコレクションがあるんだよ。
まずは、「銅金象嵌虎鎮(どうきんぞうがんこちん)」(京都国立博物館所蔵)から見てみよう。

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トラりん:虎!!!

宮川研究員:これは、いわゆる文鎮(ぶんちん)だね。
子どものころ、お正月に書初めをしたおともだちも多いと思う。
紙をおさえる細長い重しを文鎮というけど、この作品は2000年くらい前の中国・漢(かん)時代の文鎮なんだ。
よく見ると虎がイノシシを食べるところを表しているね。
漢の時代に紙も筆も墨もあったということだよ。

トラりん:いま1F-5展示室では、新春特集展示「亥づくし」が開催されているけど、虎年はまだまだだから虎の作品が見られてとってもうれしいリン!!!
ありがとリン!!!!!(泣)
しかも、1月27日(日)まで開催の新春特集展示「亥づくし─干支を愛でる─」とさりげなくコラボしているリン!!

torarin

宮川研究員:お、落ち着いて。
トラりんに紹介したい作品がたくさんあるんだ。
続いて、「青銅虎符(せいどうこふ)」(京都国立博物館所蔵)

torarin

トラりん:また虎!!!

宮川研究員:この小さな虎は銅でできているよ。
それに頭からしっぽにかけて真っ直ぐ2つに分かれている。
それは、この虎が飾り物でも文鎮でもなく重要な意味を持っていたからなんだ。

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トラりん:重要な意味?

宮川研究員:この2つに分かれる虎は、片方を王様(皇帝)が持ち、もう片方を地方にいる将軍が持つんだ。
そしていざ戦争というときに王が将軍に命令書とともにこの片方の虎符を送るんだ。
そうすると将軍は手元の片方と組み合わせて、王(皇帝)からの正しい命令だと判断できるというわけさ。
つまり、ニセ情報ではないことを示す重要なものということなんだよ。
逆に言うと、大昔にもフェイクニュースがあったということだね。

torarin

トラりん:ピッタリ合うのは1つだけなんだね!
そんな大切なものに、虎のデザインが使われているなんてうれしいリン!!!
えーん!宮川研究員、やっぱり優しいリン!!(泣)
ありがとリン!!!!!(泣)
ありがとリン!!!!!(泣)

宮川研究員:虎には「強い」イメージがあるから、軍事的なものに用いられていたんだね。
それでは、「連弧文細地虺龍鏡(れんこもんさいじきりゅうきょう)」(京都国立博物館所蔵)を見てみよう。

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トラりん:虎は?

宮川研究員:これは古代中国の秦(しん)時代から前漢(ぜんかん)時代はじめころの銅の鏡だよ。
今見ているのは文様のある方で、この裏側が顔を映す鏡面になるんだ。
虎はいないけど、よく見ると小さな龍がいるよ。
ちょうどSF映画でよく見る小型の草食恐竜のような姿だね。
「龍虎」という言葉があるように、中国では虎と龍が強い生き物の代表とされるよ。

torarin

トラりん:龍もかっこいいリン!
この作品に虎はいなかったけど、間違いなく両方強くてかっこいい生き物だリン!!

宮川研究員:さいごは「斝(か)」(京都国立博物館所蔵)だよ。

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トラりん:か?

宮川研究員:これは古代中国の商(しょう)時代、または、殷代(いんだい)とも呼ばれる時代の青銅器だよ。
三足の器で、酒を温める容器と言われているんだ。
側面には目を持つ獣文、難しく言うと饕餮文(とうてつもん)という怪獣の顔があるよ。
このような青銅器が盛んに作られているので、この時代が呪術優先の時代だったことが想像されるよ。

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トラりん:怪獣...呪術...カタカタカタ(震)
でも、むかしのひとが使っていたものから当時の生活を予想するってすごいね!
ぱっと聞いたらなんだか怖いような気がしたけど、きっといろんな時代背景があってそうした暮らしを送っていたんだろうなぁ...

宮川研究員:古代中国の青銅器は、京都国立博物館ではなかなか展示する機会がないので、あわせて楽しんでもらえたらうれしいな。

torarin



特集展示 美麗を極める中国陶磁
■会期:2018(平成30)年12月18日(火) ~ 2019(平成31)年2月3日(日)
■会場:京都国立博物館 平成知新館1F-2・3
■交通:JR、近鉄、京阪電車、阪急電車、市バス
■休館日:
○月曜日
 ※ただし2018年12月24日(月・休)、2019年1月14日(月・祝)は開館
○年末年始:2018年12月25日(火)~2019年1月1日(火・祝)
○2019年1月15日(火)
○2019年1月29日(火)
■開館時間:
火~木・日曜日:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
金・土曜日:午前9時30分~午後8時(入館は午後7時30分まで)

■観覧料:
一般 520円(410円)
大学生 260円(210円)
高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は無料です(年齢のわかるものをご提示ください)。
※( )内は20名以上の団体料金。
※大学生の方は学生証をご提示ください。
※障害者手帳等(*)をご提示の方とその介護者1名は、観覧料が無料になります。
 (*) 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳
※キャンパスメンバーズは、学生証または教職員証をご提示いただくと無料になります。

■関連土曜講座
○2月2日(土)午後1時30分~午後3時
  特集展示「美麗を極める中国陶磁」関連講座
 「美麗を極める中国陶磁」
  降矢 哲男(京都国立博物館 研究員)
  詳細はこちら




おまけ☆

\虎はかっこいいんだリン!/


torarin
※すっかり上機嫌の単純ボーイ☆(京博スタッフのつぶやき)

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