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2021年8月アーカイブ

2021年8月 6日

特別展「京の国宝―守り伝える日本のたから―」を見に行くリン♪ エピソードⅠ

特別展「京の国宝―守り伝える日本のたから―」を見に行くリン♪ エピソードⅠ

こんにちリン!
トラりんだリン!

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特別展「京の国宝―守り伝える日本のたから―」の予習はばっちリン☆
きょうは展示を見に行くリン♪
展覧会主担当の森研究員と、淺湫研究員とここで待ち合わせしているんだけど...(そわそわ)

mori-iconasanuma-icon(森研究員・淺湫研究員)
やあ、トラりん。お待たせ。

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torarin-icon(トラりん)
森研究員!淺湫研究員!
森研究員は、「文化財保存修理所開所40周年記念 特別企画「文化財修理の最先端」を見に行くリン♪エピソードⅡ」ぶりだよね☆
淺湫研究員は、「おうちで楽しむ、特別展「鑑真和上と戒律のあゆみ」」で登場してくれたし♪
今回もいろいろ教えてほしいな!

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今回の展覧会のテーマは、なんと京都ゆかりの「国宝」だよ。
素晴らしい文化財のもっている「不滅の魅力」を肌で感じてほしいと思って、なんと文化庁の調査官の皆さんと協力して作ったんだ。

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京都ゆかりの国宝...(ウットリ☆)
今回の特別展も、もりだくさんな内容だよね!森研究員の「なんと」の多さに意気込みを感じるよ。
文化財のもつ「不滅の魅力」...チラシで予習したときにも思ったけど、カッコいい言葉だリン!
ねーねー、森研究員!淺湫研究員!
ボク、はやく作品を見たい気持ちでいっぱいだリン...!

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デュフフ、そう言ってもらえて嬉しいよ。
それじゃあ、展示室へ行こうか。

mori-iconasanuma-icontorarin-icon
それじゃあ...
\展示室に出発―♪/
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さいしょは、「宝物簿(ほうもつぼ)(京都国立博物館所蔵)」(通期展示)<3F-1>から見ていこう。
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これは明治時代の中ごろ(1895年)に編集された、12冊ぞろいの日本美術名品集みたいな冊子なんだけれど...面白いのは、今とはぜんぜん年代感が違うんだ。例えば今、12世紀の平安仏画と考えられているものが、平安時代初期(9世紀)の様式と考えられていたりね。

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時代ごとに1冊ずつあるんだね。
足利時代ってはじめて見たリン!

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そうそう、今とは時代の区分や名前も違っていたんだね。
展示品について、何時代のいつ頃とか、どんな背景で作られた品であるとか、いつもここでも話させてもらってるけど、よく考えたらこういうことが分かるって不思議だよね。この様式の、こういう雰囲気のものはこの時代だって最初に気づいた人は、ホントにすごいなと思うよ。近代の研究者たちが、たくさんものを見比べて、試行錯誤した成果の上で僕らは美術を見ているんだ。

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そうなんだ!12冊もあるから、すごくたくさんの作品を調べたんだね。
きっとボクを見て江戸時代の虎だってわかるひともいたよね☆



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つぎは、こちらの作品を見てみよう。
「国宝 山水屏風(せんずいびょうぶ)(京都国立博物館所蔵)」(前期展示)<3F-2>だよ。
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これは日本美術の教科書を開くとかならず出てくる、すごく有名な絵だよ。東寺(教王護国寺)で、灌頂(かんじょう)という儀式に使われていたんだ。広々とした風景の中に、大陸風の身なりをした貴公子が描かれていて、お寺に伝わっているけど、むしろ当時の貴族の調度品みたい。こういう中国風の主題の絵を当時は唐絵(からえ)と呼んでいて、これはその最古の遺品なんだ。

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最古!!さすが国宝。
青緑色の山や木々がとってもきれいだリン♪

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ちなみに、日本で文化財の国宝の指定制度がはじまったのは明治30年(1897)のこと。現代で国宝や重要文化財になっているものは、太平洋戦争後の昭和25年(1950)に出来た「文化財保護法(ぶんかざいほごほう)」に従って指定し直されたもので、明治時代からある国宝(旧国宝)とはちょっと違うものなんだけど、なんとこの屏風は明治と昭和の両方で最初に国宝に指定されているんだ。名品中の名品たるゆえんだね。

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2回とも最初に国宝に選ばれるくらいすばらしい作品なんだね☆
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僕がさいごに紹介するのは「国宝 伊能忠敬(いのうただたか)関係資料(千葉・伊能忠敬記念館所蔵)」(通期展示<入替あり>)<2F-5>だよ。
日本地図を作った有名な測量家、伊能忠敬(1745~1818)に関する資料がそろっているんだ。忠敬は足かけ17年、10回も測量隊をひきいて日本全国を旅して回ったんだ。海沿いに歩いて天体観測をして、方位を計って...大変な努力で作られた忠敬の地図は、近現代の日本地図の基礎になったんだよ。

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とっても細かい地図...!!
日本全国を旅して作ったなんて、忠敬りんはすごい人だリン!
地図のとなりに展示されているのは??
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展示されているのは地図のほか、日記や測量の記録、測量器具などで、全部まとめて「歴史資料」として国宝になっているよ。歴史資料は、日本の歴史にとって重要な出来事や人などにまつわる資料。材料も形も色々だけど、どれも日本の地図や測量の歴史、それに貢献した忠敬の人となりを知らせるものと言えるね。ちなみに忠敬は京都にも測量に来ていて、ここに出ている日記や記録はその時のものなんだ。

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いろんな道具や日記も含めて国宝なんだね。
忠敬りんが京都に来ていたなんて、何だか身近に感じるリン♪
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やあ、トラりん。
続きは僕が紹介するよ。

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淺湫研究員!よろしくお願いしますリン!

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では、こちらの「国宝 梵天坐像(ぼんてんざぞう)(京都・東寺(教王護国寺)所蔵)」(通期展示)<1F-1>を見てみよう。
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チラシやポスターで見た仏さまだリン!

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この仏像には顔がいくつあるかな?

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ええと、ひぃふぅみぃ...みっつ?

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残念でした。みっつの頭の上にもうひとつ、小さな頭があるんだよ。

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あっ!ほんとだリン!
どうしてこんなに顔や手がたくさんあるの?

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それはね、インドの影響を受けているからなんだよ。
4羽のガチョウにささえられるとこなんて、なんとなくインドの香りがしないかい?

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インドの香り!?クンクン......

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といってもスパイスのにおいじゃないよ(笑)

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つい、いいにおいがするのかなって思ったリン☆

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このお像が伝えられているお寺は、東寺(教王護国寺)といって、平安時代の初め、9世紀に弘法大師空海が密教のお寺として整備したんだ。
だから、この仏像も密教的なすがたをしているんだよ。

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たしか、密教ってインドの神さまのすがたを取り入れたんだよね?
「トラりんと学ぶ日本の美術② 神仏への祈り」(「『トラりんと学ぶ日本の美術② 神仏への祈り』発売中だリン♪」)で、教えてもらったから覚えているリン!(エッヘン☆)

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さすがトラりん!ちゃんと覚えていて勉強熱心だね。
密教とは、ひとことでいうのは難しいけど、インドで信じられていた、ヒンドゥー教を取り入れて生まれたあらたな仏教だよ。そのおしえは誰にでも、というわけでなく、先生から弟子に「密か(ひそか)」につたえられるんだ。
だから、密教の仏像もヒンドゥー教の神さまみたいにたくさんの顔や手を持っているんだね。実はもともと梵天さんって、ヒンドゥー教の神さまで、ブラフマーのことなんだよ。

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ふむふむ☆
梵天坐像から感じるインドの香りは、密教が関係していたんだね!
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さいごに、「国宝 雲中供養菩薩像(うんちゅうくようぼさつぞう)北十六号・北二十三号(京都・平等院所蔵)」(通期展示)<1F-1>を見てみよう。
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「定朝(じょうちょう)」というひとの名前は聞いたことがある?

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えっと...

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定朝さんというのは日本史の教科書なんかにはかならずのっているひとで平安時代後期の、11世紀前半ころに活躍した天才的な仏師なんだよ。

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思い出した!前に淺湫研究員に説明してもらったリン!
やさしいお顔立ちが特徴だって。

過去の虎ブログはコチラ☆
「仏像から見えるむかしの人たちの想いだリン!」

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じつは定朝さんがつくった仏像で確実なものは宇治の平等院にしかのこってないんだよ。この菩薩像は平等院にある鳳凰堂というお堂のなかで、定朝さんがつくったおおきな阿弥陀さまのまわりをめぐるように、壁にかけられていたレリーフ(浮き彫り)の菩薩像なんだ。

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そうなんだ☆とっても美しいね!

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みんな雲に乗って、楽器を演奏したり、舞を舞ったりしているよ。これは阿弥陀さまのいる浄土のようすをあらわしてるんだ。浄土というのは「天国」といったほうが、トラりんには分かりやすいかな。浄土をあらわすこの菩薩たちも、定朝さんとその工房の人たちがつくったんだよ。
このお堂は藤原頼通という貴族が建てたんだけど、きっと頼通さんはこのような浄土にいきたくて、いきたくて、それを地上につくってしまったんだと思うよ。

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頼通りんが想像した浄土にはこんな菩薩さまがいっぱいいたんだね!



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今日見てきたもの以外にも、この展覧会にはたくさん国宝が登場するよ。どんなところがすごいって言われて国宝に指定されたんだろう、この国宝はどんな歴史をたどってきたんだろう...、そういうことも感じたり考えたりしてもらえたら、文化財をみるのがもっと楽しくなるんじゃないかな。作品は8月24日からの後期展示でたくさん変わるから、どっちも見てもらえたら嬉しいな。

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虎ブログでも紹介するリンっ!
次回は、副担当の井並研究員と末兼研究員が登場してくれる予定だよ♪
お楽しみにっ☆

おまけ☆

mori-icontorarin-icon(カリスマ販売員の2人)
\図録(税込2,800円)もあるよ!/
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表紙は「国宝 山水屏風(京都国立博物館所蔵)」(前期展示)!
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おうちでも京の国宝を楽しめるリン♪
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\音声ガイドも♪/
音声ガイド・ナビゲーターは京都出身の女優、吉岡里帆さん☆
展示とあわせて楽しんでほしいリン♪

>>フォトスポット<<
もあるよ!!
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\おうちで楽しむ京博/
残念ながら京博に来られないおともだちも、おうちで特別展や京博を楽しんでもらえたらうれしいリン♪

虎ブログ
特別展「京の国宝―守り伝える日本のたから―」を予習するリン♪

鑑賞ガイド・ワークシート
子どもから大人まで、作品に楽しく向き合えるような鑑賞のヒントや、作品をもっとよく見たくなる問いかけを用意しています。
京の国宝はじめてガイド
A Guide to the National Treasures of Kyoto (English)
京都的国宝 鉴赏入门(简体中文)
<교토의 국보> 입문 가이드 (한국어)

グレゴリ青山の 深掘り!京博さんぽ
京都在住の漫画家・グレゴリ青山さんが、京都国立博物館の見どころを紹介するエッセイ漫画です。
第4回 納涼!! 京都国立博物館

特別展 京の国宝―守り伝える日本のたから―
新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のためのお願いにご理解・ご協力賜りますようお願い申し上げます。
会期等は今後の諸事情により変更する場合があります。随時、京博ウェブサイトや公式Twitterにてお知らせいたしますので、ご来館の際は最新情報をご確認ください。
また本展は、新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のため、事前予約優先制を導入します。ご来館前にローソンチケットにて人数分の「日時指定観覧券」をご購入、発券ください。無料対象の方(未就学児、無料観覧券持参者を除く)もローソンチケットにて人数分の「無料日時指定観覧券」のご予約、発券が必要です。いずれも数量限定で、なくなり次第終了します。

■会期:2021年7月24日(土)~9月12日(日)
 前期展示:2021年7月24日(土)~8月22日(日)
 後期展示:2021年8月24日(火)~9月12日(日)
■会場:京都国立博物館 平成知新館
■交通:JR、近鉄、京阪電車、阪急電車、市バス
■休館日:月曜日
 ※ただし8月9日(月・休)は開館、10日(火)休館
■開館時間:
 9:00~17:30(入館は17:00まで)
 ※夜間開館は実施しません。

■観覧料:
 一 般 1,600円
 大学生 1,200円
 高校生  700円

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