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2017年11月17日
こんにちリン!
トラりんだリン!
みんな、「国宝」展、楽しんでくれているかな?
本当に時間が経つのはあっという間で、気が付けばもうⅣ期がはじまっているリン!!
というわけで、全ジャンルの担当研究員13名による「国宝」展の虎ブログも今回で最終回☆
ファイナルを飾るメンバーは、作品を紹介してくれる順に、山川研究員、永島研究員、淺湫研究員だリン♪
\よろしくね☆/
山川研究員:トラりん、まずは、「国宝 琉球(りゅうきゅう)国王(こくおう)尚家(しょうけ)関係資料のうち装束 那覇市歴史博物館」を見てみよう。
トラりん:りゅうきゅう?
山川研究員:琉球王国は、いまの沖縄本島を中心に近隣の島々から成り立っていた国だよ。江戸時代まで、この地域は日本とは違う国だったの。地理的にも、中国と日本のふたつの国の間にあって、独特の文化が育まれていたんだよ。
それは、これから見る王家の衣裳にも表れているんだ。
トラりん:そうなんだね!
南の島の風景みたいに、色がとっても鮮やかで模様も美しいリン♪
あ!これは、龍だ☆
山川研究員:トラりん、作品を見る視点に少しずつ成長が感じられるよ。
誕生してから2年、いろいろな作品を見てきたもんね。
中国では龍は王の権力を象徴する文様だから、皇帝の衣裳にも龍が織り出されているんだよ。
これは紅型(びんがた)と呼ばれる、型紙を使って輪郭線に糊を置いて、塗り絵みたいに顔料を塗っていく琉球王国で独自に発達した染めもので描かれた文様だよ。
トラりん:いま・・・もしかして・・・褒められたリン!
日本の着物にも、縁起のいい文様が描かれていたり、みんなの願いが込められたものが多かったもんね☆
山川研究員:こっちの衣裳を見て!何でできていると思う?
トラりん:うーん・・・なんだろう?
なんだか、ぱりっとして見えるけど・・・
山川研究員:これはね、亜熱帯に生息する芭蕉の茎の繊維からとった糸で織られた芭蕉布。
南国ならではの材料だよね。
それに、琉球王国では黄色地の衣裳は「チールージー」と呼ばれ、王家だけが使用できる格の高い色として特別な意味を持っていたんだよ。
でも、それを除けば、日本の着物にもどこか似ているね。
トラりん:衣裳の色にまで深い意味があったなんて!
ボクにとって黄色は、元気な気持ちになる色だリン♪
山川研究員:日本の中にも、地域によってそれぞれの文化があるよね。
沖縄の豊かな王国の文化にも注目してほしいな。
永島研究員:トラりん、こんにちは。
どうぞよろしくね。
トラりん:永島研究員―♪
虎ブログでこうしてお話を聞かせてもらうのは、はじめてだね☆
ボクこそ、よろしくね♪
永島研究員:さっそく、「国宝 梅蒔絵手箱(うめまきえてばこ) 静岡・三嶋大社」、「国宝 籬菊螺鈿蒔絵硯箱(まがきにきくらでんまきえすずりばこ) 神奈川・鶴岡八幡宮」を見てみようか!
トラりん:わー☆キラキラだリン!
永島研究員:昔の人たちは、神様にお願いごとをするとき、こうした宝物を神社に奉納したんだ。
それが神社で大切に守り、伝えられたからこそ、いま私たちが見ることができるんだよ。
「籬菊螺鈿蒔絵硯箱」は源頼朝、「梅蒔絵手箱」は北条政子の奉納品と言われているよ。
2人は大恋愛の末、たくさんの人の反対を押し切って一緒になったんだけど、800年の時を経て、こうして隣り合わせになっているんだ。
トラりん:え、え、それって、とっても・・・
永島研究員・トラりん:ドラマチックー☆
トラりん:800年も前のものなのに、いまでもこんなに美しいなんてすごいリン♪
キラキラの箱に、キラキラの文様・・・すごく豪華だリン!
永島研究員:ふたつとも、中身が揃っている最古の箱なんだよ。
それぞれ描かれている文様は、「籬菊螺鈿蒔絵硯箱」のお花は貝、「梅蒔絵手箱」のお花は銀で表されているの。
とても華やかなデザインは、この時代の流行の最先端だよ。
トラりん:最古!
じっくり見とれてしまうリン☆
ところで、手箱って、どうやって使われていたものなの?
永島研究員:身の回りのものを入れていたんだよ。
日本人はご飯を食べたり、寝たり、お手紙を書いたり・・・ひとつのお部屋でいろいろなことをするから、この手箱にいろんな道具を入れて、箱ごと持ち出したり片付けたりしていたんだね。
トラりん:生活に欠かせないものだったんだね☆
きっと、この文様にもむかしの人の想いが込められているんだよね?
ん?!政子さんの手箱・・・よく見たら、文様の中に「字」みたいなものがあるリン!
永島研究員:この文字は、白居易(はくきょい)という唐(とう)の詩人が書いた、とてもおめでたい漢詩なんだ。
その詩の情景が文様で表されているんだけど、漆(うるし)の世界では文字と絵を組み合わせて詩の内容を表現することが多いんだよ。
トラりん:えー!
それは考えたことがなかったリン!
絵で表現されたものはたくさん見てきたけど、絵と文字の両方が文様として描かれているとは、不思議な気持ちー!
永島研究員:まだまだ話し足りないくらいだけど、この作品を見て、みんなにうっとりしてもらいたいな。
こんなにも隅々まで手がかかっているのに、さりげなくひとつのかたちになっていて本当に贅沢な宝物だよ。
こうしたものをじっくりと作り上げられる社会的な状況にあったということだね。
人の手によって、こんなにも美しいものが作られていることを感じてもらえたら、うれしいな。
淺湫研究員:さいごは、「国宝 大日如来(だいにちにょらい)坐像(ざぞう) 大阪・金剛寺」を見てみよう。
トラりん:ん?!
大日如来さんて、過去の虎ブログで淺湫研究員が教えてくれた大日如来さんだよね?
淺湫研究員:そうだよ。よく覚えていたね。
トラりん:ずっと京博にいてくれている大日如来さんだよね?
淺湫研究員:そう、そのとおり。
トラりん:確かあのときは重要文化財として紹介してもらったような・・・
淺湫研究員:国宝というのは、重要文化財のなかでもとくに貴重なものがえらばれていて、毎年少しずつ増えているんだよ。
今年は7件の重要文化財があらたに国宝になったんだ。この大日如来もそのひとつで、いってみれば最新の国宝ということになるんだよ。
トラりん:そうだったんだね!
すっと京博にいてくれているから、国宝としてみんなに見てもらえることはボクもうれしいリン♪
淺湫研究員:でもね、トラりん・・・。
平成知新館がオープンして以来、ずっと1階彫刻展示室の真ん中に展示していたんだけど、本来の居場所である河内長野市・金剛寺の金堂の修理がもうすぐ完了するので、それにあわせて年末にはお寺に帰ることになったんだ。
だから、国宝展がここで皆さんに見ていただける最後のチャンスになってしまうんだよ。
とても残念だけど、大日さんは我が家に久々に戻ることができて、きっとうれしいだろうね。
来年からはお寺で本来の三尊がなかよくそろうことになるよ。
トラりん:えっっ・・・!!!!!
大日如来さんが、ここからいなくなってしまうなんて・・・さみしいリン・・・
でも、お家に帰れることは大日如来さんにとってうれしいことなら・・・ボクにとっても、うれしいことだリン・・・ぐすっ(泣)・・・
淺湫研究員:この大きな大日如来だけでなく、今回の国宝展では飛鳥時代から鎌倉時代までの各時代を代表する仏像を見ることができるし、中国から持ってこられて平安京の羅城門を守っていたという教王護国寺(東寺)の兜跋毘沙門天、神さまの像としては最も古い像のひとつ、薬師寺の八幡神像などにも出会えるよ。
今回の展覧会ブログは、担当者13名全員が出演してくれて、とっても豪華な虎ブログだったリン!
「ニコ生」を見てくれたおともだちにも伝わったと思うんだけど、素敵な研究員たちが、みんなに展示を楽しんでもらえるように日々がんばっているよ♪
「国宝」展は、11月26日(日)まで!
ボクの元になった「竹虎図」を描いた尾形光琳さんの作品、「国宝 燕子花図屏風 東京・根津美術館」も100年ぶりに京都に帰ってきているし♪
最終日まで、みんなに楽しんでもらえたらうれしいリン☆
\Ⅳ期も楽しんでねー♪/
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開館120周年記念 特別展覧会「国宝」
公式サイト:公式サイトは閉鎖しました。
会期:~ 11月26日(日)
会場:京都国立博物館 平成知新館
交通:JR、近鉄、京阪電車、阪急電車、市バス 交通アクセス
休館日:月曜日
開館時間:午前9時30分から午後6時まで(入館は午後5時30分まで)
※ただし会期中の毎週金・土曜日は午後8時まで(入館は午後7時30分まで)
観覧料:一般 1,500円(1,300円) 大学生 1,200円(1,000円) 高校生 900円(700円)
*( )内は団体20名以上。
※中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料となります(要証明)。
※大学生・高校生の方は学生証をご提示ください。
※キャンパスメンバーズは、学生証をご提示いただくと団体料金になります。