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2017年6月23日

特集展示「名刀聚英 ─永藤一の愛刀─」を見に行くリン♪

特集展示「名刀聚英 ─永藤一の愛刀─」を見に行くリン♪

こんにちリン!

トラりんだリン!



トラりん:ボクはいま待ち合わせをしているリン☆

今日は伊藤研究員と一緒に、特集展示を見に行くんだ♪

ところで今回のタイトル・・・ながたな・・・あい・・・かたな・・・?

うーん、ボクの知らない漢字があって読めないリン・・・


伊藤研究員:「名刀聚英(めいとうしゅうえい) ─永 藤一(なが ふじかず)の愛刀(あいとう)─」だよ。


トラりん:伊藤研究員♪

え!なにそのそっくりなスタンプ!羨ましいリン!!


伊藤研究員:東京国立博物館にいた頃のものを借用したよ~。

いいでしょ~♪


トラりん:今度トーハクくんに会ったときにお願いしてみようかなぁ・・・

で、なんの話だっけ?


伊藤研究員:今日は、一緒に特集展示「名刀聚英 ─永藤一の愛刀─」を見に行くんだよね。


トラりん:そうそう!

でも作品を見る前に、「めいとうしゅうえい・・・ながふじかずのあいとう・・・」って、どういう意味?


伊藤研究員:「名刀」は、読んで字のとおり「刀剣の名品」。

「聚英」は、集められ選りすぐられたもの、ということ。

つまり、「すばらしい刀剣の数々がここに結集!」ってことなんだな。

永 藤一さん(1909~1999)は、薬剤の研究にたずさわり、製薬会社で活躍されたんだけど、有名な愛刀家でもあったんだ。

永さんはご存命のころから、この京都国立博物館にたくさんの名刀を預けておられた。

そして去年のこと、永さんのご遺族の方のお申し出によって、そのほとんどをこの博物館にご寄贈いただけることとなったんです!(感涙)


今回、それらを一挙公開する特集展示を企画したんだ。
敬意をこめて「名刀聚英(めいとうしゅうえい)」って付けたんだけど、ちょっと難しかったかな・・・


トラりん:とってもわかりやすいリン!

大丈夫!新しいことばを知ることができてとっても嬉しいリン♪

ボクね、実は展覧会名の意味を考えるの好きなんだ。

意味を知ってから展示を見にいくと、作品の見方が変わるんだよね☆

「名刀聚英 ─永藤一の愛刀─」、早く見に行こうよー♪



伊藤研究員:今日は重要文化財の3つの短刀に注目してみよう。

これは、「銘左(めいさ) 筑州住(ちくしゅうじゅう)」。



トラりん:それって最初から最後まで、この刀の名前?

そういえば刀では「銘」という字をよく見るけど、どういう意味なんだろう?


伊藤研究員:この短刀の左側のほう、ピカピカ銀色じゃなくて、茶色っぽい色のところを見てごらん。


トラりん:ここだね!



伊藤研究員:ここは手でにぎる部分で、「茎(なかご)」っていうんだけど、そこに「左」っていう字が刻んであるのが見えるかな?これが「銘」。

こうして作品に彫ったり書いたりしてある文字や文章のことを「銘」というんだ。

今は見えないけども、反対側の同じところにも「筑州住」って彫ってあるんだよ。

この場合は、「左(さ)」が作者の名前、「筑州住(ちくしゅうじゅう)」が作者の活躍していたところ。

つまり、九州福岡の左さんが作った短刀ということ。


トラりん:そういう意味だったんだね!

ささんが作った短刀!ささs・・・噛んじゃった。


伊藤研究員:銘は刀剣だけじゃなくて、仏像の中に墨で書かれたり、お寺の釣鐘に彫られたりもするよ。

作者や作品が作られた年月日、場所など、とっても重要なことが書かれることもあるんだ。

でも特に刀剣の場合は、銘というと作者や作った年を記すことが多いから、銘のある場合は「銘 ○○」として、作品の名称と一緒に書くことがならわしとなっているね。

彫っているので「銘を切る」という言い方をする。

「あ、これ左って銘が切ってあるな~」なんていうと、通っぽいよ。



トラりん:銘は大事な情報だから、よく見るんだね!

仏像は何度も見ているけど、そんな秘密があったなんて・・・まだまだ奥が深いリン!


伊藤研究員:で、これはその左さんが作った短刀。

南北朝時代14世紀ころに、筑前国(ちくぜんのくに)、今の福岡県あたりで活躍した刀工。

「左」の一文字を切ることが多いんで、「左文字(さもんじ)」と呼ぶことも多いね。

銀色に光る「地鉄(じがね)」は、しっとりとした感じの肌あいで、とてもきれい。

刃にそって白く見えるのが「刃文(はもん)」で、まっすぐでなくて、微妙に凹凸がついている。

このへんが左文字の刀剣の特色をよく表しているといわれる点だ。

だから、すでに昭和6年(1931)、当時の国宝(今の重要文化財)に指定されている。

素直な姿かたちの、静かなたたずまい。

リン!とした美しさだよね~


トラりん:あ!ボクもそれ言いたい!

リン!とした美しさだリン♪



伊藤研究員:続いて、「短刀(たんとう) 銘相州住秋広永和二(めいそうしゅうじゅうあきひろえいわに)」と「附(つけたり) 金梨地桐紋蒔絵鞘短刀拵(きんなしじきりもんまきえさやたんとうこしらえ)!



トラりん:まずこれだけは言わせて。

あ、これ秋広って銘が切ってあるな~!

伊藤研究員:あら、トラりんは刀の通だね。


トラりん:でも、名前が難しい雰囲気になってきたリン!

えっと・・・これは2つの別の刀ということなの?

相州の秋広さんが作った、永和2年の短刀!

相州がどこかわからないけど・・・

で・・・今度は「附」ってなに?!


伊藤研究員:はい、よくできました!

相州は相模国(さがみのくに)、今の神奈川県あたり。

秋広はそこで活躍した「相州鍛冶(そうしゅうかじ)」のひとりなんだ。

永和2年は南北朝時代、西暦でいうと1376年だよ。

それから「附(つけたり)」というのは、言ってみれば付属品のことなんだけど、単なる付属品ではないんだ。



トラりん:附属品だけど、ただの附属品ではない・・・?!


伊藤研究員;この短刀の場合、付属している「拵(こしらえ)」つまり鞘飾(さやかざ)りは江戸時代に作られたもの。

梨の実ふうの肌あいや桐の紋を、ぜいたくな金蒔絵で表していたり、高価な素材を使ってとてもていねいに作られている。

のちの時代にもこの短刀を大事なものとして伝えていたんだね。

つまりこの拵は、短刀本体の価値を、よりいっそう高めているということになる。

そんなふうに特に重要な付属品と認められるものを「附」として、本体とともに表記することがあるんだ。

ちなみに国宝や重要文化財の場合、附も国宝、重要文化財としてとり扱われることになるんだよ。


トラりん:えー!

それは、まさにただの附属品ではないね!!

刀と附は切っても切れない関係だリン!



伊藤研究員:では短刀を見てみよう。

さきほどの左文字とはまた変わって、幅が広く力強い姿でしょ。

刃文はクネクネと波打っている。

地鉄(じがね)にもいろんな模様が表れてて、にぎやかな感じ。

全体的に躍動感が感じられる短刀だ。

そして作られたと思われる年(永和2年)が記されるのも、ものすごく貴重!

だからやっぱり、重要文化財!そして附(つけたり)の拵(こしらえ)も当然、重要文化財!


トラりん:うわー☆

後半の畳み掛けがすごいリン!



伊藤研究員:最後は「銘吉光(めいよしみつ)(名物秋田藤四郎(めいぶつあきたとうしろう))」



トラりん:あ、これ吉光って銘が切ってあるな~!

で、名物って?


伊藤研究員:名物という言葉は、ぼくらの日常会話でも使うよね。

博多名物からし明太子とか、名物博多祇園山笠とか。


トラりん:伊藤研究員の出身地がバレバレだリン。

その名物なら、特に食べ物に興味があるよー!


伊藤研究員:しかしここでいう「名物」は、その刀剣が価値の高い名品であると認められて記録にとどめられたり、言い伝えられたりしてきたものであるということ。

長い歴史の中で、形や特徴、あるいは持っていた人の名前やエピソードからとって「○○正宗」とか「□□左文字」というニックネーム、つまり「号(ごう)」が付けられる。

刀剣の「名物」はだいたいこの号を持っているんだ。


トラりん:へー♪

ニックネーム?なんだか愛情を感じるリン!


伊藤研究員:ではこの短刀。

銘に「吉光」と切ってあるね。


トラりん:ここだね☆



伊藤研究員:吉光は鎌倉時代中期に京都で活躍した刀工で、「藤四郎」はその通称とされている。

通称は別の呼び名のことで、たとえば福岡黒田藩の黒田孝高(よしたか)の通称は「官兵衛」ですたい!

吉光の刀剣は名物になっているものがとっても多くて、だいたい「★★藤四郎」の名物号が付いているよ。

この短刀は、豊臣秀吉にもつかえた秋田実季(あきたさねすえ)が持っていたことから、こう呼ばれているんだ。



トラりん:なんだか色んな名前が集まって、賑やかだね!


伊藤研究員:この短刀については、私が今さらとやかく申し上げるのも野暮というもの。その可憐な姿を、ぜひお目にとどめていただきたいね。


トラりん:刀と一言で言っても、それぞれこんなにも印象が違うんだね。

それに、部分ごとにたくさんの名前があるなんて知らなかったリン☆

「銘」についても覚えたし、これからは刀の生い立ちを読み取ることができるリン♪

刀って、作者にとっても、持ち主にとっても、すごく大切なもので、たくさんの愛情が注がれているものだと伝わったよ!


伊藤研究員:今日は重要文化財を中心にご紹介したけど、それ以外も貴重な刀剣ばかり。

刀剣としての完成度の高さ、美しさはもちろんのこと、刀剣の歴史における資料的価値の高さという点でも注目される。

さらに展示を通じて、永さんのするどい審美眼、そして刀剣に注ぐ慈愛に満ちたまなざしを感じていただけたらと思っているよ。




☆おまけ



トラりん:さて、今回ご紹介するのは?


伊藤研究員:今回の展示がまるごと楽しめる図録!(税込540円)



トラりん:んまァー☆

み、見せて!

ほぉ~~~!これは、すごいリン!



伊藤研究員:今回は、すべての作品を新たに撮影し直した、まさに撮り下ろし図録!

これまでにあまり画像が紹介されていない、いくつかの貴重な刀剣も収録された永久保存版です!

でも、これだけじゃないんです!


トラりん:な、なんだって?!


伊藤研究員:ブックマーカー!(税込600円)



トラりん:んまァー☆

これは「刀剣乱舞」で言うと、秋田藤四郎くんだリン!

どうりで素敵なデザイン!

図録を読んでいる途中に用事ができても、このブックマーカーを使えばどこまでが見たところかわかりやすいね!


伊藤研究員:あ、トラりん☆

刀の図録にあわせたブックマーカー使ってるなんて、オッシャレー!

なんかとってもオッシャレー!


カリスマ販売員の2人:図録とブックマーカー、

売ってるよ!


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