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2022年3月 3日
こんにちリン!
トラりんだリン!
みんなー!!
今年も特集展示「雛まつりと人形」がはじまったよ♪
これまでの「虎ブログ」でもお伝えしてきたけど、特集展示「雛まつりと人形」の第1回目の開催は、なんと大正15年(1926年)!
すごく歴史ある展示だよね☆
ボクも、毎年とっても楽しみにしているリン!
もちろん!今年も案内してくれるのは...
(山川研究員)
トラりん、今年も雛人形の季節がやって来たね。
(トラりん)
山川研究員♪
山川研究員といっしょに特集展示「雛まつりと人形」を見に行くのは6回目☆
楽しみにしてくれているおともだちに、毎年展示を紹介できて嬉しいリン♪
皆さんに楽しみにしてもらえてとても嬉しいよ。
今年はどんなお人形が見られるのかな?毎年恒例の「かくしテーマ」も気になるし...
さっそく2022年の「雛まつりと人形」へいこーう!
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まずは「御殿飾(ごてんかざ)り雛(びな)(横山経治氏寄贈・京都国立博物館所蔵)」「御殿飾(ごてんかざ)り雛(びな)」を紹介するね。
以前のブログにも何度か登場しているけど、御殿飾り雛って本当に立派だリン!
今年の注目ポイントは?
前にも話した内容だけど、最初にちょっとだけ復習するね。みんなが想像する豪華なお雛さまは七段くらいの雛段に、人形や小さなお道具が飾られている形だよね。でも、上方(現在の関西地方)では、「御殿飾り」つまり内裏雛を中に飾った雛御殿を最上段に置いて、雛段は二段くらいの飾り方が一般的だったんだ。その雛段も、豪華な雛道具は少なくて、江戸ではまず見られないおくどさん(台所)や調理道具、小さな食器を飾ったんだよ。
博物館が収蔵する御殿飾りは、上方の旧家から寄贈されたり、寄託されている品ばかり。おうちで飾っていた時の写真を一緒に頂くようにしてるんだけど、下の段には小さな食器をたくさん並べているおうちが多いよ。
おくどさんに小さな食器...なにか意味があったはずだけど...
ごはんしか思い浮かばないリン!!
台所に調理道具があったらお料理する場面を想像するよね。
江戸時代の終わりに上方に生まれ、後に江戸で暮らした喜田川守貞の『守貞漫稿(もりさだまんこう)』っていう随筆によると、上方の雛飾りは江戸よりも質素で洗練されていないように見えるけれど、これは女子に家事を習わせるためだ、と記されているよ。
なるほど~。
ところでトラりん、この御殿飾り雛は、右が天保14年、左が天保15年に初節供を迎えた女の子のために製作されたと考えられていて、たった一年しか違わない製作年。だけど、天保15年に製作された御殿飾りには、立派な雛道具がたくさん並んでいるよね。箪笥・長持・鏡台を飾る例はほかにもあるけど、煙草盆や女乗物(女性用の駕籠)、牛車なんかは、江戸時代に製作された上方の雛飾りではまず見られない豪華な雛道具。しかも、ぜんぶ黒漆塗りに金の蒔絵で菊の家紋が付いてるよ。特別に注文した品だと思うなあ。
ほんとだ...左のにはおくどさんがない...。ごはんの要素がなくなっているリン...。
がっかりしないで、トラりん!本当はおくどさんもあるよ。でも、粘土でできていて、崩れてしまっているから今は展示できないの。いつか修理をして、必ず一緒に飾るから、楽しみにしていてね。
うん!!修理後の展示を楽しみにしているリン!!
それからもうひとつ、違いがあるんだけど、どこか分かるかな?
う~ん???
今度は御殿のまわりをよ~く観察してみて!
あ!階段の下にいるメンバーが違ってる!
そうだよね。みんなのおうちのお雛さまは、内裏雛、官女、五人囃子、随身(ずいじん)(右大臣・左大臣)、仕丁(じちょう)って、飾る人形の種類が決まっているけど、江戸時代にはまだそんな決まりはなかったんだね。その中でも特に注目したいのが、五人囃子。天保15年製にはあって、14年製にはないよね。
おお~!
実はね、江戸時代の上方の御殿飾り雛で五人囃子を飾る作例は、ほとんどないの。五人囃子は江戸(現在の東京)で生まれた人形だから。
江戸周辺の段飾りでは、官女はいなくて五人囃子が飾られている段飾りもあるんだよ。上方の人々にとって、雛人形には天皇のイメージが強く重ねられていたから、天皇のおられる場所=御所、天皇の身のまわりのお世話をする人=官女は雛飾りに必須だったけれど、身近に天皇を知らない江戸の人たちにとっては、将軍家をはじめ武家の慶事に催される演能の方が親しみ深かったんだろうね。でもよく見て!この五人囃子が奏でているのは能楽の囃子じゃなくて雅楽だよ。こういうところにこだわりを感じるよね。
こうやって比較すると、天保15年製の御殿飾り雛には、①豪華な雛道具が飾られている ②五人囃子が加わっている という特徴があったね。これはいずれも、江戸の雛飾りの特徴。つまり、天保15年製の御殿飾り雛には、江戸の雛飾りの要素が取り入れられているんだね。ご寄贈くださった横山家は、江戸の流行に敏感だったのかもしれないね。
江戸の流行!!じっくり見比べるといろんなことがわかるんだね♪
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ところでトラりん、今年はごはんにまつわる小特集をしてるよ。
こちらの「雛食器」をご覧ください!
雛食器 御殿飾り雛附属 一括のうち(祐森隆英氏寄贈・京都国立博物館所蔵)
わあー!!(キラキラ)
ちっちゃい!!そして、とってもかわいらしい!!
御殿飾り雛に小さな食器をたくさん飾るのには理由があると思うんだ。
雛まつりの源流はふたつあって、ひとつは穢れを祓う人形(ひとがた)、もうひとつは雛遊びと呼ばれていた女の子の豪華なおままごと。江戸時代の初めのことを書いている記録から、どちらも3月のはじめ頃に行われていたことが分かっているんだ。人の形をしたものを使う行事だったから、このふたつが結びついて雛飾りになったと考えられているんだね。
上方の御殿飾り雛で小さな食器を一緒に飾るのは、この雛遊びの伝統が受け継がれたからじゃないかと私は考えているの。子どもたちが実際に食事に使ったのかな、っていうサイズの食器と、おままごとに使う人形サイズの食器の二種類があるよ。小さいけれど、当時の裕福な家庭で使っていたような、染付や色絵、交趾って呼ばれる緑や黄色の釉薬がかかった食器があって本格的だよね。
ふむふむ☆
こんな素敵なお道具でするおままごとは、きっと楽しいリン♪
今でも雛まつりには、ちらし寿司や蛤のお吸い物を用意するよね。雛まつりは食文化にも及ぶ行事だよね。この食器にはどんなご馳走が盛り付けられたのかなぁ。
想像するだけでおなかが減ってくるリン...(ぐー☆)
ごはんを大切にする雛まつりは大好きな行事だリーン!
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ところで、山川研究員!
今年も「かくしテーマ」はあるの?
このあたりを見て、何か気がつかない?
ん?そういえば何かを持っている人形ばっかり...。
かくしテーマとは言えないかもしれないけど、今年は獅子舞をテーマにした人形を集めてみたよ!トラりんは獅子舞を見たことがないかもしれないけど、お正月に獅子舞が回ってくる地域も多いよね。獅子が魔を祓うって考えられているんだ。
......虎は...?
ごめんね、トラりん。今年は寅年だから探してみたんだけど、虎をテーマにした人形は京都国立博物館にはなかったの。獅子も虎もネコ科だから...許してね。
うう...仕方ないリン...
いつか虎がテーマのお人形が展示されるといいなあ☆
中央:御所人形 獅子舞(京都国立博物館所蔵)
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毎年恒例の特集展示「雛まつりと人形」☆
今年もたくさんのおともだちに楽しんでもらえたら、うれしいリン♪
今年もご家族で雛まつりと人形を楽しんでくださいね。
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リーフレット
雛まつりと人形
京博公式YouTubeチャンネル
おひなさまのヒミツ
博物館ディクショナリー
当館研究員が子ども向けに分かりやすく展示作品を解説しています。
天神、海をわたる
グレゴリ青山の 深掘り!京博さんぽ
京都在住の漫画家・グレゴリ青山さんが、京都国立博物館を紹介するエッセイ漫画です。
第11回 深掘り! 京博バックヤード その6(文化財保存修理所 その4)
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新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のためのお願いにご理解・ご協力賜りますようお願い申し上げます。
会期等は今後の諸事情により変更する場合があります。随時、京博ウェブサイトや公式Twitterにてお知らせいたしますので、ご来館の際は最新情報をご確認ください。
※本展はご予約不要でご覧いただけます。
■会期:
2022(令和4)年2月19日(土) ~ 3月21日(月・祝)
■会場:
京都国立博物館 平成知新館1F-2
■休館日:
月曜日 ※ただし、2022年3月21日(月・祝)は開館
■開館時間:
9:30~17:00(入館は16:30まで)
■観覧料:
一 般 700円
大学生 350円