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2018年3月 9日

彫刻展示室の新しい顔「五智如来坐像」だリン♪

彫刻展示室の新しい顔「五智如来坐像」だリン♪


こんにちリン!



トラりんだリン!



あれ?


ねぇねぇ、


淺湫(あさぬま)研究員を


見なかった?



「トラりんに見せたいものがある」って呼ばれて、ここに来たんだけど...




淺湫研究員:おーい!トラりん、こっち、こっち!



トラりん:淺湫研究員☆



ねー、急にどうしたの?



...あ!もしかして、おいしいおやつ見つけた?!



ボク、ちょうどお腹が空いて...



淺湫研究員:おやつは、この後いっしょに食べようね。


ところで、国宝展の「虎ブログ」でも言ったけど、平成知新館がオープンして以来、京博の顔だった「国宝 大日如来坐像(だいにちにょらいざぞう)」と「国宝 不動明王坐像(ふどうみょうおうざぞう)」が大阪の金剛寺(こんごうじ)にお帰りになったよね。



トラりん:大日如来坐像さんが、無事お寺に帰れてよかったリン☆



でも、本当の気持ちを言うと...ボクは...




いまでも、


すっっっっっごく


さみしいリン...!!!!!




大日如来坐像さんへの想いを引きずっているよ!!!



淺湫研究員:そう思って、今日は展示室の新しい顔を紹介したくて呼んだんだ。


トラりん:新しい顔??


淺湫研究員:そう。

「重要文化財 五智如来坐像(ごちにょらいざぞう)」(京都・安祥寺)だよ。


トラりん:えっと、たくさんあるけど、どの仏像のこと?



あ...


ちょっと待って!




...


...


...


...


...


「五智如来」!!!!!


淺湫研究員:その通り。



この5体で「五智如来坐像」だよ。



トラりん:5人で1つのチームの「ゴレンジャー」みたいなことだね☆



淺湫研究員:そんな古いことをよく知ってたね。

今の人には、「嵐」といったほうがわかりやすいんじゃないの?



トラりん:みんなのことを考えてくれる淺湫研究員のナイスな心意気!



淺湫研究員:五智如来は文字通り知恵をあらわす仏さまたちなんだけど、真ん中の仏さまだけが一回り大きくなっているよね。



トラりん:本当だ!



淺湫研究員:言ってみれば、これがリーダーにあたる大日如来なんだよ。



大日如来がどういう仏さまかは金剛寺の時に説明したけど、太陽を造形化した仏さまなんだ。



そして大日如来を中心に四方向をとりまく4体が、



東・阿シュク如来(あしゅくにょらい)




南・宝生如来(ほうしょうにょらい)




西・阿弥陀如来(あみだにょらい)




北・不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)



トラりん:それぞれポーズが違うけど、なにか意味があるの?



淺湫研究員:大日如来は、金剛界の中心にいる大日如来と、胎蔵界(たいぞうかい)の中心にいる大日如来があるんだけど、この像のように片方の人差指を立てて、もう一方の手で握るのは智拳印(ちけんいん)といって、金剛界の大日如来なんだよ。

だからこれは、金剛界の五智如来。



トラりん:その場所、その場所の五智如来がいるんだね!



淺湫研究員:阿シュク如来は右手の先を大地につけているけど、これは「触地印(そくちいん)」や「降魔印(ごうまいん)」といって、大地から湧き立つ悪魔をおさえるポーズなんだよ。

このように、手の形にはそれぞれ意味があるんだ。

また阿弥陀如来だけがほかと衣の着方が違っていて、両肩を衣で覆っていることにも気が付いたかな?



トラりん:本当だ!ひとりだけ、ワンショルダーじゃない!



5体揃っても圧巻だけど、1体1体に深い意味があるんだね☆



淺湫研究員:五智如来は、弘法大師空海(こうぼうたいしくうかい)が中国からあたらしく持って帰ってきた密教の仏さまなので、インドの香りを強く残しているんだよ。



トラりん:くんくん...


淺湫研究員:ほんとに香るわけじゃなく、雰囲気がインド風ということなんだけどね。



表情やボリュームのある体つきに注意してみてね。



どこか古代インドの仏さまに通じるものがあることに気付くと思うよ。



弘法大師が建てた東寺の講堂にも五智如来がおまつりされているけど、残念なことに火事で焼けてしまったので、今のものはあとで作られたものなんだ。


だから、この五智如来は現在一番古い五智如来ということになるんだよ。



トラりん:1番古い?!!



すごい五智如来が来てくれたリン!!!



2人:京博の展示室の新しい顔、


「五智如来坐像」をよろしくリン♪


「平成知新館名品ギャラリー」


開館時間:火~木・日 午前9時30分~午後5時(入館は閉館の30分前まで)

金・土曜日 午前9時30分~午後8時(入館は閉館の30分前まで)


名品ギャラリー観覧料:一般 520円(410円) 大学生 260円(210円)

( )内は20名以上の団体/大学生以下


※高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は無料です(年齢のわかるものをご提示ください)。

※大学生の方は学生証をご提示ください。

※キャンパスメンバーズは、学生証をご提示いただくと無料になります。

※障害者手帳等(*)をご提示の方とその介護者1名は、観覧料が無料になります。

 (*) 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳

※名品ギャラリーに学校の教育活動、総合学習等で小学生・中学生・高校生を引率される先生方は、無料となります。

※特別展は別料金となります。

※特別展開催中は、平成知新館名品ギャラリーのみのご観覧はできません。


休館日:毎週月曜日、年末年始、4月6日(金)

※ただし、月曜日が祝日・休日となる場合は開館し、翌火曜日を休館とします。


名品ギャラリー(展示室)休館日: 2018年3月20日(火)~ 4月5日(木)

上記期間は下記の料金にて庭園の屋外展示をご覧いただけます。

一般:260(210)円 満70歳以上 無料

( )内は20名以上の団体/大学生以下

※有料にてご入館の方には、庭園ガイド冊子がつきます。

(↑ボクが案内役を務めているリン♪)

※名品ギャラリー休館期間中は開館時間の延長はございません。


関連講座:3月10日(土) 「密教彫刻の世界―安祥寺・五智如来を中心に―」

淺湫 毅(京都国立博物館 連携協力室長)

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